イベント登壇で話した「SEOノウハウ」書き起こし
SEO・SNSマーケそれぞれを得意としたインハウスマーケターが話すイベントで、僕もSEOのお話をさせていただきました。半年ほど前なのですが、その時の内容で運用をしてくださり成果が出たなど好評だったこともあり、登壇した内容を基に忘備録も兼ねてnoteにも記そうと思い立ちました。
こちらで解説した自分のブログでも、このSEOメソッドで運用していました。
旅行分野を中心に企業としてのメディア立ち上げ、運用強化にも複数関わってきましたが、自分がやっていた規模的に数百万PV狙いになります。目指せるアクセス数自体は領域選定で大きく異なります。
資料もキャプチャで一部のみ貼り付けます。
SEOの基本方針
まず最初にSEOの基本方針は、この2点と捉えています。
①主要KWの共起語をサイト全体で網羅させ、トピック関連性の向上
1つのKW(キーワード)を1つのページ単位で評価するのではなく、その関連KW群に対してサイト全体でどれだけ満たしているのかが大切。1対1での対応ではなく、N対Nの構図。
- サイト全体の網羅性
例えば[飛行機 予約サイト]でも、それに関する記事が1つあるだけでは上がりにくく、サイト全体における「飛行機 予約サイト」に関する有益性が見られる。
- 主要KWの共起語
加えて、[飛行機 予約サイト]に対してだけの情報では効果が少なく、[飛行機 予約サイト]の関連語である[飛行機 乗り方]の情報もサイト内にある方がより評価されやすい。
②戦略的に主要目標LPを定め、被リンク/内部リンク共に特定ページへ集約
1つ1つのページで独立して勝負するのではなく、サイト全体の多くのページの中で戦略的に主要目標LP(ランディングページ)を定める。どのKWに対して、どのページを上位表示させたいのか。その特定ページに対して、被リンク/内部リンク共に集約させる。
初心者にとってはこれだけ言われても掴み所が少ないと思います。この前提方針を理解した上で実際の取るべきアクションの解説をしていきます。
SEO対策の3本柱
意識する軸としては「テーマの関連性」・「サイト全体の質」ですが、実際のアクションとしては大きく3つの軸に分かれます。
・内部施策
・コンテンツ
・外部施策
全て共通していることは、「Googleというプラットフォームの思想に寄り添い、ユーザーにとって最も有益なサイトであること」に変わりないです。目的は同じで3つのアプローチ方法があるということです。
このなかでも影響力が大きいのは、本質的な部分でユーザーに直接関わる「コンテンツ」です。 内部施策と外部施策は補助。
それぞれの目指すべきこととアクション内容を解説していきます。
1. 内部施策
内部施策は、自分たちが持つ「良いコンテンツ情報」をGoogleに適切に伝えられるようにすることです。せっかく良いコンテンツがあるのに、コードやサイト構成が悪いせいでGoogleに正しく評価されないという機会損失を防ぐこと。
内部施策の論点は主に3点
・コードの書き方
・内部リンクの設計
・マイナス評価ページの有無
主にサイト構成の話で、どのようにサイトが構築されているのかというお話です。内部施策のなかには、サイトの裏側のコードを触ったりする部分も含まれますが、正直ここで大きな差がつくことはないです。
コード部分はGoogleが推奨している正しいHTMLで記述していれば問題ないので割愛します。知識のない個人が行うレベルでも、最近だと「WordPressの人気テーマ」はほぼ全てSEO対策に十分なコード記述されています。基本考えなくてよいです。
内部施策で強く意識すべきことは「内部リンクの設計」と「サイト全体の質」です。 行動としてはこのようになります。
・内部リンクを特定ページへ集約
・マイナス評価のページをなくす
1-1. 内部施策:内部リンクの設計
Googleはリンクを辿ってクローラーが検知しにくるのでリンクを張り巡らせることで評価される機会は上がります。外部にしろ、内部にしろ関連性が高いページからより多くのリンクをもらっているページは評価されやすいです。
・関連性が高いコンテンツ同士は内部リンクで結びつける(網羅性をよりアピール)
・均等ではなく、重要ページに内部リンクをより集める
ページ内でリンクを貼るだけでなく、サイト自体の設計で内部リンク効果を高めることもできます。例えばの事例
・オウンドメディアをサブディレクトリで運用することで本体ドメインのSEO評価も上がる
・口コミページなどあれば、重要商品ページの直下におく
・パンくずはしっかり表示させる前提
