アフターデジタルとUXの大切さ

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第13回 藤井保文(株式会社ビービット・東アジア営業責任者)


「講義日:8月10日」

全世界がパンデミックになってしまった原因にもある、新型コロナによってデジタルが議論されている。蜜を避ける方法として、キャッシュレスやウェブ・アプリの活用が注目されている。その中、藤井保文の本も大きな話題になった。「アフターデジタル」という本の著者であり、現在中国で株式会社ビービットの東アジア営業責任者として活躍している藤井さんはアフターデジタル、そしてUXの大切さについて話を続けた。


「アフターデジタルの概論」


中国の現金使用率は大都市を中心にほぼ3%しかない。大体、アリペイやWechatペイですべての決済ができるためだ。このように、元々オフラインの行動だった生活全てがデジタル化されて、個人に紐づき、あらゆる行動データーが利用できる時代になった。

この時代の変化から見ると、日本の企業はリアルにくっついたデジダルで言える。オフラインがだんだんオンラインに変わっている。だからリアルはもういらないわけではない。デジタル化されることで、むしろリアルの大切さが、重要度が高まっている。リアルとデジタルの得意分野が違う。例えば、毎日Netflixを観る人がたまに映画圏に行って映画を観たら、その感動が全く違うように。デジタルとリアルが融合する関係になるのが、アフターデジタルで言えるだろう。

デジタルをビジネスの観点から見ると、現在は行動データーの時代で呼ばれる。それで、企業競争が製品から体験になった。製品から得るデーターはその幅が狭いが、長く使い合いがあれば、ユーザーのデーターパタンが見えると色んなサービス、経験、体験を適切に提供することができる。つまり、多くの企業が品単体で価値提供するしかないことを認識していて、体験全体での価値提供が可能性を広げようとしている。

はたして、アフターデジタル社会の成功企業が持つ共通の思考が何だろう?それは、OMO(online merges with Offline)である。オンラインとオフラインを分けるのではなく、一体として捉え、これをオンラインにおける戦い方や競争原理から考える。つまり、デジタルとリアルが融合することである。現在、多くの企業の社内にデジタルが別の部署に区別されている。ところが、社内の部署が一緒に動かないと本質できなOMOはできない。

今までの社会はメーカーがトップの立場にあった。しかし、行動データーの時代になった今はその位置付けが変わった。中国の場合、決済プラットフォームがトップにいる。顧客の行動を多く分かるためだ。その下に、サービスとメーカーがいる構造になって、様々な業界から様々な顧客のデーターを得るようになった。

そのために、ずっと使えるエクスペリエンスを作ることが大事である。長い使い合いがあるこそ、様々なデーターが得られるためだ。リアルでのデーターもデジタル化して。最も大事なのは、得たデーターはエクスペリエンスに変えないとその意味がないことである。このようなサイクルが回ることで、提供できるエクスペリエンスもきっと増えるだろう。

デジタルとリアルが融合する社会は、デジタルとUXの力を最大使うことで企業が自社のミッションに従ったアーキテクチャを設計、実現ができる。アーキテクチャの意味としては、行動を誘導するための設計である。今は、テクノロジの発達によって、リアルとデジタルの融合が可能であり、人の概念・行動を変える時代になった。映画館よりネットフリックスを観たり、UBER EATSで食事をしたり、現金がなくでも決済ができる。大きな影響力と、同時にリスクもある。生権力の悪用とデータに対する勘違い。結局、恐ろしのはデーターではなく、そのデーターを使う企業の倫理問題である。

UXが問題解決のためだけではなく、倫理的な問題も踏まえて考えないといけない時代だと感じた。藤井さんはビジネスの観点で話したが、倫理の問題はデザイナーとしてもすごく重要なテーマではないかと思った。使いやすいアウトプット、よく設計されたUIも大事だが、これからの社会に及ぼす影響力に責任感を認識しないといけないと感じた。