なぜ日本人留学生はアジア人と集まりがちなのか?

 前回のnoteでは、英語を学ぶ価値についての見解を書いた。

 私が英語力を伸ばすことができた背景には留学がある。その留学中に見られた現象が、今回のテーマである、日本人留学生はアジア人同士でコミュニティを形成する傾向があるという点である。アジア人と言っても、特に日本と地理的に近い韓国や台湾、中国、そして東南アジア諸国である。

 私には留学経験を持つ友人も多くいるが、世界の様々な留学先で日本人は他のアジア人留学生と仲良くなる現象が見られたと聞く。留学当時は、私にも多くのアジア圏の友人ができたが、確かにアジア圏からの留学生の方が、その他の地域の留学生よりも付き合いやすさを感じた。今回は、なぜ日本人留学生はアジア人留学生とコミュニティを形成しがちなのか?というテーマについて、私が感じたことを述べてみようと思う。

理由① 文化的距離の近さ

 私は、アジア人同士が留学先でコミュニティを形成しやすい主な要因が3つあると考えている。まず一つ目が文化的距離の近さだ。アジアの国々の国民性はそれぞれ異なるとは言え、その他の地域よりは距離が近い。例えば、日本人とアメリカ人の間にある国民性の違いよりも、日本人と中国人や韓国人との文化的な距離は近い。

 私には、欧米出身の友人も多くいるが、彼らと過ごしているとどう接して良いかわからなくなることがある。雰囲気の作り方、ノリ、といった部分で戸惑いを感じることは多々あった。しかし、日本と地理的に近しい地域出身の学生とは、日本人の友人といるような心地よさが感じられるのである。

理由② 英語力

 第二に、アジア人は英語力の面で日本人と似通っているという点が挙げられるだろう。日本語、中国語、韓国語は英語からは非常に遠い場所にある言語である。それと比較すると欧米の言語は英語と非常に近い。特に東アジア圏出身の留学生にとっては、英語習得の障壁という点でも共有する感情が多い。台湾のような国では英語教育が非常に先進的であり、流暢な英語を操る学生も多いのだが、英語習得の過程での苦労は共感できるのであろう。

 日本人には、留学当初から自信を持って英語を話せる学生は少ないのだが、それは東アジア各国の留学生にも共通している。そういった点から、英語に多少のコンプレックスを抱えるもの同士、コミュニケーションが取りやすいという点もあるのだろう。

理由③ 言葉のコンテクスト

 そして、最後に言葉のコンテクストについてである。これは、日本語と英語をはじめとする欧米系の言語ではそもそも表現に対する考え方が根本的に異なるという点を指す。例えば、どんなに著名な翻訳者が英語を原版とする書籍を日本語に翻訳したとしても、読みづらさを感じる。私は、この原因にあるのは、日本語と英語ではそもそも文章を書く際の考え方が違うのだと認識している。

 実際に、日本語が原版のアニメや映画を英語で見てみると、驚くほど理解しやすい。これも文化的な要素が遠因なのだろうが、コミュニケーションにおいても、言葉や表現の選択において、日本人と欧米人では大きく異なる。そのために、欧米人とのコミュニケーションは、アジア人とのコミュニケーションよりもエネルギーを消費するのだと感じる。

まとめ

 以上のような理由から、日本人留学生にとっては、欧米人よりもアジア人留学生とコミュニケーションをとる方が容易なのである。私も、アジア人コミュニティとは深い関わりを持っていたし、友人を得ることができて良かったと思っている。しかし、一方で欧米人とのコミュニケーションがうまく行かないと悩むことがあった。私はその原因を、自身の英語力だと考えていたが、今振り返ってみると全てがそうではなかったように感じる。もちろん、英語力の欠如は問題なのだろうが、欧米人とのコミュニケーションは日本人にとって敷居が高いという前提を持っていれば、深く悩む必要はなかったのではないだろうか。

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