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TAINTED 歌詞&解説

はじめに


2022/8/21に弊バンドの3枚目のフルアルバムになる『TAINTED』の
配信を開始した。
1stアルバムの『BLUE YOUTH SUICIDE FANCLUB』以来の曲数かつ
ドラム・ベースに新メンバーを迎えて初めてのアルバムなこともあり、
新しい名刺代わりというか、「FUZZKLAXON」といえばこれだよね!
という印象を更新できたとおもう、自分でも満足できる形に仕上がった。
以前から全曲解説というものをやってみたかったくて、本作がリリース
されたらチャレンジしてみようと思っていたので今書いている。
思いついたことをつらつらと書いていくのでまとまりがないかもしれないが
アルバムを聴くうえで僕(僕たち)が何を思って作って、何を表現したかったのか、制作当時何があったのかに思いを馳せてくれると嬉しい。

アルバム全体のテーマと小話

アルバムを作ろうと思ったのは2019年に入ってすぐに出したシングル『シャロンのばら/しにたかった』をリリースしてから。
この2曲は新メンバーになったFUZZKLAXONの雰囲気というか、次にやりたい方向性みたいなのを提示できた気がしていて、このころあたりから「アルバムつくりたいっすねぇ~」みたいな話をずっとしていたと思う。

今回のアルバム『TAINTED』のテーマは、楽曲的には
80、90年代のロックを通過したオルタナティブ。洋楽ではその原典
例えばThe Cure、The Jesus and Mary Chain、Sonic Youth、Dinosaur Jrを下地にした(これは前作『SuperAlternative』からに地続きで、より80年代の瑞々しい感じのディティールを出せないかと試行錯誤した痕跡がその後にリリースしたシングル『VANILLA』などにも出ていると思う)
邦楽からは80年代のバンドを再解釈して日本のオルタナティブロックに昇華させたART-SCHOOLとSyrup 16gをお手本に構築している。
これは単純に友達やツイッターの知り合いに好きな人が多く、バンド内でも
意識の共有ができたからと、何より好きだから。

表現のテーマとしては「分断」と「決別」
2019年冬から始まったコロナ禍とその混乱によって現実でもネットでも
人ひとりひとりがどちら側に属すかを表明せざるを得ない状況がかなり増えた。これは身近な人との会話でもそうだし、実際昔の友達や知り合い、音楽関係者等身の回りの方と世間の見方と認識の違いによって袂を分かってしまった。時事的なことを歌うつもりはなかったが、確実に自分にもこの雰囲気は影響があるし、苦しみを書かなければ嘘だろうとおもったので、主軸に据えた。性をテーマにした曲もあるが、人と人(もっといえば君と僕)の関係の話なので、本質的に言いたいことは同じです。

アルバムタイトル『TAINTED』は80年代の音楽グループSoft Cell の 『Tainted Love』から拝借している。
本来Tainted Loveは翻訳すると「汚れた愛」という意味になるんだけど
邦題が「汚れなき愛」という全く逆の意味で名づけられてリリースされたらしく、意図的なのかただのミスなのかはわからないがその矛盾が好きで
今回のアルバムの全体を表すときにもその混乱し矛盾した感じにぴったり
ハマるなと思い決定。そのため『TAINTED』も邦題が決めてあり、『汚れなき恋』です。わはは。

T1.シャロンのばら

僕は恋をした いまさら
風に揺れる 君を見た
夏の太陽が こぼした
滴が僕の涙さ

君の声がした たしかに
高い音で 少しだけ
垣根に咲いた 白い花
君の脚と 揺れている

気づいてほしい 僕のこと
まだ美しい その瞳で
見つけてほしい 僕のこと
どんな顔をしてるか教えて

今解ったんだ いまさら
この祈りは 届かない
君の白さを 願っても
勝手に汚れてくのさ

気づいてほしい 僕のこと
まだ美しい その瞳で
見つけてほしい 僕のこと
醜いその 言い訳を聴かせて

知らない絵の具が 混ざっていくように
むき出しの果実が 腐っていくように
今気づいたんだ 昨日の 
悲しみさえ黙る朝
夏の太陽が こぼした
滴が僕の涙さ

気づいてほしい 僕のこと
潤んで輝く瞳で
見つけてほしい 僕のこと
汚れてしまったその体で
気づいてほしい 僕のこと
まだ美しい その瞳で
忘れないでほしい 僕のこと
どんな顔を してるか教えて

