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英語を学ぶ価値は本当にあるのか?

 グローバル化が叫ばれ、英語は日本人にも不可欠であると言われ始めたのはいつ頃だろうか。もともと海外に興味があったことに加え、英語ができると社会に出てから役に立つというアドバイスを受けて、私は学生時代に英語を勉強した。しかし。最近ではテクノロジーによる翻訳精度の上昇や同時通訳の実現等への期待から、英語は学ぶ必要がないのではないか、という論調も目にする。今回は、英語学習にそれなりに時間を費やしてきた私なりに、英語学習は本当に価値があるのか?というテーマに対しての考えを述べてみたい。

私の英語力

 まず私の英語レベルについてだが、自信を持ってネイティブレベルであると言うことはできない。日本生まれ日本育ちで、中学校の義務教育で初めてアルファベットを全て覚えた一般的な日本人である。しかし、中高の英語の授業は比較的得意としており、大学では国際系の学部に進学し、1年間の交換留学も経験したことで、多少英語ができるようになった。現在のレベルとしては、苦労しながらもネイティブと普通にコミュニケーションを取ることができ、大学の授業を英語で履修することもできるレベルだ。TOEICでは900点を少し超えた程度だろうか。

 私は、学生時代は多くの時間を英語学習に費やした。大学の授業終わりに図書館に夜まで残って勉強したし、留学当初は周囲の英語力に全くついて行けず、悔しさを噛みしめて勉強に没頭したことを覚えている。英語学習にはそれなりの時間・労力・お金の投資が必要である。果たして、その価値はあるのだろうか。

英語を学んで良かったこと

 個人的に、英語を勉強していて良かったと思うことは2つある。第一に、チャレンジの幅が広がったという点だ。そして、第二に日本では英語力は評価されるという点である。それぞれについて詳しく述べよう。

 個人的には、英語が多少できるようになったことでチャレンジの幅は大きく広がったと感じている。交換留学や海外の人々を巻き込んだプロジェクト等に参加できるようになった。

 交換留学とは、決められた期間(大抵は1学期とか2学期)他国の大学に在籍して学ぶことであるが、参加するためには一定の英語力が求められる。私は交換留学を通じて、異国の地で経営学を学んだ。単純に学問をするだけなら日本語の方が効率的で、この便利な世の中では他言語の文献も翻訳して読むことができるのだが、現地で学ぶことで得られる刺激も多い。私は、総合的に人間力を鍛えられたと感じているのだが、最低限の英語レベルを前提とする環境なので、英語ができて良かったと感じた経験だ。

 また、国内外の外国人を含めたプロジェクトに参加できたことも、英語を学んでよかったと思える点である。私は学びの機会を求めて様々なイベントやプロジェクトに参加するのだが、英語ができると選択肢は広がる。社会人としては将来的にMBAの取得にも興味があるのだが、海外という選択肢を持てるのは最低限の英語レベルがあるからだろう。

 第二に、英語力は日本社会では非常に高く評価されると感じている。新卒の就活市場でこそ、ポテンシャル採用の影響か、英語力自体が顕著に評価されることは少なかったが、入社後の同期や先輩、人事部からの評価は非常に良いと感じている。特に、英語力を示す指標としてTOEICが浸透していることはありがたい。実際には英語力を証明するテストではないだろが、日本社会にいる限り、人前で英語を話すことなどほとんどない。そのため、TOEICで900点を超えていれば、実際の英語力に関係なく高い評価を得ることができるだろう。

英語を学ぶ価値はあるか?

 以上のようなことが、私が感じた英語を学んで良かったと感じる点である。特に、チャレンジの幅が広がったという点に関しては英語の素敵な力だと思っているし、今後もその恩恵を受け続けるだろう。そして、日本社会で評価を得られるという点は、副産物のようなものだろうか。以上を踏まえて、タイトルである「英語を学ぶ価値はあるのか?」という問いに答えるとすると、もしチャレンジの幅を世界に広げたいなら英語を学ぶ価値がある、と言うことができる。

 私は日本にいるだけなら英語を学ぶ必要はないと思う。そもそも日本語は話者の多い言語だし、テクノロジーの発展によって海外の情報も日本語で仕入れることは可能だ。日本にいて英語が必要とされる場面もほとんどない。しかし、一方で日本を飛び出して学問であったり、ビジネスにチャレンジしたいと考えるなら、時間と労力を投資して英語を学ぶ価値は十分にあるだろう。人間同士のコミュニケーションはテクノロジーには代替しづらい部分である。一度の会議程度ならテクノロジーの補助を受けることができるかもしれないが、恒常的な活躍を求めるのであれば英語を学ぶ必要がある。私自身も、日本を超えて活動するという選択肢を将来に持っておきたいため、英語を学んで本当に良かったと思っているし、これからも学び続けなればならないと感じている。

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