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4月に読み終えた本

読了時に雑メモを残すことにした。漫画とか写真集とか他にもいろいろ読んだけど、とりあえず文字の本(文字の本?)。

打越正幸『ヤンキーと地元』(筑摩書房)

沖縄の人のインタビュー調査などを読むと、「あー、こんな風に話すよな」ということを思う。一方で、自分と話すような人は関東人である自分にもわかる程度で喋っていたのだということもわかる。
「地元」というものがデカすぎてクラクラする。地元に特別な愛着もなく、最近では地元の友人とも全然会わないので、絡め取られたりあるいは利用していこうという気も起きない。


橋本倫史『ドライブイン探訪』(筑摩書房)

A&W出てくるかなと思ったらはたして出てきた。
紀行的な部分やこういうドライブインのようなところ、読んでるといいなとか思うが、実際は出不精が炸裂するので行ってみようという感じにはならない。
著者の別仕事で牧志公設市場が建て直されることを知り、その前に行きたいと思った。その市場にある古本屋に関しては後述。


ジェームズ・ブライドル『ニュー・ダーク・エイジ』(NTT出版)

この記事で気になった。
テクノロジー(全体)がすでに人間にとって不可知になっているということ。ハイパーオブジェクト。しかしこのハイパーオブジェクトにとっては我々は可知的になっている?そのことがますますテクノロジーを不可知なものにしていくとも言える。想像しがたさを想像すること、グレーゾーンである(にいる)こと自体を考え抜くことの重要性。
個々の事例がおもしろいのが良い
計算論的思考、自分はすぐ否定しがちなので、よくない。なんというか、わからんから迂回しようとしてる感じ。


ハン・ガン『菜食主義者 (新しい韓国の文学 1) 』(cuon)

4月に読み終わったかどうか忘れた。
すべての、白いものたちの』(河出書房新社)を読んで気になったので読んだ。『すべての〜』もそうだが「死」が濃厚に漂う小説を書く人だなという感じがする。『白』は生まれてすぐ死んだ姉とポーランド(作中では明示されていない?)での死(戦争、アウシュビッツ?)が交差するように書かれる。
『菜食主義者』ではもっと濃厚な死の気配が漂う、しかし実際に死ぬ人はいない。血、肉、花、という(鮮やかな)色彩が不穏な気配を醸すのは面白い。『白』を先に読んでいたからかもしれない。


大澤真幸『社会学史』(講談社現代新書)

社会学史の本を久々に読んだ、講義調だったのでだいぶわかりやすい気がした。あるいは自分が意外と社会学史をわかっていたからかもしれない。まあそれは気のせいか。
ブルデューなんかはわりとサラッと批判されてて、読む人が見たら怒りそうな感じではあるが、それもまた一つの書き方なのか。
社会学史の本だと社会契約説とか、意外と入ってこなかったりするので(自信はない)、「社会の秩序はいかにしてある・なるのか」ということに主眼を置いて書いているのは効果的だと思う。


藤本和子『塩を食う女たち』(岩波現代文庫)

「強さ」あるいは「強くならねばいけなかった」こと、それをルーツや歴史から得ていくこと。


宇田智子『那覇の市場で古本屋――ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々』(ボーダーインク)

とてもおもしろい。文章がうまく、本の話もサラッと何気ないように話すのがいい。
ジュンク堂の店員だったというのはおもしろい。那覇のジュンク堂の沖縄本コーナーはすごいので、行くと楽しい。ちなみにこの本はジュンク堂池袋店で買った。
地方出版の話もおもしろい。弊社は出版・編集とつながりが深いので話を聞いたりするが、それはやはり主流?の東京中心の話であって、一方地方を中心に回される出版文化に触れることが少ないので、なるほどな〜という気持ちになる。そういえば与那国島行った話を書いたときに、空港の売店の本について触れていたことを思い出した。
ウララ、市場が閉じる前に行きたい。


武田綾乃『響け! ユーフォニアム』シリーズ(宝島社文庫)

たくさん読んだのでまとめる。現在公開中の『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』を見に行ったら、ムラムラきて、『リズと青い鳥』のときに買い揃えていて途中まで読み進めていたのを最新刊まで読んだ(『北宇治高校の吹奏楽部日誌』だけ手に入ってないので未読)。
アニメ版とはけっこう設定が違っていたりするのだが、やはり原作ということでアニメよりもより細かく書かれている印象。とはいえアニメはアニメで素晴らしいので、オススメである。
今回の劇場版はいわゆる二年生編だが、これもけっこう違う。原作と比べるとだいぶ駆け足気味だが、それをまとめ上げる京都アニメーションはやはりすごい。
スピンオフの『立華高校マーチングバンドへようこそ』も読んだ。こちらもすごくて、成長、依存、支配、嫉妬というモチーフの書かれ方が、ある意味サスペンスである。いま思ったが、『リズと青い鳥』はこちらの作品からもけっこうインスピレーションを受けてるんじゃないかという気はする。
あと本編の隙間を埋める短編『北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話』『北宇治高校吹奏楽部のホントの話』がとても良くて、読みながら「ウオー、なるほどなるほどー」「ですよねー!」「吉川……」「良すぎる」「(泣)」みたいに暴れながら読んだ(自宅です)。