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府中の老舗和菓子店、青木屋さんのブランディングデザインのお仕事

こんにちは。デザイナーのワケです。今日も子育てしながら熱くデザインしとります。
私、デザイナーは15年ほど続けていますが、とても筆不精。
でも一年かけた仕事くらいは、紹介したい、と思って。
青木屋さんは創業明治26年の老舗で地元に根付いた企業。そんな企業さんのビジュアルブランディングプロジェクト及びブランドサイト制作を手掛けました。

かなり様々なことを行ったプロジェクトでした。
今日はその概要だけでも紹介したいと思います。

地域企業

デザインというと、大手企業の製品やサービスを広告したり、作るときに行われるもの、という印象もあるかもしれませんが、私は日本の中小企業・地域企業こそ、独自性のある事業を行っているんじゃないかと、思ってます。

以前、私は和紙にハマっていたのですが、手漉き和紙って面白くて、全国に80箇所くらい産地があると言われていたんです。
(今はその時よりも衰退してしまっているかもしれません。)
で、現地に行って取材をしてみると、そこには必ず、人の生活にちょうどいい幅と深さの川があって、そこで、楮の繊維を洗ったり、その水を紙漉のときに使っていたりした痕跡がありました。
ちょうどいい里山風景があり、材料を栽培するところから、加工し、流通まで、その土地になんでその産業があったのか、理由が見て取れるんです。

おそらくその他の歴史がある地域企業もそう。工芸ほどではないかもしれないけど、地域性と自然と、事業が、結びついている部分がある。
純粋に、そこにデザイナーとしての興味がありました。

府中の魂、大國魂神社



青木屋さんの本社がある府中本町駅。武蔵国府跡がすぐ隣に佇む。

株式会社青木屋さんは、創業が大國魂神社の境内という、府中民の魂とも言われる場所。来年で創業130年を迎え、もはや府中の歴史の1ページに食い込んでいると思うのですが、大國魂神社ができたのは西暦111年。その後なんと府中に武蔵国府が置かれたのは奈良時代。府中の歴史、恐るべし…
この辺に関しては、いろいろと調べたので、語りたくもあるのですが、この記事では割愛します。
そういった歴史性や地域性が背景にある企業さんをビジュアル要素でブランディングしていくことに際しては、どうのような方法をとるか、検討した上で着手したのが次のフロー。

方法をかいつまんでご紹介

・ユーザーインタビュー(企業の社員さんと、お客様にインタビュー)
・ワークショップ(企業の社員さんと!)
・トップインタビュー
・創業エリアの散策調査(社長さんや社員さんによる案内とか文献/実地)
・メッセージ構造の策定
……からのクリエイティブ過程

↑実際にデザインなどのクリエイティブに入る前に、上記のように社内のメンバーと考えていくフローを踏んでいます。
自然に社員さんとも親しくなりますね。
何せ一年かけたプロジェクトなので、多くの要素が詰まっています
詳細はまた別の機会にでも。


そんで経過は割愛しますが、さらっと成果物だけ紹介すると下記のようになります↓↓

コンセプト

上記のフローを経て、メッセージ構造を策定。
・中心は歴史性と挑戦の想いが込められた「百年百菓」というコンセプトに。
・キービジュアルは丁寧に仕込まれ、粒あんは小豆から作り出される餡をデザイン要素とすることに。
・ワークショップの結果などから武蔵野の自然を表現することに。

ここに至るまでもかなり重要なフローを時間をかけて行なっています。

デザイン

かなりの紆余曲折を経て、ようやく下記のサイトがリリースされました!

キービジュアル
青木屋さんの1番の表現したい丁寧なものづくりの原点、餡子作りに焦点を当てたキービジュアルを作りました。

キーワード
「百年百菓」
コンセプトがそのままキーワードとしてスライドしてきました。百年以上の歴史の中で、様々な挑戦をしてきた姿勢が一つ一つのお菓子として表れているという状態を表現する言葉として「百年百菓」というワードを策定し、ロゴ化しています。

ヒーロエリアのキービジュアル

府中の自然性を表現
サイト上では、水が流れています。

キービジュアルからは動画が再生されます
ロングバージョンはyoutubeで見られます

撮影

商品のイメージカット

青木屋さんの和菓子は工場で製造されています。でもその様子を何度も見学していると、一人ひとりの作り手が、本当に職人さん。洗練された動きで製造に関わっていることがわかります。
糖蜜を混ぜる、大鍋から仕上がった餡を柄杓でバットに移す。折詰や、発送。それぞれの動きに、プロフェッショナルな職人としての矜持を感じました。
その成果であるお菓子をこちらは表現しなければならない。
そこで、撮影のコンセプトとしては正直さ(せいちょくさ)としました。カメラマンに伝え、シンプルながら本物の迫力のある絵を撮って欲しいと伝えました。ライティングやお菓子の質感、写真の色味など、ディレクションしつつ、相談しながら撮影を進めていきます。
こだわりで、影の柔らかさを出すために、下地に水色の紙にトレペを重ねることで、テクスチャを出しています。
おかげで撮影は大変でしたけど、菓子を表現した写真が撮れたと思います。

代表的な菓子のくろどら
栗まつり。栗ずきにはかなりの人気だそう。
サイト内でのポップアップ


つくり

必須!レスポンシブ対応!

やはり昨今はモバイルファーストと言われているように、スマホでの表示がかなり重要視されているように思います。そこら辺も気を遣って仕上げております。

どの端末でもいい感じに見えるように。

そんでもって、CMS導入
社員の方も記事をアップしていけるように!

ブランドサイトって作って終わりではなく、作った後の情報発信も大切。
特に青木屋さんはたくさんお菓子の商品があり、季節ごとの入れ替えもある。その情報を都度発注するのは大変だしお金もかかる。
また、社内でいじるとデザインがまちまちになり、せっかく作った「ブランド」の世界観が、崩れさる…
なんてことはよくあります。そこで、cmsを導入して社内で更新していきたい部分のデザインをテーマ化。文字数さえ守れば、デザインのトーンアンドマナーを崩すことなく、その時に必要な情報を更新していける作りにしました。


以上、私が手がけたビジュアルブランディングデザインの紹介でした。
今後は、ビジュアルブランディングの各フェーズで行ったことを詳しく書いていきたいと思います。
http://www.aokiya.net/

アート・クリエイティブディレクション・デザイン 和氣明子
コピーライティング 服部 昭彦
動画 高地 寛
商品イメージ写真 松田優子
取材写真 宿野部 隆之

青木屋さんの餡はとても丁寧に、小豆から作られています。よかったら皆さんも、青木屋さんの和菓子を一度食べてみてください。
http://www.aokiya.net/

フューチャーズというデザイン事務所をやっています↓
https://ftr-s.com/

フューチャーズ
和氣明子


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