「ウチ、ソト、ヨソ」と日本人が英語が話せない理由


この前、”スモールトークの公共性”という論文を読んだんですが、ここに引用として書かれてた日本社会の分析って、実はこれって日本人が英語を話せない理由なんじゃないかと思ったので、ちょっとそんな話をしていきます。


で、この論文には、下記の本にある「ウチ、ソト、ヨソ」という考えを応用した上で、日本人は「ウチ、ソト」では話すけど、「ヨソ」に関しては無関係になる。しかし、英語では、この「ヨソ」にあたる場所もpublicとして捉えて、そしてむしろpublicを成立させるために、人と話すことが要求されるという分析をしています。


これだけ読むと、なんだそれと思うので、もう少し詳しく説明していきますが、まあ平たくいうと、「ウチ」は自社、「ソト」は取引先の会社、「ヨソ」はそれ以外の他社というと、多分わかりやすいんじゃないかなと思います。

で、「ウチ」であれば、すでにルールが共有されてるから、当然話が通じるし、むしろ話す必要がない。「ソト」は「ウチ」ほどルールが共有されてないけど、でも、取引があるのである程度ルールが共有されている。なので、例えば会社であれば、自己紹介をして「〜社の〜課の〜です」ということを言えば、少なくとも自分の身分は理解されるし、付き合い先の部署はある程度自分と共有したバックグラウンドがあるから、言語が通じる。

それに対して、「ソト」の場合、バックグラウンドが共有されてないから、そういう自己紹介をした程度では自分が誰かが伝わらないし、同時に相手がいうことも理解できない。で、これは”スモールトークの公共性”では詳しく書かれてないし、また僕は上記の本も読んでないからわからないんですが、別の言い方をすると、アメリカ人がPrivate/Publicと二項対立で分類するところを、僕らはpublicの中にさらに「自分とルールが共有されてる/されてない」という対立概念を持ち込んで、世界を見てるんじゃないかということです。


で、じゃあ、なぜこれが日本人が英語が話せない理由になるかというと、要するに僕らは無意識のうちに「ある程度ルールが共有されてる場所でどう言語を使うか?」が前提となっているので、「ルールが共有されてない場所で言語を使う」段になると、今までの前提とあまりに違うので、バグってしまうんじゃないかということです。長くなったので、具体的な話はまた次回。


では!


井上大輔


追伸

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