※内部リンク設計は正しく張り巡らせることでユーザーの実の利便性が上がるので、分類としてはコンテンツ施策に近い。今回はサイト自体の構成で効果を高められることも述べたかったので内部施策のなかで紹介した。(どちらに分類されようが行動は変わらないですが一応補足までに)
1-2. 内部施策:サイト全体の質
最後にサイト全体の質が大切であり、プラスだけでなくマイナスをなくすことも大切です。ページ単位で、常に低品質ページを洗い出し、非公開 or NoIndex化 or 改善しましょう。
・非公開:一番シンプル。ユーザーに見せる必要のないページ
・NoIndex化:ページをおいておく必要がある。Googleのクローラーに評価させなくする。
・改善:実際に改善して評価を上げてもらう。ユーザーにとっての意味あるものとGoogleの高評価は基本一致なので1番本質的ではある。
2.コンテンツ施策
今のSEOの最重要な部分は、どういうコンテンツが記載されているかという本質的なことになっています。
実際のコンテンツ作りの基本は
ユーザーのニーズに応えることは当たり前で、ニーズだけでなくインサイトを捉えたコンテンツ製作が大切
"インサイトを捉えたコンテンツ製作をしターゲットクエリで上位表示させる"ために必要なステップを紹介し、ステップごとで重要なSEOの考え方を解説していきます。
新しく何かを始める場合は領域選定から入ります。今回のイベントでは事業会社で働いているインハウスマーケターが対象者だったため、今回はもう販売したい商材やサービス領域が決まっている人が多い。なので領域選定の話は割愛し、分野が決まっている前提で進めます。
2-1.コンテンツ施策:ターゲットKWのリスト化
闇雲にコンテンツを生産するのではなく、まずは上位表示を取りたいKW(クエリ)のリスト化です。KWの選定を誤るとそもそも上位表示を取れても意味が薄くなってしまうので、かなり大事です。
どういったクエリで検索したユーザーに自社サービスを届けたいのか = どういった感情/状態の人にサービスを届けたいのか?
この3パターンに分類して、KWのリスト化を行なっています。
A. 主要顕在クエリ(CVに繋がるKW)
B. メインクエリの共起語
C. 関連想起KW・固有名詞
A. 主要顕在クエリ(CVに繋がるKW)
もっとも分かりやすいでしょう。商品を購入する角度が高い層が検索するKWです。僕のブログの場合での例だと、
「飛行機 予約サイト おすすめ」
このクエリでページにきた人は直近で利用する飛行機予約サイトに悩んでいて、僕が紹介した「おすすめの飛行機予約サイト」のなかから選んで利用してくれる可能性が高いです。実際に制約するとアフィリエイト収益が入る。
実際に直接収益を生んでいるKWは、全体流入のうち1割未満に限られています。
B. メインクエリの共起語
C. 関連想起KW・固有名詞
BとCは直接の成約を考えなくてokです。リスト化で重要なのが、自社ユーザーが検索しそうなクエリのなかでCVを生まない潜在層向けクエリもリスト化することです。Aの顕在クエリとの関連性が強いKWで上位表示を取れているとKW網羅性が上がり、メインKWでの順位を上げることができます。
僕のブログの場合での例だと、「飛行機 座席指定」など。飛行機予約を調べている人の多くが、座席指定のことも気になっており、この関連ワードで上位表示を取るコンテンツを持つことで 「飛行機 予約サイト おすすめ」でもより上がりやすくなる。
Aのメインクエリのサジェスト・共起語を取ることはマストです。あとは検索ユーザーが他にも興味ありそうな関連想起KW・関連する固有名詞をユーザーの気持ちになってどれだけ出せるかはセンスが問われる。
2-2.コンテンツ施策:リスト化したKWをグルーピング
上位表示を取りたいKWをリスト化できた後のここも、大事な工程です。リソースは限られているので、全部1KWにつき1ページで対応する必要はなく、複数KWを戦略的に1つのページで拾えるように設計する。
リソースを理由に先に出しましたが、むしろインサイトが同じ内容のクエリは同記事で対応した方がユーザーにとっても有益なので、関連KWも同じ記事にまとられめた方がメインKWで上位表示もしやすくなります。
例えば観光系の事例を出すと、
「ハワイ 気候」
というKWはかなり多く検索されているワードです。実際にユーザーが知りたいこととは何なのか?を考えてみます。
「ハワイの気候はこうなのか〜〜だから半袖メインでいいかな〜」
といったように、気候を知りたい先には服装を決めたいというインサイトもある場合が多い。
だから「ハワイ 気候」・「ハワイ 服装」の2つのKWに応えた記事は1つの記事にまとめる。
2-3.コンテンツ施策: 記事構成作成