歌詞の解説

度々twitterで話してるのでご存知の方もいるかもしれないけど
一目惚れした人が青姦しているところを見つけてしまった歌です。
創作物のジャンルの中にBSS(僕が先に好きだったのに)というものがあり、
まだ付き合っていないしなんなら話したこともない人に勝手に純潔さを求めてしまい、現実を見て絶望するまでがこのジャンルの様式なんですが、
その主観の愚かさが僕は人間らしくて好きなので身勝手さを前面に出しています。
相手側ではなく好きな対象に恨みの矛先が向いているのも愚かですね。

・「揺れる」は性行為の隠喩
・「君の声がした たしかに 高い音で 少しだけ」←喘ぎ声のこと
・夏の太陽がこぼした滴=夕立 転じて僕の悲しみで夕立が降り、行為が中 
 断されればよいのにという意味合い

タイトルは旧約聖書の雅歌の2章から始まる有名な詩を元にしています。
ソロモン王が書いたとされる詩で、その示唆に富んだ文章から解釈は諸説ありますが、僕はそのまま愛の詩と解釈しとりいれています。
今回のアルバムは全体的に旧約聖書モチーフです。
なぜ急に宗教モチーフ?と思われるかもしれないですが、僕がもともとそういう話が好きなのと、

アルバム作り始めの時期にビリーアイリッシュを聴いたときに
歌詞の内容に少しびっくりしたから。
あえてファンタジーっぽく(悪く言えば厨二っぽく)言葉を選んだ曲なのかも
しれないが、日本人より聖書が身近にあるアメリカ人の中で
キリスト教的なフレーズや表現はどれくらい受け入れられているのか?ティーンに伝わるのか?についてずっと気になっていたので、この曲の歌詞は衝撃的だった。「普通にルシファーとか使うんだ」みたいな。
それで自分の作詞にももうちょっと宗教的なフレーバーを足してもいいかなと思えた。

T2.BRENDA

ブレンダ、その身体
ちぎれた指は幻 パンを焼いた朝
僕は 何も知らない

逃げ出した コーラの瓶をショットガンで打つ
ベッドの上、髪の毛が 首を絞めるのさ

パパ、ママ 僕に教えて 今からどこに行くのか?
これから 誰を騙して 何を信じればいいのか?

噛んだジェリービーン、テディベアを抱き寄せた
君をやめた朝、それは誰も知らない

待つ間 アラディン・セインを聞きながら you’ll make
目を閉じて こめかみに 指をさすのさ

パパ、ママ 僕に教えて 今からどこに行くのか?
これから 誰を騙して 何を信じればいいのか?

赤い靴が似合うと みんなから言われたのさ
4月のことを教えて、君の名前?そう

"BRENDA" ( ) was told so, "BRENDA" ( ) was told so,
"BRENDA" ( ) was told so, "BRENDA" ( ) was told so,

歌詞の解説

歌詞のモチーフはデイヴィッド・ライマーから。結構歌詞の内容は
デイヴィッド氏のことを調べればわりとすぐにわかると思う。
・「ちぎれた指」←陰茎のこと
・アラディン・セイン⇒デヴィッド・ボウイの6枚目のアルバムのタイトル
 および表題曲。「you’ll make it.」の歌詞にプラスの方向にもマイナスの方
 向にも勇気づけられるパワーがある。

T3.VANILLA

光を求めて 僕らは歩いた
世界の果てまで 二人で行こうとしてる

ピンクのワニから 逃げた森の中
木の実を拾って 二人で分け合うのさ

ヴァニラ、甘くて白い ヴァニラ、君のそばに
居たいな その大きな瞳が 笑っているのを見たい

I called you " VANILLA"

小川をたどって 海にたどり着く
動かない手足を 引きずり洞窟の中

僕を許してほしい
I called you " VANILLA"
I want to waiting for , waiting for...

