見出し画像

カウンターバランス付き小型激安ヘッドを試す。

自分の場合、企業の映像案件、特にインタビュー案件が多く、しかも地方や、時に海外に出かけることもあるので、機材はできるだけコンパクトなセットを追求してきました。

最近では、高さ55cm程度のドンキホーテで買ったスーツケースに、ほとんどの機材を詰め込んで移動しています。もちろんカメラやレンズなど繊細な機材は、カメラ用バックパックに入れて、スーツケースの上にスタッキングして移動します。

画像8

スーツケースに入れているものは、主にライトやライトスタンド、モニター、レフ版、その他細々したものをクッションケース等に小分けして入れています。特に最近はNISSIN LS-50等、コンパクトのわりに伸びる、しかもカーボンで軽く丈夫なライトスタンドも登場し、ライトスタンドも合計3本入っています。(2本はライト用で、もう1本はレフ 兼 黒フラッグ用)

画像1

ポイントは、このスーツケースの中に三脚とヘッドも収納してしまっている部分です。移動の際、三脚ケースを持ちたくないからです。
三脚はSIRUIのT-2204Xという小型4段カーボン三脚(現在は廃盤?後継機種あり)、それにSLIK製のボールレベラーを取り付け、さらにその上にKesslerのKwikReleaseを取り付け、三脚とヘッドをワンタッチで分離、現場で即座に結合できる仕様にしています。これにより難なく55cm程度のスーツケースに収納できます。

画像2

ところが、小型の三脚ヘッドに関してはカウンターバランスが付いていないものがほとんど。これまで使ってきたManfrottoの701HDV(現在は廃盤、後継機種はMVH500AH)という小型ヘッドは、GH5にはバランスが合うのですが、自分がインタビュー撮影で常用しているJVCのGY-LS300など、少し大きめのカメラになるとバランスが取れなくなって、そもそも耐荷重も確実にオーバーしているので不安定ですし、インタビュー中の微細な調整も出来ません。

そこで、Amazonで前から気になっていたBENROというメーカーのカウンターバランス付き小型ヘッドを思い切ってポチってみました。大きさはManfrottoの701HDVより少し大きいものの、カウンターバランスも3段階付いていて、パン、ティルト共に無段階でのトルク(ドラッグ)調整もあります。ここまで付いていて値段が17,000円前後と不安になるくらいの安さ。どうなのこれ?という懐疑的な思いは、到着するまで拭えませんでした。

画像3

Amazonで注文して、約3週間ほどで到着。正直注文したのも忘れた頃に届きました。販売元はもちろん中国メーカーです。Manfrotto 701HDVが1kg程度に対し、今回購入したBENRO S7というヘッドは1.4kg程度と400gほど重くなっていますが、SIRUIのコンパクトカーボン三脚とのバランスは良好。

本体右側面には、カウンターバランス設定(バネの強さを変更する機構)のダイヤルがあり、ポジションは「1〜3」までと3段階。回転させることでワンタッチで切り替わります。対して本体左側面と台座部分にはパン方向およびティルト方向のトルク(ドラッグ)調整があり、ここで動きの「粘り・硬さ」を調節できます。こちらは無段階調整なので好きな硬さに微調整可能です。こんな小型雲台で、ここまでの機構があることに感動!

画像4

そしてGY-LS300に、自分のインタビュー撮影では常用のNOKTON42.5mmを装着し、いざバランス取り。(カウンターバランスの取り方がよくわからない方は、コチラの記事も参考にしてみてください。)

まずはボールレベラーでヘッドの水平を取ります。BENRO S7にはちゃんとLEDで点灯する水準器も付いていました。しかしながら精度がダメダメで、正直使い物にならず。「光る!」っていうぬか喜びも瞬時にかき消されました。このあたりは値段相応と割り切るしかありません。幸い、KesslerのKwikReleaseにも水準器があるので、そちらで合わせることができました。(光らないけどw)

画像5

次に左側側面のトルク調整ダイヤルを一旦マイナス方向に回してトルクを弱くしカメラの前後バランスを見ます。このダイヤルの周りに各軸のロックノブがあるため、回す際に指が干渉し多少回しづらいのがマイナスポイント。コンパクトに詰め込んであるので仕方なしか。。

画像6

前後バランスが取れたところで、今度は右側面のカウンターバランスのダイヤルを回してみる。かくしてカウンターバランスはポジション「3」(バネの返りが一番強い)で概ね取れました。

画像7

あまり上下に傾けすぎなければOK、ただ、あまり傾け過ぎると若干「返り」が起こるので、状況によってポジション「2」に変更してもいいかも?といった感じです。このあたりは好みで。またカウンターバランスはカメラの自重とレンズの組み合わせによるので完璧に合う場合もあると思います。なお、JVC GY-LS300クラスのカメラといえば、Canon CINEMA EOS C200やSONY FS5II、Panasonic EVA1、NX3やZ5Rなどのハンドヘルドカメラなど、概ね2.5kg〜3kgくらいのカメラだと思います。

画像9

これまで、事あるごとにメーカー関係者に「DSLR向け小型三脚のヘッドで、最低でも3段階くらいポジションがあるカウンターバランス付きのヘッドを作ってほしい」と要望を出してきましたが、どうも消極的でした。マンフロットあたりが出してきてくれるかも?と淡い期待を抱いていましたが、結果的には先に中国のメーカーが破格でポンと出してきたわけです。(Really Right StuffのFH-350という小型雲台もありますが、非常に高価な上に重量もあり横幅が結構あるので今回は圏外で。。)

正直にいえば、いろんなところでイマイチな部分は散見されましたが、値段から見れば概ね満足です。欲を言えば青のカラーリングがチープさを助長してるのでポイントレッドが良かった。国産メーカーであるLibecや、マンフロット、ヴィンテン、ザハトラーあたりが作れば、もう少し使い勝手のよい小型雲台が作れる気もしますが、この領域での商戦はムダという判断なのか(そもそもミラーレス等で撮影しているユーザーはカウンターバランス調整を求めていない?と判断しているのかも?)出てこないのが残念です。

ただ、今回のS7は必要十分というか、動き、粘り等はパっと使った感じではかなり良好で概ね自分の目的を果たせそうなので、結果的にとても良い買い物をしたと思っています。SIRUIの小型カーボン三脚とも合わせやすいコンパクトな雲台に3ポジションのカウンターバランスが付き、気軽にスーツケースに収納して持ち運べる、最高です!このセットで来週取材をこなしてきますので、また気づいたことがあれば書いてみたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?