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大日本印刷が開発した電子レンジでも焦げない紙カップ、何でも真空パックできるフィルム…各社がしのぎを削る「いれもの」業界徹底取材!

食べ物や、飲み物に欠かせない、「いれもの」。
紙コップに、お弁当箱、紙袋など、いろいろありますが…実は今、このいれもの業界が、とってもアツい!

あのミツカンが、手を汚さない押すだけで出る納豆のタレ袋を開発したり、兵庫県のお弁当会社が、フタ自体が飛沫防止用シールドになる駅弁を売り出したりと、とにかく今「いれもの」は各社がしのぎを削る激戦業界なのです!

そこで、今回のがっちりマンデーは、スゴい「いれもの」をド~ンと特集!名付けて、「全日本、いれものウォーズ!」

真空パック業界が仰天! イクラも…ウニも…隙間なくぴったりパックする新技術! あの1兆円企業が作ったのはレンジでチンできる紙コップ?

アツい! いれもの業界を徹底取材します!

※以下、8月23日放送の書き起こしです。

電子レンジで温めても焦げない紙カップ!

全日本入れ物ウォーズ、まず最初は…

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東京は新宿区に、超ビッグなビルを構える「大日本印刷」

このスケール感、相当、儲かってるんじゃないでしょうか?包装事業部の森さや香さんに話を伺いました。

森さん:大日本印刷株式会社の売上げの規模は1兆4000億円になっておりまして、世界最大規模の印刷会社です。

そう、大日本印刷といえば巨大な「印刷」の会社! 本や雑誌はもちろん、ポスターやチラシ、企業の会社案内のほか、クレジットカードの表面の印刷など、色々印刷しています。 でも、印刷会社って「いれもの」も作っているんですか?

森さん:紙の印刷からキャラメルの箱など、外箱の印刷事業へ発展しています。そこから印刷ができるので、その「いれもの」も作ってしまおうとなりました。

そう、印刷から始まって、今では「いれもの」そのものを作る会社としてもかなりビッグな大日本印刷!

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常に新たな「いれもの」を発明していて、毎年なんと500もの特許を出願する技術力なのです!

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例えば、最近増えているコンビニのお惣菜。これを入れる「いれもの」も大日本印刷。

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ポイントは、電子レンジで温めた時、パンパンになると、蒸気を逃がせるという技術。おかげで、袋ごとレンジに入れられます!

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さらに、サプリメントなどが入る、開封したらもう一度、封ができるパッケージも大日本印刷。

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特徴は、手で開けると、必ず切れ目がズレるようになっているという事。こうすることで、開け閉めしやすくなるんです!なんとも細かい技術!まさに「いれもの」業界の発明王・大日本印刷が今年の2月、とんでもない「いれもの」を発表したんだとか。

という事で、開発チームの山岡貴世さんに話を伺いました。

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山岡さん:我々が開発したスゴい!「いれもの」はこちらです!

ん?紙コップ?

スタッフ:見た目、そんなにスゴそうじゃないんですけど…一体何なんですか?
山岡さん:こちらが電子レンジで温め可能な紙コップです!

そう、大日本印刷が開発したのが、電子レンジで温める事ができる紙カップ!

山岡さん:冷凍食品業界やチルド総菜などの中食市場に展開を考えております。

紙カップをレンジでチンできるので、冷凍チャーハンやおかずをプラスチック容器に入れなくても済むからとってもエコと、食品業界で今、話題騒然なんです。

そもそも、なぜ紙カップが電子レンジで温める事ができなかったのかというと…従来の紙カップを電子レンジで温めると…

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こんな感じで底の部分が焦げちゃう事があるから。

では、大日本印刷は、どうやって焦げなくしたのかというと…

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その答えは、カップの裏側。一般的なものに比べると、形がちょっと違う。この独特な形こそ、焦げないポイント! でもそもそも、一般的な紙カップは、なぜ焦げてしまうのでしょうか?

山岡さん:電子レンジのマイクロ波が当たりまして、そこで発生した熱を逃がす場所がないために焦げてしまいます。

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こちら、一般的な紙カップの断面。実はこの、一番下の空間に、電子レンジで温めた時に熱がこもり、焦げる原因に。という事で、大日本印刷が考えたのが…

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「焦げる空間を無くしちゃおう!」という事。

山岡さん:それがスゴいんです!

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新型紙カップは、カップの足の部分を、中に折り込んで空間を無くすことに。

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確かに内側に折っています。実際に、温めてみると…

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底の部分が、ぜんぜん焦げてない!

でも、ぶっちゃけ、そんなに難しそうな技術ではなさそうですが…
  
山岡さん:新しい紙カップは、構想から5年かかっております。

そう、胴体とくっつきやすくするため、足の長さを長くし過ぎると、紙の反発が強く、くっつかない。逆に短くしすぎても接着面が狭くなりくっつかない。電子レンジ1台1台…、ワット数を変え…、置き場所も微妙にずらしながら…

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焦げれば設計し直し、そしてまたチェックと、地道な作業を5年続け、焦げない紙カップがようやく誕生したそうです。

温めても安全な紙カップで、がっちり!