光を 求めて 光を 求めて

歌詞の解説

この曲は病弱な「君」を無理やり連れだしこの世の果てを目指そうとしますが海にたどり着いてしまい立往生しているあいだに君が死んでしまうという曲で、7曲目の「七日目の土曜日」に繋がってくる曲でもあります。

ちなみにバニラの花は寿命が一日しかないにもかかわらず花言葉は「永久不滅」たとえ死んでも記憶に深い爪痕を遺す存在としてふさわしい名前。

T4.KATY

ねぇ、ケティ ナホトカの灯を昨日見た?
抱き合って ソファに寝転ぶ二人は
震える頬を 寄せ合う

生きてきて 間違いをたくさんしてきて...
君を見て 体が固まるのさ

ケティ 幸せは僕の頬を何故
すり抜けて こぼれ落ちてしまうの?
ケティ 君の蒼い その目を見るたび
あの日の ひどいこと 思い出すんだ

人生のものさしが 僕を測るとき ***
君の手は 隣には無かった

ケティ 素晴らしい日々が続くほど
頭の中だけが 溶けてゆくのがわかるよ

ねぇ、ケティ 悲しみはすでに生まれてて
横たわる 君に少し キスをした

ねぇ、ケティ ナホトカの灯を昨日見た?
抱き合って ソファに寝転ぶ二人は

ケティ 幸せは僕の頬を何故
すり抜けて こぼれ落ちてしまうの?
ケティ 耐え難い 日々を生きてきた
僕らは何もかも 掴めなかった

歌詞の解説

五木寛之の『青年は荒野を目指す』を読んだ時に書いた曲で
完成したのはかなり前。おそらくこのアルバムで一番古い曲です。
隠喩などなく結構ストレートな歌詞。今おもえば『青年は荒野を目指す』
に影響を受けているわけではなく、すこしワードを拝借した感じですかね。
僕は基本的に歌詞の中で何かを展開させることをしないで、
その瞬間のシチュエーションを一曲分の歌詞にします。
KATYも例にもれず、ただソファの上で抱き合って寝て、意味もないのに
勝手にむなしくなって泣いちゃうような、手に入れているようで空っぽ
なような曲です。

T5.従順な獣

光がさして 呼び声が聞こえた
あなたの声では 無かった気がした

寂しいときは あなたに寄り添って
涙が出たら  そっとそれを拭うよ
なぜなら僕は 従順な獣
邪魔な時には すぐ檻に戻るよ

檻に鍵は 掛かっていなかった
入ったときから 気づいてはいた

眠れないときは  体温をあげる
動けなくなっても なにも構わないよ

光がさして 呼び声が聞こえて
檻が開いていても 外には出ないよ

なぜなら僕は 従順な獣
「君」の言うことだけを 守るペット

歌詞の解説

僕のバンドはメンバー内でよく言葉遊びをする。
大体僕がふざけて意味のないことを言って、あとのふたりが受け止めてくれたり反応してくれたりするわけですが、
確かgirl ghostにお呼ばれして東京で出たライブの帰り
「なぜなら俺は 従順な獣」をキーワードに上下に文章を配置して
パートナーの尻に敷かれる男の悲哀についての大喜利をしていた
時に生まれた。とにかく「従順な獣」というワードがその時はなぜかウケていた。
この曲はベースの米津氏が案を持ってきてもらってそこから福永が作曲をしたもので、大元のフレーズや構成・モチーフは米津氏のもの。
そこに以前ウケた従順な獣がハマりそうだと思ってそこから歌詞を盛り込んでいった。
獣は人に勝る強い力を持っているのに飼いならされると檻を壊すこともできなくなる。
今回のアルバムテーマでの一つの妥協点になっていて、
自己犠牲と見るかそういう形の愛と見るかは聴き手による。


T6.Stimulation

実感 焦燥 気づいたら 灰色の視界で
僕は独りだけ弾かれて 醜い外見を知った

空想の抗争 頭が 唯一の預言者
聴こえたフリをしなくても 感覚は

*Stimulation is done, Stimulation is dawn,
 Stimulation is down, Stimulation? don't,
 Already done
 Stimulation is done, Stimulation is dawn,
 Stimulation is down, Stimulation

観客と歓声抜け落ちた ラッパの気配で
この世の終わりに気づいても 静かに息を吸った

直感 偶像 心は いつでも偽善者
指先で触れるものさえ 感覚は

*Repeat

陽性反応 現実が 目の前で崩れ去って
防衛本能 感覚が いくらでも鈍っていくんだ
何も 感じない なんにも 感じないんだ
言ってくれないと なんにも

*Repeat

歌詞の解説

従順な獣のベースリフをそのまま早くしてつなげる2部構成的な曲
これはヨハネの黙示録からのモチーフが強い。あとは結構コロナ禍の影響が出てる感じ。
「感覚の鈍り」をテーマにしていて、それは病気だったり、物理的なものもありますが、平坦な生活によってセンスが摩耗していくことをメインに描いている。
「ラッパの気配」⇒黙示録のラッパ吹き
ちなみに弊バンドドラムのITO氏から「チェンソーマンっぽい雰囲気で良い」と評をいただいています。意識はしました。

「これだけ新約聖書モチーフじゃん」と思ったそこのあなた……鋭い!

