親父との喧嘩

今日、地元に少し用事があったので久しぶりに実家に帰ってきた。そして夜飯時のこと、つい今さっき起きたことである。

親父と久しぶりに喧嘩をした。
いや、今思い返してみたらあれは喧嘩などではないな、激昂して聞く耳を持たない親父に、ひたすら議論を試みてはみるもあえなく失敗し、一方的に怒鳴られ続けるというものである。
結果としてこの喧嘩?いや一方的な蹂躙はおばあちゃんの介入により終結したのであるが、なんともきちんと話し合うことができないというのは歯痒さを残すものである。それだからこんなnoteを書いているのであるわけなのだが。

原因は非常に些細であった。私が夕食で飲んだ麦茶のペットボトルのキャップを閉めなかった、というものである。二階にある自分の部屋への階段を上がって行く最中、「片付けろおおお!!」という怒声が聞こえたのだがそのとき私は何がなんだかよくわからなかった。食事の際に使った食器類はきちんと我が家のルールに則って流しに置いておいたからである。
「片付けた」と一言いうと「キャップ!!!!」とのことである。麦茶のキャップが閉められていなかったことがよほど気に入らなかったらしい。なんでそんなことで...と私は思いながら渋々片付けに行ったのだが、その態度がどうやら良くなかったのだ。

逆鱗に触れてしまった。

そこからはありとあらゆる怒声のオンパレードである。キャップを片付けなかったことに始まり、
余り普段から従順な息子ではない私に対する怒り、
そして昼飯時の小さな抗争にまで言及された(実は昼食時、我が家は貧乏なんだから...という父親に対して、家が貧乏なのは僕のせいではないし、それで僕が何かを諦めさせられたりするのはおかしいと私が言ってしまい、多少揉めた)
最終的には私の持ち物であるパソコン類を持ち出し、外に投げ捨てようとし始めたのである。色々と私から働きかけてはみるものの「今すぐ出て行けえええ!!!」としか言わない人を、私は果たしてその時親として見れていたのだろうか。

親の務めとは、特に親父であることとは一体どういうことなのだろうか。
ただ家に金を入れ、嫁子供を食わせていればそれは親父としての務めと言えるのだろうか。
生まれつき足に障害を持っており、歩くことが困難でありながらも国際結婚ではあるが家庭を持ち、子供を産みそして大学まで入れてくれた父のことを素直に立派であるとは思う。

ただ、感謝はしていない。

こんなことを言ったらいけないとは思うかもしれないが、子供を食わせるだけなら動物でもする。

別に貧乏であること自体は構わない。社長であった祖父の元に生まれ、整った豊かな環境で育ったのにも関わらず、大して勉強などもせずにいた父を責める気もない。(まあそのおかげで私はその分勉強を頑張ろうと思い早稲田大学に入学することができたわけであるのだが。)
ただ、その貧乏のしわ寄せを息子である私にまで持ってくるのは絶対に親父としての務めではない。

全然かっこよくないではないか。私はただ息子の前くらい世界で1番であると思わせてくれるようなそんな存在でいて欲しかっただけなのだ。

ひとしきり怒鳴り終わった親父は、歳のせいか息切れしてしまいソファに座り込んでしまった。
そんな姿はひどく小さく見えて、小さい頃あんなに怖くて畏怖の対象でしかなかった人はもういなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?