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#1 “しゃきょー主事”ってなーに?

どうも。ゴボー先生です。

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“しゃきょー主事”こと、社会教育主事。

「学校の社会科の先生」なんかと間違えられることもしばしば。
親戚や友人に「どんな仕事しているの?」と聞かれては、毎度のように回答に困るものです。

そんな社会教育主事について、紹介していきたいと思います。

1.どこで働いているの?

社会教育法では、次のように規定されています。

(社会教育主事及び社会教育主事補の設置)
第九条の二 都道府県及び市町村の教育委員会の事務局に、社会教育主事を置く。

社会教育主事の配置は義務化されていて、その多くは教育委員会事務局に勤務しています。

また、教育委員会事務局のほかに、「公民館」や「青少年交流の家」「青少年自然の家」といった社会教育施設に配置されることがあります。

社会教育主事の配置には、いくつかの方法があります。

(1)都道府県や市町村が新規に職員を採用することによって配置する

(2)都道府県や市町村が既存の職員から養成することによって配置する

(3)市町村が都道府県からの派遣を受けることによって配置する

(4)市町村が都道府県からの割愛を受けることによって配置する

(5)都道府県と市町村の間で人事交流を行うことによって配置する

一般的とされているのは、任命権者が“自前”で社会教育主事を配置する(1)(2)の方法です。
※ちなみに私は(1)にあたります。

(3)は、「派遣社会教育主事」と呼ばれるもので、1974(昭和49)年から1998(平成10)年にかけて国の国庫支出金による補助を活用して配置されていました。
国の国庫支出金による補助が廃止されてしまいましたが、一部の都道府県では一般財源を使って、それまでと同様に社会教育主事の派遣を行っています。

(4)は、いわゆる「出向」です。

(5)は、人事交流を通して、市町村が社会教育主事を配置する例が一般的であると思います。

社会教育主事の配置に際して行われる採用については、教育公務員特例法で次のように規定されています。

(採用及び昇任の方法)
第15条 専門的教育職員の採用(現に指導主事の職以外の職に任命されている者を指導主事の職に任命する場合及び現に社会教育主事の職以外の職に任命されている者を社会教育主事の職に任命する場合を含む。以下この条において同じ。)及び昇任(採用に該当するものを除く。)は、選考によるものとし、その選考は、当該教育委員会の教育長が行う。

2.どんなことをしているの?

社会教育法では、次のように規定されています。

(社会教育主事及び社会教育主事補の職務)
第九条の三 社会教育主事は、社会教育を行う者に専門的技術的な助言と指導を与える。ただし、命令及び監督をしてはならない。
 2 社会教育主事は、学校が社会教育関係団体、地域住民その他の関係者の協力を得て教育活動を行う場合には、その求めに応じて、必要な助言を行うことができる。
 3 社会教育主事補は、社会教育主事の職務を助ける。

「任命権者」や「配置場所」「配置状況」等により、違いがあります。

〈任命権者〉
  ○都道府県
    →都道府県の社会教育の推進、生涯学習の振興、文化財の保護、読書活動の推進に関すること
    →都道府県にある市町村の社会教育行政の支援

  ○市町村
    →市町村の社会教育の推進、生涯学習の振興、文化財の保護、読書活動の推進に関すること

〈配置場所〉
  ○教育委員会事務局
    →社会教育の推進、生涯学習の振興、文化財の保護、読書活動の推進等に関する一般的、専門的な事務  (事務系)
    →一般教養や文化・芸術、スポーツ等の事業の企画・実施  (事業系)

  ○社会教育施設
    →施設が対象とする属性の人や活動分野をもとにした事業の企画・実施  (事業系)

〈配置状況〉
  ○専任
    →社会教育に関する専門的な業務

  ○兼任
    →社会教育に関する専門的な業務のほか、一般的な業務や他の施設の管理、他部署との兼務

都道府県の社会教育主事は、国や市町村との連絡・調整の役割があり、事務系が多い印象。都道府県立の社会教育施設がある場合には事業系も。
市町村の社会教育主事は、地域住民を直接相手にする機会が多いことから、事業系が多い印象。
※あくまで私の印象です

3.必要な資格はあるの?