ここからは決めた目標KWで、実際に上位表示させるための製作に関する説明に入っていきます。
記事構成 = どういった内容を含む記事とするのか
文章表現などでの読みやすさは次のステップの4で詰めますが、まずはどういった記事にするのか記事構成を作りましょう。全部1人でやる場合は、3と4が厳密に分かれない場合もあります。
複数人で運用する際はどういった内容を含めばよいのかを考える記事構成作成担当と見やすい記事にしあげるライティング担当に分けることをおすすめしています。個人的には構成でSEO上位を取れるかどうかの50%以上は決まると思っています。
▼記事構成を作成する際の重要な3ステップ
1. 10位以内表示の記事内容を全て網羅
2. ターゲットKWのサジェスト内容も含む
3. 検索ユーザーが触れる媒体から関連情報抽出
1. 10位以内表示の記事内容を全て網羅
まず前提としてGoogleとしてはシンプルに良いものを上から順に出すわけではなく、様々なパターンのページを検索結果の1ページ目(10位)に入れたいと考えている。良質なコンテンツ順ではなくユーザー目線でのバラエティの豊かさを重視。だから自分の記事の現在の上位表示結果のなかでのポジショニングを考えておくことが必要。
だからまず、現在の10位以内表示(上位表示)の記事内容を全て網羅することが早いです。もちろんパクるというわけではないです。現状の上位表示コンテンツは「Googleがユーザーが求めているものとみなしている内容」 である可能性が高いので、要素をできるだけ抽象化して取り込んでいく。
どのポジショニングを取るかというと、一番情報量が多く、全てが網羅されているコンテンツを狙いにいくことになります。
2. ターゲットKWのサジェスト内容も含む
これは分かりやすく、かつ効果が非常に高いので必須中の必須。サジェストはその検索ユーザーのインサイトに繋がります。サジェストは誰でも簡単に無料で取れる。
例えば「飛行機 座席指定 」というターゲットKWのサジェストの1つに、
「飛行機 座席指定 いつから」
といった内容があります。座席指定のことを検索している人のなかの一定数は「いつから座席指定ができるようになるのか」気になっている人がいるということが推測できます。なので記事内にはこれの回答も入れてあげましょうというシンプルな話。
3. 検索ユーザーが触れる媒体から関連情報抽出
上2つに比較すると重要度は高くないし、必須ではないです。
KWリスト化した際と同じ要領で、メインターゲットを検索するユーザーが合わせて気になっていそうな関連情報がないか再度ここでも発想ベースで出します。時間かける必要はなく無ければ、追加無しで全然問題ないです!
記事構成時点では、とにかくユーザーのインサイト候補を全て満たした記事内容とできるかどうかが肝です。
2-4.コンテンツ施策: ライティング
ライティングは3で作成した構成内容に基づき、ユーザ視点で見やすいことを追求しましょう。どのタイミングでの改行が見やすいなど。小手先のワザよりもとにかくユーザー視点。
KW出現回数は正直今の時代もう大事ではないが、できるところには入れられた方が良いとは思っている。というのも、KWが入っている内容の方がユーザーにとっても有益であり邪魔でないから。
もしも「KW盛り込み vs 見やすさ」になった際は、見やすさを重視した方が良い。
ここまででターゲットKWに沿って作成した記事をリリースできたことになります。次にリリースした後のリライトについても紹介します。
2-5.コンテンツ施策: リライト
「リライトは費用対効果が合わないので一切しない」という大手メディアも一定あるので、意見分かれるところですが、僕はリリースした後に継続的にリライトを行うことも超大事だと思っています。
(事実内容が変わりやすいなど情報の鮮度が重要な分野であればあるほどリライトの重要性は高まることでしょう)
リライトもがむしゃらにやるわけではなく、優先度の付け方とタイミングが大事です。 優先度の付け方のなかでも、クエリ別に判断する方法と、ページ別に判断する2つの軸があります。
▼クエリ別の表示方法
・順位変動が激しいクエリ。
クローラーが回っている率が高い
・情報鮮度の重要度が高いクエリ
- 例. お土産 vs 治安 だと治安の方がリライト頻度高めるべき
- 1年経ったところおすすめのお土産内容はあまり変わり得ないですが、治安の方は直近の事件やテロなどによって情勢変わることもある。
業種によってリライトの頻度の重要度変わるが同業種内でもクエリごとに変わる。実際に鮮度が大切なクエリでは、記事更新日がより新しいものが上位にあることが多いです。
▼ページ別の表示方法
