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【F1】JリーガーからFリーガーへ 湘南FP菊池大介が感じる使命「フットサルをニュースに取り上げられるようなスポーツに」

 Fリーグ2022-23シーズン、湘南ベルマーレは11勝5分け6敗の5位となり、プレーオフ進出を逃した。オフにはブラジル代表FPロドリゴがタイ1部チョンブリに新天地を求め、中心選手だったFP鍛代元気も現役を引退、元U-20日本代表候補のFP薮内涼也は期限付き移籍でボアルース長野に加入した。

 4月1日に伊久間洋介監督が現役復帰するというエイプリルフールの情報を出したが、実際のところ補強はない状態だ。唯一、即戦力として期待される例外的な存在が、JリーガーからFリーガーへ転身したFP菊池大介だ。まだ31歳ながら、Jリーグでは湘南ベルマーレ、ザスパ草津(現ザスパクサツ群馬)、浦和レッズ、柏レイソル、アビスパ福岡、栃木SC、FC岐阜と多くのクラブを渡り歩いてきた。

 チームスタッフとして、クラブの業務も行いながら、フットサル選手としてプレーする菊池は、5月8日に行われたFリーグ2023-24シーズンのプレスカンファレンスに、湘南ベルマーレの代表者として出席していた。

 かつてはJリーガーが転向して、フットサル日本代表選手になることも珍しくなかったが、近年ではほとんどそうしたことは起きていない。2010年の南アフリカ・ワールドカップに出場した元サッカー日本代表MF松井大輔は、今季のJ3開幕戦でゴールを決めたが、Fリーグでは1点も取ることができていない。

 小学生時代に所属していたチームでプレーして以来のフットサル挑戦になる菊池だが、2016年に離れて以来となる湘南ベルマーレで、どんなプレーを見せてくれるか。

 以下、プレスカンファレンス後の囲み取材での湘南FP菊池大介のコメント

――今日はチームを代表してこられたんですよね?
菊池 そうですね(笑)。新鮮というか、僕にとっても新たなチャレンジですが、こういった場に来られることが光栄ですし、こういう雰囲気を味わえて、フットサルにチャレンジするんだなという気持ちがより増しましたね。

――過去のフットサル経験は?
菊池 経験としては小学校5、6年生の時に鳥取県に住んでいたのですが、冬が寒かったので、冬場だけ(夏の)バーモントカップに向けて活動をしていました。それ以降は、まったくやっていないです。

――練習をやってみて、違いは感じますか?
菊池 僕のなかでは、ボールを足で蹴る以外、すべて違うなっていうくらい、(サッカーとフットサルは)、何もかも違います(笑)。考え方も、駆け引きの仕方も全然違うので、すごく驚きと同時に自分自身やりがいも感じています。10何年フットサルをやっている選手、本気で今までやってきている選手に追いつこうと思ったら、本気でやらないといけないと強く思っているので。それは日々、若い選手、ベテランの選手関係なく、いろんな選手からたくさんのことを吸収させてもらっています。

――Jリーグでやってきた菊池選手とFリーガーが並んでいましたが、体格がサッカー選手だなと感じましたが、そこはメリットになると感じますか?
菊池 メリットもあるし、デメリットもあると思います。体格の部分は自分で変えていくしかない。フットサル仕様にするように今も取り組んでいる最中です。湘南の選手たちを見ても、ちょっと違うなと思いますし、練習をしてもサッカーの時とフットサルの時では、練習の後に疲れる場所が全く違います。そういう部分を感じているので、そこは自分のなかで整理しながら、強化していかないといけないなと思います。

――特にどこが違うんですか?
菊池 サッカーは結構、ふくらはぎにくるんですけど、フットサルは意外とふくらはぎに来なくて。お尻の周りだったり、股関節だったり、腿の前だったり。あとは足裏にダメージというか、負荷がすごく来るので、そこは正直めちゃくちゃきついです。でも、それと同時にさっき言った通り、やりがいも感じているし、新たなチャレンジなのですごく楽しみです。

――フットサルに転向しようと思った一番の理由はなんですか?
菊池 自分のなかで、この先の人生を考えた時に、湘南ベルマーレというクラブは、サッカーで湘南を巣立ってからもずっと心の中にあるクラブでした。もちろんサッカー選手として帰って来て、そこで引退するという理想が自分のなかにはあったんですけど、それが叶わなかった。それと同時に、自分は小学校の時にフットサルをやっていたり、湘南に在籍していたときにFリーグの存在もあって、もちろん知っていましたし、観に行ったりもしていたので、そういうチャレンジも自分のなかでありなのかな、すごく面白いチャレンジになるんじゃないかなと思いました。今の社長の佐藤伸也さんだったり、サッカーの方の会長や社長、GMと相談させてもらうなかで、こういう道が開けました。

