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実物が恋しくなる、そして他者との食事を楽しみたくなってくる食事描写【ゲーム飯】

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先日ふと急に湧いてきた『龍が如く』を遊びたい欲を満たすために、『龍が如く6 命の詩。』、『龍が如く7 光と闇の行方』を続けてクリアしました。『龍が如く7』にて、オープンワールドアクションアドベンチャーからRPGへとジャンルを大きく変えた本シリーズですが、RPG面でまだまだ改善できそうな箇所はあるものの、シナリオやサウンド、キャラクター設定など全体としてのクオリティが非常に高く、あっという間に遊び込んでしまいました。
ジャンルが変わっても龍が如くらしさを貫いた本作ですが、そうしたなかでも気に入った点のひとつとして挙げられるのは、本作の食事描写です。
(なるべくネタバレを隠すようにはしましたが、もしそれでも気になる方がいらっしゃれば、ブラウザバックをお願いいたします…!)
(本記事は「ゲームライターマガジン」用に投稿しておりますが、全文無料で読めます!)

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「龍が如く」ではおなじみとなっている食事システムは、効果が作品によって大きく変わります。もともとはお金を支払ったうえでの体力回復だったり、能力ボーナスや追加効果を生み出すものでしたが、ナンバリング後期の作品になってくると、体力回復はもちろんアクション・パッシブスキルを取得するための経験値へと変換するものに変わりました。戦闘を繰り返し、空腹度を高め、食事をして経験値を溜める。これがアクションジャンルだった「龍が如く」シリーズ後期における成長方法のひとつでした。

RPGジャンルとなった『龍が如く7』では戦闘レベルにまつわる経験値こそ得られないものの、最大3回の戦闘まで発動することのできる追加効果や、仲間との食事を通じて絆が深まったりと、得することが多いシステムになっています。追加効果には攻撃力・防御力アップ、取得経験値アップなど、バフがかかるので、ここぞというときに食事していくプレイヤーも多いでしょう。

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上記のように、シリーズ中でも食事システムや映像描写はすでにあったものの、なぜ本作だけが特に印象に残ったのか。それはシナリオやキャラクターたちとのシンクロがあったからなのだと思います。今作では実際にプレイヤーが料理の品をしっかり見ることができるのが、おおよそイベントシーンのみになっています。(町中を行けば、看板に描かれていたりショーケースなどに陳列されていることがありますが。)

そうした食事が関わるイベントシーンのほとんどが、本作においては大事な局面の場合が多くなっているのです。なにかを決心するとき、親子との食事、仲間との戦略会議や、組織の大物たちとの食事会…… その殆どの場合がシナリオにおける重要なポイントとなっていました。そこで描かれる料理は、どれをとっても非常に美味しそうに映っています。

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先に述べた食事システムを用いた仲間との食事シーンでは、メニューを選びキャラクターのカットが入るだけで、食べる描写は描かれていません。メニュー選択の際に写真は写りますが、口に運ぶ描写はないのです。しかし、連れているパーティメンバー・食事処によっては、食事中に特別なパーティーチャットが発生してそれぞれの仲間の絆がより深まることがあります。

そのチャットで描かれる内容はどれも「ここでアイスティーを飲んでいるとちょっとおしゃれな気分になるなあ」、「鳥の皮って美味しいよね」、「俺たち高級店で食べてるぞ……!」といったように、本筋とはほとんど絡むことのないだろう話題からトークが始まっていきます。トークのなかには、キャラクターの良さをより引き出してくれるものもあったり、メンバー同士の仲の良さを再確認できるものもあったり、パーティをもっと好きになれる描写がボイス付きで聞くことができるのです。

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またかわいらしい点として、パーティメンバーが増えていくにつれて、「いただきます」と「ごちそうさま」と言う声がしっかり増えていくのも微笑ましくて好きですね。その言い方もちゃんとそれぞれのキャラクターっぽさを表現できており、どんどん仲間を増やして、一緒に食事をしたいと思わせてくれるものに仕上がっていました。

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以前のシリーズ作品においても、料理や食事シーンがシナリオやキャラクターを読み解く上で重要になってくるものはいくつかありました。今作で描かれる食事シーンは、食事という行為によってそこにいる人々の国籍や立場をいったん横に置いたり、料理がさまざまな関わりを結びつけてくれたりするものが多くなっています。他者との食事をもっとしたくなる、そしてそこに出てくる料理の実物を食べたくなる。重厚なストーリーや魅力的なキャラクター、EDMチックなサウンドトラックや横浜をモデルにした街並みに彩られた素晴らしい作品ではありますが、それに加えて、リアルでの食事をもっと楽しみたくさせてくれる、そんな一作になっていると感じました。

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余談ではありますが、今作を通じてプレイした結果、久しぶりに中華街へと繰り出したくなりました。普段は仕事帰りにふらっと寄ってはひとりで天津甘栗や肉まんを買って帰るだけでしたが、今度は知り合いや友達を連れてでもいいので、そこで美味しい北京ダックをもぐもぐ食べてみたいですね!


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