他にはページごとの数値ベースで、
- 表示回数多いがCTRが低いページはタイトル中心に変えたり、
- リスティングでCVR高いページはよりSEO注力する価値あるなど
- セッション多いがスクロール率の低いページ
など優先度のつけ方はいくつかあります。
リライトの方法は、基本的に新規作成時と意識することは変わらないです。
3.外部施策
3つの行動のうち、最後の1つは外部施策です。
外部施策は、関連性の高い他サイトから信頼性を獲得することで、特定テーマにおいて信頼性が高いサイトである旨をGoogleへ伝える施策。
外部リンクを送っているということは基本的に支持と捉え、Googleとしてはそのサイトを推薦・指示している人がいる方がより高評価しやすいというシンプルなロジックです。
5年以上前のSEOだと外部施策がかなり重要視され、ブラックハットと言われるSEO会社が多く存在しています。数千のドメインを持ち、ひたすら順位を上げたいサイトへ外部リンクを送っていました。もちろんユーザーにとって全く本質的ではなく、Googleの精度が上がり今では意味がなくなりました。
外部リンクで今重要なことは、「数」ではなく、誰が支持しているのかという外部リンクの「質」です。外部リンクの質とは、「サイト同士の関連性の高さ」と、「送り元のドメインランクの強さ」です。 例えば旅行予約サイトだと、国家が運営する観光庁から被リンクをもらっていたら強いなど。
どのサイトでも週次か月次では、ドメインランクの定点観測も行なうようにしています。
記事製作の体制
実際の行動を紹介したところで、あとはイベント時やその後にでも実際に質問されることが多い内容を紹介します。
SEOのここまで記載したこと含め知識は知っているか知らないかだけの差なので、成果を出せるかどうかは「再現性のある仕組み作り」が重要だと思っています。
僕は基本的にどの媒体でも、編集者とライター制度を取ることが多く、1人の編集者に5〜10人ほどのライターさんがつく。元々編集やライティング経験者じゃない人でも上記のようなことを大切にして運営できるような再現性のある仕組み化を大切にしており、皆さん2~3ヶ月ほどで一つのメディア立ち上げをできています。
そうすることで編集者の採用基準にスキルを含めないことで本質的な部分を重要視できます。
▼採用基準
・SEO経験/編集経験は一切考慮しない
・タビナカビジョン/事業への共感力
・ユーザー視点の強さ
SEOの目的とは
これは非常に良い質問だと思いました。GoogleでもYahooでも検索エンジンはあくまで1つのチャネルです。
SEO単体で考えることの価値は低く、検索エンジンで検索者に対してどのようにアプローチ・価値提供するかが大切。つまり、自社サイトの順位を上げることは1つの手段に過ぎず、SEM全体視点で考える必要がある。
・上位10位のなかで、自社サイトが占める面を増やす
- 基本的に1つのドメインは1個なので、別ドメインであげにいくことも
・上位表示記事のどれを通っても自社に行き着く導線
- 上位表示させても所詮は1/10をとるだけ。他の上位表示サイトは競合ではなく協働
・最適化させるならリスティングとも連動が必要
オウンドメディアの意義は
ECサイトがオウンドメディアを運営することが5年ほど前から流行りだしたように思います。オウンドメディアの意義は理由は4点あると考えています。
①販売サイトでは上位表示できないクエリで上位取得して送客・直接効果
- 予約サイトor情報サイトどちらをGoogleが推奨しているクエリか。
②サブディレクトリ構造で作り販売サイトのコンテンツ増加
- サイト全体の質あげるやつ
③特定ジャンルでのブランド認知増加
- セブ島行く人への認知
④CRM観点
- メディア内での行動取得によるユーザー情報確保するトリガー
- この記事とこの記事通った人は今こういうインサイトあるから、こうい訴求を当てやすい
オウンドメディアの規模がKGIになるケースは限りなく少ないのではと思っています。
インハウスマーケティングで重要なことは
最後にSEOとは直接関係ないけど、その時のイベントのもう1つのテーマであった「インハウスマーケティング」について。 インハウスマーケティングを進める上で1番大切に思うこと
・組織メンバー全員の全体最適視点
・1人のユーザーのカスタマージャーニーに沿ってコミュニケーション設計
・施策の振返と共有の仕組み化 → 全ての行動に再現性を持たせること
・自分たちのチームだからこそ、出せる答えを信じるという共通価値観
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