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塩がない、ならばつくろう!

こんにちは! 金沢市で活動をしているNPO法人ガイア自然学校です。

今回は、ガイア自然学校の代表、成田裕(なりたゆたか)によるコラムです。



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「この穴の中にいる貝をつかまえたい!」

そう言い出したAくん、砂浜に空いてる穴に塩をふりかけると貝が出てくるんだと調べていたので「やってみたい!」ということになりました。

「でも、塩なんかもってきてない。どうしよう?」リーダーとしばし相談…。

「海の水を煮詰めれば塩ができるんじゃない?」

「あ!ジェットストーブがあるから火はあるよ!」

「でも、なべがないよ…。」

「あ!スコップでやれば!」

しばらくやりとりがあって、マキを割って火をつけて、海水をくんでスコップで海の水を煮詰めると…。

なんと塩がちゃんととれました。

子どもたちの「やってみたい!」にとことん付き合うことの楽しさをリーダーも感じたようで、おもしろい体験でした。

ちなみに、貝はでてきませんでしたが(笑)

子どもなりに工夫して考える姿が、必要なことだと思いました。


文:成田裕

(「ガイア通信」バックナンバーより再掲載)


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自然の中での困りごとは、子どもが自分で問題を解決しようとする絶好のチャンスです。


道具がない、一番にリーダーと遊びたい、何して遊べばいいかわからない、生き物が捕まらない…。


自然体験と学校教育の異なる点は、自然体験の方が発生する問題が自分ごとであることが多い点ではないでしょうか。

例えば算数の授業で、

りんごが○個、バナナが□個あります。AさんとBさんはそれぞれ何個ずつ食べられるでしょうか。

という問題があったとします。

多くの子どもたちは真面目に考え、答えを導き出そうとするでしょう。

しかし口には出さないだけで、何人かの子どもは「正直、わからなくてもどうでもいいや」「これがわかったところで…?」と思っているかもしれません。

わからなかったところで問題文のAさんとBさんが困るだけで、子ども自身は直接関係ないからです。

テストの点数や通知表には関わると思いますが…。

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実生活における問題解決の素晴らしい点は、子どもたちが当事者意識で解決しようとする点です。

道具がないと自分が遊べなくて困るから、リーダーと遊べないとつまらなくて困るから、することがないとお迎えが来るまで暇だから困るから、「じゃあどうしよう?」となるのです。

「リーダーなんとかして!」と泣きつく子もたまにいますが、そういう時は子どもの気持ちを受け止めつつ「じゃあどうしたらいいと思う?」と、子どもが自分で考えられるようサポートします。

また先ほどの算数の問題では、リンゴとバナナの個数によっては二等分することができますが、実際問題必ずしも二等分できるとは限りません。

二等分できる個数でない時、一人が誤ってたくさん食べてしまった時、カラスに奪われて食べられる個数が減ってしまった時、お腹が痛くなったけど食べたい時、他にも食べたい人が現れた時…。

問題の状況が変わることがありますし、当事者たちの気持ちも変わることがあります。

学校の授業だけではなかなか経験できない問題解決が、自然体験で培うことができるのです。

大きくなるにつれて子どもが自分でできること、自分でやるべきことはどんどん増えていきます。

しかし発達段階としてできることが増えても、実行する勇気、計画性、他人との合意形成などは、経験を積み重ねないとなかなか培われないものではないでしょうか。

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先日行われた学童の子どもたちが行くキャンプで、その積み重ねが目に見えることがありました。

砂浜でアサリをたくさん取ったFさん。仲の良いTさんとYさんと話し合って、取ったアサリを調理して食べることにしました。

TさんとYさんが調理を担当する代わりに、最終的にアサリをどうするかは二人が決めていいことにもなりました。

二人で話し合って、アサリの味噌汁とアサリの直火焼きを作ることになりました。

そこで、調理をするためにどの道具が必要か、何時までに道具を返却しなければならないか、返却時間に間に合わせるために何時までに調理を終えなければいけないかなどを話し合って、ケンカすることなくテキパキと作業を進めていきました。

「○○くんの分も残しておこう」
「Yのやつ、さっきもう食べないって言ってたけど、おいしいから食べるかどうか聞いてみる」
「リーダーも手伝ってくれたから味噌汁飲んでいいよ」

他人への無理のない思いやりや、自然に口から出る心からの「ありがとう」の姿を見ることができて、ガイアの活動の成果を感じられる一コマでした。


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