T7.七日目の土曜日

息を吐きだそう 白くて透明な
痛いくらいの 冷たい朝に
彼女は裸足で 遠くに飛び立っていた
弱いからだと  清らかな心

たしかに、たしかに 僕らは光の中にいた
それでも失う ものがあった 朝のこと 思い出して

白いベッドに 光が溢れてる
熱いくらいで 一人で笑った

天使が 落とした 君のぬくもりだけ

たしかに、たしかに 僕らは光の中にいた
すべてを失う 覚悟をした金曜日のこと

世界を拒んで 二人で逃げ出そうと決めた
次の日君だけ 冷たかった朝のこと 思い出している

それだけ それだけ それだけ それだけ
それだけ それだけ それだけ

君の 髪の匂い 新しい朝
それだけ それだけ

歌詞の解説

ユダヤ/キリスト教での「神」は日~金の六日で世界を作り、七日目の土曜日に休んだそう。(安息日が土曜か日曜かも諸説あるが……)病弱で外に出られない女の子を無理やり連れだそうとする歌で、女の子の方
を少年にとっての「神」とし、六日間で少年の心に世界を作り七日目に休ん
だ(死んだ)という内容。「失うものがあった朝」や「次の日君だけ冷たかっ
た朝」で明確に死亡しているのがわかります。
「神」がいないくなった現実世界で少年がどう生きるのかはわからないが
一生失うことを思い出す人生のはず。

T8.TAINT

暗闇で 迷うときには 僕の眼球を燃やしてあげる
君の行く先を照らすよ

君の夢を 叶えてあげる 楽園から出たいときには
僕が林檎の皮を剥いてあげるよ

*なにか言いたいなら 目を見て教えて
 震えてしまうなら   何も話さないで

綺麗な髪 撫でてるときに なぜ僕が 食べないか分かる?
安らぎ なんてまやかしさ

愛がなにか 教えてあげる 簡単さそれは「XXXX」
わからないこと全部教えてあげる

*Repeat

暗闇が 君を襲うなら 先に僕が奪ってあげる
目に見えるものだけ信じないで

手を握って 二人で逃げよう ウソばかりのこの楽園から
安らぎなんて まやかしさ

*Repeat

歌詞の解説

旧約聖書 創世記の3章。有名なアダムとイブが楽園を追放されるエピソードをモチーフにした曲です。
知恵の実(林檎)をイブに勧めたのはヘビですが、この曲ではアダムとヘビを同一視しており、わざわざ林檎の皮を食べやすく剥くなどちょっとズレた価値観を持っています。
僕の作詞の傾向として、1stミニアルバムの『骨になるよ』しかり
相手のために尽くす健気さがあるように見えて実は独善的で押しつけがましくねちっこい歌詞を書くのが大好きだが、この曲は上手くそれが出せていると思う。

T9.体温

僕は運命を信じる 想像より汚くても
繰り返し見ても 変わらない
体温計の光で 照らして
照らして 僕を照らして 照らして

辛い現実を受け入れる その上で強く生きる
暗い旋律を奏でる   無意識ににじみ出てる
想いは 想いは どっちか分かってる?
気づいてる?

