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デジタルイラストに関してふと思った雑感

この動画を見ながら、日本のデジタルイラストレーション の事を考えていた。主に厚塗りの方。

デジタル時代になってから、中世の油彩画における甲冑や宝石などの表現が日本のイラストレーションに多く取り入れられてると感じる。特にこの動画にあるような表現の仕方が意外とピンと来るのだ。

これは西洋式の甲冑そのものを描くファンタジー系の厚塗りイラストが増えたからと言うのもあるのだろうが、デジタルの特性にも関係するのではないか。端的にペインターやフォトショップが「こうした表現」の上に設計されている所から起こる現象のような気もする。

もちろん、その前の絵具の世界からTRPGの世界などがあり、その延長にある日本のTRPG系のイラストレーションなどにも、そういう傾向はあったとは思う。(例えば、末弥純や米田仁士など)

しなしながら、日本のファンタジー表現は(末弥純は、かなり厚い塗りをしていると思うが、)全体的には、水彩画、あるいは、日本画的な趣きがありながら甲冑を描いている作家が多かった気もしている。これは若い時のおぼろげな記憶を辿ってるので完全な雑感だが、ちょっと淡いというか、ゴテゴテの油彩画というよりも参照項としてはミュシャあたりの表現の仕方が一番しっくり来る感じではないかと(例えば、出渕裕などは代表的な作家だろう)。

もちろん、今でもミュシャはこの分野における一番人気の作家ではないかとは思うし。イラストレーションというものの持つ職能性を考えるとミュシャのようなデザイナーとしても活躍した作家の方が参照項として強いのは当然だと思うが、しかし、デジタル表現の仕方を考えると中世の画家、例えば、動画のベルメホや、あるいは、ルーベンスのような厚塗り表現の方が個人的には、しっくり来るような気もするのだ。

これは一つには、デジタルは多層レイヤーが使えるので厚塗りしやすいという特性があると思う。また、もう一つには、デジタル初期のDiviantartからpixivの流れの中でデジタル文化がかなり自分発信でアート的に推移した事も関係あるような気もしている。端的にデジタルツールの試作として、欧米のファンタジーイラストレーションも参照にしつつ、満足行くまで何度も描き直した人が多かったのではないかとも思うのだ。

こうした試行と甲冑表現の光の出し方、あるいは、宝石の透過した光などは、かなり相性が良いように思う。

また、もちろん、こうした表現はゲーム(特にRPG)と密接に関わっていて、ゲーム表現自体が3Dになって、その影響も色濃くイラストレーションに反映されて、デザインというよりもリアリティの表現が戻ってきたという側面もあるだろう。その際の描き方がまた昔に戻って中世の油絵に近くなっている面が出てきているのかもしれない。(図像としては違うものになっているとは思うが、描き方が)

以上。全然、この分野に詳しく無いので、単なる雑感で、そもそも全然描き方が違う可能性もあるけど、ボーッと見ながら、ふと思ったので、ちょっと書いてみました。

(ちなみに、上の画像は昔、試しに厚塗りをしてみたイラストです。普段の絵は下のような感じで全然違うので本当に見てて思っただけの雑感です。)


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