デリバリー業界大注目の「おりがみカップ」

続いてスゴイ入れ物を求めてやってきたのは…

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以前番組でお世話になった、シモジマというお店。こちら、飲食店さんが使う「いれもの」を色々と売っているのですが、最近はどんな「いれもの」が売れているのでしょうか?マーケティング部の尾尻新吾さんに話を伺いました。

尾尻さん:デリバリーのニーズが非常に高まりまして、機能性に優れている、環境に良い、見た目が良い。この3つの容器のニーズが高まっています。

今、飲食店用に売れている容器が、テイクアウトやデリバリー用のもの。お持ち帰りニーズの急増から、劇的な進化をとげているらしい。

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尾尻さん:最近、爆発的に売れているのが、リスパックという容器メーカーさんと、大手中華料理チェーンさんが共同で開発した「麺丼」という容器になります。

中華料理屋さんにめちゃくちゃ売れているという容器「麺丼」。その特徴は…

尾尻さん:汁が漏れないということになります。

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そう、スープが漏れない。

具材を上皿に、汁を丼に入れる仕組みになっているんですが。パチンと蓋をして…傾けても…

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スープが一滴も漏れません!

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ポイントは、上皿の壁。この壁がある事で…

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上皿の裏側は大きな溝になっています。

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この溝のおかげで傾けた時に、スープこの溝に入り込む!

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フタと容器の接地部分にかかる負担を軽減し、スープがもれない、というわけ。

このように進化が著しいデリバリー「いれもの」業界!シモジマの尾尻さんいわく、今年の上半期、ものすごく売れた入れ物があるらしいんです。それが…

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尾尻さん:「おりがみカップ」になります。

おりがみカップ?

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形は、普通の紙カップと同じですが、おりがみカップには何やら斜めに線がついている。実はこの線が特徴。

尾尻さん:食べるときに食べやすい形に、広がっていくんです!

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そう、こちらの折り紙カップ、カップから…

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お皿に変身する「いれもの」!

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このカップに入れた食べ物を、お店から持ち帰って、お家でカップを広げて、そのままお皿として食べることができちゃう!

これは超気になる!という事で…

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製造元の「シンメイ」という会社へ。出迎えてくれたのは…湯川惣一郎社長!

スタッフ:おりがみカップは売れてますか?
湯川社長:売れております。このおりがみカップは3月~8月までで、3倍のご注文を頂いております。

おりがみカップは昨年から販売されていて、年間1億2000万円売上げているんです。湯川社長は今回の企画、

湯川社長:どこにも負けない自信があります!

気合十分!

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おりがみカップは、1枚の紙を、ギザギザの金型で、ぐっと押して、折り目を付けたら…

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さらにギュっと機械でひねりながら押すと…

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できあがり。

一体、どうやって考え付いたのでしょうか?今回、シンメイと共同開発を行った、群馬県の容器メーカーの大原康弘さんに、おりがみカップの仕組みについて取材させて頂きました。

スタッフ:どうやって思いついたんですか?
大原さん:1枚の紙を金型でプレスして立体にするんですが、その際にシワが出てしまいます。紙が余ってしまう部分をシワとしてではなく、折ってしまおうと。

1枚の紙から容器を作ろうとすると、どうしてもシワが出来てしまう。『じゃあシワをキレイにたためばいいじゃん!』というシンプルな発想から生まれたのが折り紙カップだったのです。

しかし、ちょっと気になるのが、紙を折っているだけなのに食べ物を入れてもなぜ広がらないのか、という事。

大原さん:内側から力を入れた部分は開こうとしますが、外側も同じ力で引っ張り合おうとするので開きません。このバランスが崩れてしまうと開きやすくなったり、開きにくくなったりします。

大原さんによると、おりがみカップは力のバランスが非常にとれている「いれもの」らしい。どういうことかと言うと…

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例えば、大きなソフトボールを…

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上から落として入れても、カッチリそのまま、広がらない。ところが…

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指を使い一ヵ所だけ広げると、簡単に広がるんです!

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つまり、この折り紙カップ、全体に均等に力がかかると、うまく分散して崩れないけど、一ヵ所だけ集中して引っ張ると、急にバランスが崩れ、全体が広がるようになっているんだとか。でも、そんな不思議な構造を持つおりがみカップを、なぜシンメイは、じゃんじゃん作る事ができるのでしょうか?その理由が…

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湯川社長:こちらが従来作ってる商品です。

そう、シンメイはお弁当などに入っている、アノ誰もが見たことあるカップを作っている会社。その国内シェアは、実に30%。なのでむちゃくちゃ作ってる!そういえば、おりがみカップと形が似てるかも!