教育公務員特例法では、次のように規定されています。

(定義)
第2条 この法律において「教育公務員」とは、地方公務員のうち、学校(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園(以下「幼保連携型認定こども園」という。)をいう。以下同じ。)であつて地方公共団体が設置するもの(以下「公立学校」という。)の学長、校長(園長を含む。以下同じ。)、教員及び部局長並びに教育委員会の専門的教育職員をいう。
※2〜4を省略
 5 この法律で「専門的教育職員」とは、指導主事及び社会教育主事をいう。

社会教育主事は、「専門的教育職員」と呼ばれています。

専門的教育職員と呼ばれるからには、専門的な知識・技術・経験等が必要になります。

社会教育主事になるためには、国家資格の「社会教育主事任用資格」が必要です。

社会教育法では、次のように規定されています。

(社会教育主事の資格)
第九条の四 次の各号のいずれかに該当する者は、社会教育主事となる資格を有する。
 一 大学に二年以上在学して六十二単位以上を修得し、又は高等専門学校を卒業し、かつ、次に掲げる期間を通算した期間が三年以上になる者で、次条の規定による社会教育主事の講習を修了したもの
  イ  社会教育主事補の職にあつた期間
  ロ  官公署、学校、社会教育施設又は社会教育関係団体における職で司書、学芸員その他の社会教育主事補の職と同等以上の職として文部科学大臣の指定するものにあつた期間
  ハ  官公署、学校、社会教育施設又は社会教育関係団体が実施する社会教育に関係のある事業における業務であつて、社会教育主事として必要な知識又は技能の習得に資するものとして文部科学大臣が指定するものに従事した期間(イ又はロに掲げる期間に該当する期間を除く。)
 二  教育職員の普通免許状を有し、かつ、五年以上文部科学大臣の指定する教育に関する職にあつた者で、次条の規定による社会教育主事の講習を修了したもの
 三 大学に二年以上在学して、六十二単位以上を修得し、かつ、大学において文部科学省令で定める社会教育に関する科目の単位を修得した者で、第一号イからハまでに掲げる期間を通算した期間が一年以上になるもの
 四 次条の規定による社会教育主事の講習を修了した者(第一号及び第二号に掲げる者を除く。)で、社会教育に関する専門的事項について前三号に掲げる者に相当する教養と経験があると都道府県の教育委員会が認定したもの

社会教育主事任用資格の取得には、次の方法があります。

(1)大学や国立教育政策研究所社会教育実践研究センターが実施する「社会教育主事講習」を受講し、修了する
(2)大学・短大が開設する「社会教育主事養成課程」を履修し、必要な単位を取得する

(1)は、社会人になってから、実務経験をもって資格を取得する方法です。
現職の教員や社会教育行政の方が多いですが、稀に、社会教育主事養成課程が開設されていない大学に在籍する学生さんが受講しに来ていることもあります。

(2)は、学生のうちに資格を取得する方法です。
※ちなみに私は(2)にあたります。

2020(令和2)年から社会教育士の称号が付与されることになり、資格の取得の方法によって「社会教育士(講習)」と「社会教育士(養成課程)」に区別されています。

4.これからの時代

法的根拠はないものの、社会教育主事には次のような役割が期待されています。

①地域づくりに関するとこ
  →地域コミュニティの再構築
  →地域産業の持続的な発展

②地域と学校の連携・協働に関すること
  →コミュニティ・スクール
  →地域学校協働本部、地域学校協働活動

③子どもの居場所づくりに関すること
  →放課後子ども教室

社会教育主事は、都市部に比べて地方部の方が多く配置されている傾向にあるといえ、その理由は今日に至るまでの社会教育の歴史にあるといえます。
(※社会教育の歴史について、ここでは省略します。)

昨今、地方部から都市部への人口流出や少子高齢化等に伴い、地方部の衰退は著しく進んでいる中、社会教育主事の立場でそれに抗うことは難しいです。

しかし、ただ知らんフリをするのではなく、“社会教育主事だからできるやり方”で、地域の未来を創造することが求められています。

5.おわりに

今回は、簡単な紹介に留まっています。

“突き詰めるとキリがない”というのが本音です。
それくらい、社会教育の世界は“広く”“多岐にわたる”ものなのです。

社会教育の世界が、少しでも多くの方々に広まればなーと思うところです☹️

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