夏の匂いを嗅ぎたい 君に会って謝りたい
心を取り戻したい   僕の身体は動かない 
わかってる、わかってる、それはわかってる わかってる
僕はわかってる

僕の運命は変わってく  そのたび受け入れたくなくなってる
ひどい現実は変わらない 僕らの生活はすこしだけ
腐ってる 悩んでる それも不安定 もう笑ってる

君と脚を揺らしたい 夏に会って笑いたい
鼓動を取り戻したい   今も身体は動かない 
わかってる、わかってる、それはわかってる わかってる

僕は運命を信じる 想像より汚くても
繰り返し見ても 変わらない
体温計の光で 照らして

歌詞の解説

2nd Album『SuperAlternative』に「僕らの生活」という曲があります。この曲結構好きと言っていただけることが多くうれしいが、アルバム収録当時に
バンドが解散しそうな雰囲気(険悪ではないし仲いいけど、メンバーそれ
ぞれが別の道を見据え始めてるときありますよね?あの独特な雰囲気です。
悪いことではないと思う。)を感じていろいろと思うところを曲にした経緯が
ある。結果としてFUZZKLAXONはまだ続けることができたのでアンサー
ソングを書いてみようとして作り始めたのがこの「体温」という曲。
そこにちょうどコロナ禍が重なりまた思う部分も増えたのと、なるべく「ぼくらの生活」のように思ったことをストレートにというコンセプトで書いている。
「僕は運命を信じる 想像より汚くても」とかのフレーズはお気に入り。
ちなみにこの曲はもう一個やりたかったことがあって、「瞳を閉じて」みたいなよく考えたらおかしい歌詞(閉じるのは目で瞳は閉じられない)
をやってみたくて「体温計の光で 照らして」という歌詞を入れた(体温計はそもそも光らない)けど
体温計の温度次第で行動が変わる生活をしているのでまぁ行く末を照らしてるのかもしれない。

T10.Perfect Summer

太陽、伸びる影
僕を見下ろす 夏のヒマワリ
全部が怖かった 独りになった その時から

細胞、銃声
人の群がり 愚かな声
全部 嫌いになった 君と会った その時から

すべてが儚い 綺麗なものしか見たくない

君が起こした奇跡も   二人過ごした 季節も
あの溶けそうな日差しも 全て無かったの?
誰も知らない秘密    すべて隠した光を
僕はまだ覚えてる    あの夏の日のこと
パーフェクト・サマー

「痛いよ」 密室 季節の終り 枯れるヒマワリ
カーテンを締め切って 二人の夜を 作ろうとした

すべてが溶け合う 歪んだものしか愛せない

君が遺した 世界と   僕が拒んだ未来が
二人置き去りにして   今も動いている
そんな意味のないもの  なんの価値もない朝
全て壊して抱き合おう  いつか心まで引き
裂かれるなら

世界が消える 5秒前に
君の顔が思い出せなくて
ただなんとなくいつもの明日が
きっとそこにある気がして

君を亡くした痛みも   その溶けそうな笑顔も
僕が紡いだ言葉も    全て覚えてる
あの日誓った想いも   二人交わした約束も
君を殺した全ても    何もなかったの?

ただひとつ確かなこと  君を照らした光は
今も降り注いでる    祈るようにつぶやく 
パーフェクト・サマー  出逢えるなら
パーフェクト・サマー  パーフェクト・サマー

歌詞の解説

三秋 縋氏のこのツイートで全部説明ができてしまうけど、
概念上の「最高の夏」「あの夏の日」「夏の思い出」をまとめて「パーフェクト・サマー」として「夏と君と僕」をテーマに曲をつくった。
それに加えてアルバムのテーマである「分断」のテーマとして
ビターな別れ方をするセカイ系のアニメやゲームをある程度イメージしている。
「痛いよ」 密室~で行為の隠喩としたのは自分の中では思い切ったと思う。


T11.アデラ

公園、澄み切った日差し 君の横顔
遠くを見つめる目を見て思ったんだ
青年、締め切った未来 曲がった足跡
手をふる姿を見て初めて気づいたんだ

僕らは二度と もとには 戻らないままで 進むのさ
僕らは二度と もとには 戻らないままで 進むのさ

きっと、あとちょっとの薄い 壁がそこにあって
大事なことだけが 聞こえないみたいだ

風船、しぼんで落ちる 虚しい気持ちを
一生忘れたりしないと 誓ったのさ

僕らは二度と もとには 戻らないままで 進むのさ
振り向きもしないで 二人は 言葉もかわさず 進むのさ

僕らは二度と 僕らは二度と 僕らは二度と 僕らは二度と

歌詞の解説

アルバムの曲順をどうしようか話し合っているとき、ベースの米津さんから
「アデラは最後に置いたときに解放感があるので最後にしよう」という提案があった。実は前作の『SuperAlternative』でも曲調が浮いている「MAD GALAXY」を一番最後に置くことによって解放感を出していたので同じことをするのに若干抵抗感があったんですが、やってみると見事にハマりました。
後味が爽やかだとアルバム印象もいい具合に軽くなり良いですね。
この曲は疾走感のある曲調のわりにテーマは決別です。
あまり明るい感じでもなくアルバム全体を経由して解り合えない存在だということがわかり離れるという流れですが、
「君」は先を見据えて、「僕」は行く先も解らず停滞しています。
理解しようとして近づく/理解したつもりでくっついていても、ちょっとしたズレが大きくなっていって、いつかは離れてしまうのかもしれないし、
最近は身近な人たちとの関係でそれを感じている。

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