現在、折り紙カップはパスタチェーンのジョリーパスタをはじめ…

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この夏、かき氷用の器としても活躍中!

シンメイは、おりがみカップでがっちり!

ウニも破れず真空パックにできる万能フィルム!

続いて名乗りを上げたのは…

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「三井・ダウポリケミカル」という、長くて、全然聞いた事のない名前の会社。でも、驚きの「いれもの」を作ったらしいんです!

マーケティング部の服部秀隆さんによると、三井・ダウポリケミカルは、マニアックな入れ物業界で、さらに細かいものを作っているらしい。

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例えば、インスタント麺のカップの蓋の、ペリッとはがれる接着部分に使われる樹脂や…

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お茶漬けの袋の、内側のアルミを、破れないように保護する樹脂など…かなり渋いけれど、入れ物には欠かせない!というものばかり。

そんな、三井・ダウポリケミカル自慢の、スゴい「いれもの」というのが…

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服部さん:こちらです!

登場したのは、立派な牛肉の入った、トレイ。

スタッフ:トレイが自慢の「いれもの」ということですか?
服部さん:いえ。トレイではなく、お肉を真空パックしているフィルムが自慢のいれものです。

そう、三井・ダウポリケミカル自慢の入れ物は、上からピタッと包む、フィルム。

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よく見てみると、確かに、ぴったりお肉にくっついています!

実はこれ「スキンパック包装」という、真空パックをしているんですが…

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三井・ダウポリケミカルが製造する『ハイミラン』という樹脂からできるフィルムを使う事で、ぴったりとパックをする事ができるらしいんです。空気がほとんど入らず包装できるので、お肉などは、肉汁が出るのを抑えられる。だから、日持ちが良くなる。というわけ。

そんなハイミランの包装シートが、スーパーに卸す食品メーカーから引っ張りだこ!では、どれだけぴったりパックできるのか実験!

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熱したフィルムを上から被せ、空気を抜いて真空パックする機械。まず最初に挑戦して頂くのは…

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イクラ!
表面がぷるぷるしていて、すぐに潰れちゃいそうですが。

服部さん:真空パック、ピチッとできると思います。

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ではまず、一般的なフィルムから。イクラをセッティングし熱をかけたフィルムで、一気にパック!結果は…

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スタッフ:ダメだ…

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潰れてしまい、真空パックすらできない。では、ハイミランのフィルムはどうでしょうか?

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スタッフ、イクラをあえてバラつかさせて、お願いしてみる事に。結果は…

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なんと!イクラをつぶすことなく…

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それでいてひと粒ひと粒を隙間なくぴったり真空パック! これはすごい!でも、なんでこんな事が出来てしまうのでしょうか?

服部さん:スゴい伸びる特殊な性能、機能がありまして、ひとつひとつの形に追従していってます。

そう、ハイミランの特徴は、熱を加えるとよく伸びる事。

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機械で熱を加えた時、一般的なフィルムより、伸びているのがわかります。なので、いくらを包むときも、“いくらよりやわらかく包む事ができる”。結果、形を崩さず、隙間なくぴったりパックできちゃうんです。

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豆腐もごらんの通り。しかし、ハイミランのすごさは、これだけじゃなかった!

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イクラと違って、今度は硬く尖ったウニ!

服部さん:隙間なく、ピッチリできます!

本当に大丈夫なのでしょうか?では、まずは一般的なフィルムから…結果は…

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破れてしっかりパックできない。では、ハイミランのフィルムで挑戦して頂きましょう!結果は…

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鋭いトゲ一本一本にまとわりつく用に、破けずしっかりパック!これは一体、なぜ…?

服部さん:金属がフィルムの中にも入っていて、丈夫かつ伸びるんです。

そう、ハイミランには特殊な金属原子が含まれていて、薄く伸びながらも、さらに強度もあるんです!なので、鋭いモノでも、ぴったり密着して真空パックできるというわけ。

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牛肉も…

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イカも…

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魚の切り身だって!何でも隙間なく真空パックしてくれるハイミランのフィルム。この方法でお肉を売っている、ダイエーの黒田朗さんにお話を伺うと…

黒田さん:消費期限が通常のパックですと3日くらい。でもスキンパックだと2週間くらい。約10日間くらい延長しますので、食品ロスの削減につながっていると思います。

どんどんハイミランの真空パックが使われれば、食品業界が大きく変わるかも!

ハイミランのフィルムで、がっちり!

▼スタジオでお話を伺いました。
加藤さん:これはすごい。10日、日持ちするんだったら、少々この真空パックにコストがかかったとしても、全然プラスになりますもんね。
森永さん:そうなんです。お店の立場からしたら、ハイミランの方がフィルム代が高いんですけど、10日も消費期限が延びたら、その間ずっと売れますから、結果、お得なんです。



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