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035 「あの人嫌い」の原因は自分にある

嫌いという感情は「期待の裏返し」だそうだ。

哲学者の中島義道氏は「嫌い」の原因を8つに分類している。

「嫌い」の原因 中島氏の説
①相手が自分の期待に応えてくれない
②相手が現在あるいは将来自分に危害(損失)を加える恐れがある
③相手に対する嫉妬
④相手に対する軽蔑
⑤相手が「自分を軽蔑している」という感じがする
⑥相手が自分を「嫌っている」という感じがする
⑦相手に対する絶対的無関心
⑧相手に対する生理的・観念的な拒絶反応


嫌いの原因は自分にある

中島氏によると、ほとんどの「嫌い」は1が基盤となり、3か4に移行し、8に至って「嫌い」は完成される。

だとすると「嫌い」の原因は相手にあるのではなくこちらにあることになる。

言われてみればそうかもしれない。

こちらの思惑どおりに行かない時、相手のせいにするために「嫌い」という表現をしていたと思う。

って話をすると、つぎのような反論がでそう。

何の理由もなく殴りかかってきた人を嫌うのはどうなんだ。これでも、こちらに原因があるっていうのか?

でも、考えてもらいたい。

これって「嫌い」というより「怒り」か「恐れ」じゃないかな。

中島氏が指摘しているとおり「嫌い」には嫉妬や軽蔑が含まれている。

これに対して「怒り」や「恐れ」は本能的で、頭の中で作り上げる感覚は無い。

そうなんだよね。

「嫌い」って、けっきょく頭の中で作り上げた心理表現なんだろうね。

これに気づかないと「嫌い」の克服はできないと思う。

(なお、食べ物などの場合、本能的な「嫌い」もあるかもしれないね。)

どうやったら「嫌い」という感情をコントロールできるのか?

さて、どうやったら「嫌い」という感情をコントロールできるのだろうか。

嫌いの正体が「期待の裏返し」だと分かったとしても、それだけじゃ何の解決にもならない。

嫌わないためには「一切誰にも期待しない」が答えになってしまうからだ。

それじゃあ、まるで修行者である。

何とかするには、自分の期待と相手の期待の接点をどう見つけるか?じゃないかな。

例えば、次のようなやり取りになれば、理想である。

お互いの期待の接点を見つける会話例
私「あなたの力を借りたい!」
相手「ちょうどよかった、私も同じことを考えていた!」

でも、こんな偶然、めったにないよね。

ほとんどは、どちらかがちょっとだけ目をつぶらなきゃならない。

それでも「何とか一緒にやっていけそうだね」って気分にはなるかな。

そこから徐々に関係を作り上げればよい。

どうやら大切なことは、こちら側から目をつぶってあげること。

そもそも、「嫌い」の原因が自分にあるんだから、自分が目をつぶるのが道理である。

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