『鬼ごっこ』(初めての鬼)
転入生のさおりの顔を一目見た時、同じクラスだった早織に激似だったので喫驚した。
薫と有希が早速私の元へやってきた。
「「早織が戻って来たんじゃない?」」二人は口を揃えたがそんな筈はない。
可愛くて人気のあった早織に私から声をかけ、あの日初めて一緒に隠れ鬼ごっこをした。だが彼女だけ最後まで見つからず、翌日自身のマフラーで首を絞められ絶息した状態で大人たちに発見されたのだ。
その日の放課後、下足箱にさおりからの手紙が入っていることに気が付いた。学校近くの公園へ来るようにとのことだったので早速そこへ向かった。到着するとさおりは見覚えのあるヘアピンを髪につけていた。
「あなた、誰なの?」
彼女は答えた。『最近、早織のノートに挟まれてたあんたからの手紙を見つけたの。仲良くなりたいからお揃いのヘアピンを同封するねって書かれていたわ』
「……」
『あの日早織は、このヘアピンを握って死んでたのよ。早織が自分で買ったものだと思っていたのに。意味、わかるわよね?私は早織の従姉妹。さぁ鬼ごっこの続きをしようか?今度はあんたが逃げる番よ──』
(了)
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