――以前はJリーグから入って代表までいく選手も多くいましたが、最近はほとんどいません。そこに関してはいかがですか?
菊池 もちろんやるからには目指します。ただ、始まって3週間くらいですけど、本当に甘くない。フットサルの厳しさだったり、難しさみたいな現実をすごく感じています。だからこそ、そこに向かっていくやりがいもすごく感じています。今、湘南には内村俊太が代表に入っていたり、(靏谷)春人のように、若い選手で勢いのある有望株がたくさんいます。年代別代表に入っている選手もたくさんいるので、すごく刺激になっています。もちろん簡単なチャレンジではないですけど、目指したいなとは思っています。

――決勝まで勝ち上がった全日本選手権は会場で観戦されましたか?
菊池 はい。準決勝、決勝は会場で観ました。その時はフットサルにチャレンジすることを決めてはいたんですけど、名古屋(オーシャンズ)戦を最初に観て心が動いたというか、感動して『フットサルでこれだけ人を感動させられるんだ』とすごく感じました。だからこそ、自分が入って、もちろん自分の力は微力ですが、湘南ベルマーレに貢献することもそうですし、日本のフットサル界は、正直Jリーグだったり、他のスポーツに比べると、まだまだ盛り上がりに欠けるなと感じています。そこに少しでも貢献したい思いもあります。フットサルをもっともっと盛り上げて、ニュースに取り上げられるようなスポーツにしないといけない。そこに向けてプレーもそうですけど、いろんな発信だったりを通して、そういうところにも貢献していきたいと思います。

――クラブのスタッフとして働きながらだと、大変ではないですか?
菊池 まぁ、大変ですけど、何回も言いますけど、そこにすごくやりがいも感じます。クラブに対しての感謝だったり、そうやって戻ってこられるクラブというのはなかなかありません。フットサルを小学校でしかやったことがないような選手を、Fリーグの一番トップのリーグで強い湘南ベルマーレというフットサルのクラブでプレーさせてもらえるのは本当にありがたいこと。そこに行きたくても行けない選手だったり、そこを目指して夢破れる選手がたくさんいるなかで、僕みたいな選手が挑戦させてもらえることに感謝して、やっていきたいなと思います。

――ちなみにクラブのスタッフとしては、どんな仕事をされていますか?
菊池 フットサルクラブの方ではフロントスタッフとして働いています。営業を含めてやっています。サッカークラブでは、営業職だったり、サッカースクールコーチも週1日やらしてもらったり、いろんなことをやらせてもらっています。フットサルクラブに貢献するのはもちろんですけど、湘南ベルマーレ全体として、湘南地域を盛り上げたいなという思いがすごくあります。

――屋外スポーツから屋内スポーツに変わって感じることは?
菊池 日焼けしなくていいんで(笑)。肌が弱くて日焼けに弱いので、そこはすごくポジティブです(笑)。

――ポジションは?
菊池 アラでチャレンジしています。

――たくさんシュートを決めてください。
菊池 はい、昨シーズンまでいたロドリゴのように、良い意味でも悪い意味でもチャレンジするというか。やっぱりチャレンジしないと始まらないし。ああやってロドみたいにたくさんシュートを打つことによって、得点機会も生まれてくるので。ただ、まずはやっぱり試合に出ないと意味ないし、盛り上げることもなかなか難しいと思うので、やっぱり早く馴染んで、早く試合に出られるように努力したいなと思います。

――試合は出られそうですか?
菊池 いや、わからないです(笑)。

――全日本選手権の試合後の取材で、高橋広大選手がサッカーからいきなりF1のステージは大変だと思うと言っていましたが?
菊池 そんな感じです。さっき言ったように何もかも違うし、覚えなきゃいけないこともたくさんあるので。そこをしっかり覚えて、自分のなかに下地というか、基盤みたいなものを作らなきゃいけない。ただ、逆にそこで焦らずにというか、1年ですぐに結果を残してとは僕も思っていない。しっかりと自分のなかに基礎を作って、湘南ベルマーレのフットサルクラブが最終的にアジアチャンピオンになるという目標が明確にあるので、そこのピッチに立てていれば最高なのかなと思っています。

――年齢的にも長くできそう?
菊池 年齢的には全然、問題ないかなと思います。今年32歳なんですけど、身体も全然動きますし、サッカーとは違うトレーニングだったり、筋トレなんかもやってプレーすることによって、自分のなかで実感もすごく持てているし、動けているなという感覚にもなっている。そこはやっていくごとに、もっともっと進化していけるんじゃないかなと思ってます。

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