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職場が潰れる。若いのに。100冊目。

気温3度。玄関を出て5分、いつも職場で使っている安全靴を履き忘れたことに気づいた。まあでも誰も気にしないし注意もされないと思うので多分問題はないだろう。今さら取りに帰るのは面倒臭い。駅前で120円の缶コーヒーを買い、一口で飲み干す。カフェインで寝ぼけた頭を引っ叩いていく。

15分電車に揺られ、15分歩いて職場に到着。単純作業をいつものようにこなす。今日はいつもの力仕事ではないようなので負担は少なかったけれど、職場の建物の構造が吹き抜けになっているので風が直に肌に刺さって痛かった。商品を数え間違えて対応を社員さんにお願いしたら、表情をピクりとも動かさずに修正をしてくれた。

そして業務が終わり、帰路につくと派遣会社の担当から電話がかかってきた。

「りょーすけさん、突然申し訳ありません。あまりいいニュースではなく大変言いにくいんですが2ヶ月後の◯日、〇〇会社が事業を撤退するそうです。なので契約は◯日までになると思います。」

分かりました、と特に何の感情もなく対応をした。私が入社をしてからまだ1ヶ月も経ってないのできっと担当者はこのことを知っていたんだろう。

また無職になるのかあ。週4日の労働結構マイペースにできてやっと慣れてきたのにな。また職を探さなきゃいけないのかー。親にまたガミガミ言われるんだろうな。ダルいな。

と、ネガティブの濁流に今も飲まれてこの文章を書くに至っている。また別の場所に適応しなければいけないという近い未来に対してぼんやり不安になっているんだろう。さっきからだろうだろうばっかり。だろう病だ。

最近「若いんだから〜」「若いのに〜」といった言葉をかけられる。

若いのになんでこの職場で働いてるの?とか、若いんだからまだやり直せるわよ〜とか、若いの羨ましいわぁ、とかそんな言葉達。

若い若いうるせぇな。若いのに頑張ってないんですよ俺は。若いのは身体だけでもう心が半分枯れてるんですよ。体力もあんまりないです。若いだけなんです。若いだけで他に何にもないんです。てか23歳ってもうそんなに若くないでしょう?年取ったらもうやり直せないのかよ。年とりたくないな。

そんな言葉を胸の奥底に飲み込んで「ははは」と適当に笑い返してその場をやり過ごす。こうやってテキトーに笑っている内に私は若さを失っていく。

若いといっても立派に成人してるわけで、なんか世間ではいつのまに大人扱いされるし、酒とタバコを飲めるようになっているし、なんか国から金を払えと言われている。全然大人になんかにはなれてない。

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ベッドに横たわって、頭の上にあるテーブルランプのスイッチを押す。まだ布団を被ったばかりだから足が冷たい。スマホの真っ暗な画面に自分の顔が映る。左目の瞼が腫れて二重になっている。元々両目とも奥二重なので片方だけ二重だとずっと寝ぼけてる人みたいだ。

いや、確かに今週は天気がぐわんぐわん変わったから体調がおかしくてあんまり眠りが深くなかったな。枕元に1ヶ月前に買ったけど全然読めていない本が雑に積まれている。そういえば2週間くらい本に触れていない。

実は去年の4月から今年の3月までで100冊本を読むぞー!と小さな目標を立てていて、現在97冊読み終わっているところである。

別に本を読むのもただの娯楽だし特に何かを勉強したわけではないから達成したからといって何かあるわけではないのだけど。

それでも唯一成し遂げられそうなことだったので、とりあえずあと3冊、ゆっくり読んでいこうと思う。

最後の一冊はどんな本がいいんだろう。好きな作家の本はほぼ全て読み終わっているし、何も考えず手に取ったやつを読むか?それとも100冊目を意識してビビッときたやつを読むか?それとも読んだことのないジャンルの本に手を出してみるか?

あぁ、悩むのも面倒だ。どうでもいいか。100冊本を読んでも、人生は続いていくんだもんな。

今日も疲れた。明日は休みなのでちょっとだけ疲れない。明後日はまた疲れる。

また歳をとっていく。











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