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【女子】チームの無冠阻止、個人として初の日本一を目指すFP市原伶香「練習まで往復400キロ。でも、このチームでやりたい」

 フットサル選手と話していると、その情熱に圧倒される時がある。

 プレーオフ準決勝第2戦後、ファイナル進出を決めたアルコイリス神戸のFP市原伶香にミックスゾーンで話を聞いたが、彼女の熱意も驚くべきものだった。

  昨季まで福井丸岡ラックでプレーしていた市原は、「本当は昨シーズン限りで、現役を引退しようと思っていた」という。だが、昨年の全日本フットサル選手権で見たYSCC横浜のプレーで自身のなかに、まだ現役を続けたいという火種がくすぶりだし、そこに神戸のFP小村美聡からの「とりあえず練習に来てみたら?」という誘いを受けた。

そして、実際に神戸の練習を目の当たりにした時、彼女は「やります」と伝えていたという。

 彼女が住むのは、名古屋。神戸の練習場までは、片道200キロ。往復で約7時間半かかるという。

 聞いているだけでも、過酷としか思えない環境。それでも彼女は「最初は金曜日だけだったのですが、今は水曜と金曜の2回通っています」「でも、このチームでやりたいんですよね。練習日が楽しくて」と笑顔を見せる。

 準決勝の2試合を振り返ってもらうとともに、彼女にそこまで思わせるアルコイリス神戸の魅力について、20分以上にわたって語ってもらった。

以下、プレーオフ準決勝第2戦後のFP市原伶香のコメント

――まず決勝進出の感想を聞かせてください。
市原 素直に嬉しいです。簡単なんですけど(笑)。

――今日も相当、走りましたね。
市原 昨日からそうですね。無駄走りも多いですが、いつもそういうスタイルではなかったのですが。

――昨季の丸岡では後方でどっしり守っている感じでした。
市原 そうですね。今まではそうでしたが私たちのセットは特にミーさん(小村美聡)さんがいて、自分も同じタイプなので、そこは「どっちかが前には出よう」という話はしています。個人的にはミーさんが後ろにいてくれた方がいいなと思っています。

――それでアラっぽい感じになっているんですね。
市原 そうです。

――キャリアを重ねているなかで、プレースタイルの変更にはすぐに順応できましたか?
市原 私は、丸岡で言えば高尾茜利選手とか、自分のチームで言えば(加藤)正美のようなスピードがないので、「それでアラをやるの?」という感じはあるんですよね。

――走り合いになりますよね。
市原 はい。だから結構、厳しくて。でも、そこまで完全なアラというわけではないので。

――どちらかというとダブルフィクソというイメージ?
市原 はい。流れのなかで上がるという感じなので。そんなにそこまでこだわっていませんし、『ミーさんが後ろにいるなら、ウチが走ります』っていう感じですね。うちらのセットは、特にシンプルにやることが多かったので、それに対して走るとか、もうそれしかないかなと思っています。でも、足元の技術がそんなにあるわけではないですしね。

――でも、アルコイリス神戸は本当に守備が固いですね。
市原 今日はちょっと負けてしまいましたけどね。自分たちのセットも失点してしまいましたし。でも、そこは気持ちというか、最後のところは絶対にやられないようにというのはあります。それが崩れてしまう時、相手の方が準備が早かったり、整っていない時にやられることが多いので、そこがうちの課題ですね。

――ちょっとショートカウンターの応酬になる場面もありましたね。
市原 そうですね。あとはセットプレーの守備の配置とか、細かいところですが、そのミスをしっかりなくさないと、決勝で対戦する浦安ラス・ボニータスは特にうまいと思うので。セットプレーからもリーグ戦で結構やられたので、そこは修正したいですね。

――リーグ戦では浦安に敗れているんですよね。あの大敗はスコアしか見ていないのですが、印象的でした。
市原 最初にセットプレーから3点くらいやられましたね。

――そこは小村選手も不在だったと思いますが、1年間での積み重ねが問われる部分ですよね。
市原 そうですね。そのさらに上をというか、気持ち的な部分でもやらないといけないと思います。逆に私たちは、この試合を経てファイナルに行くので、チャレンジをしていくという形でやっています。そういう姿勢をプレーでもそうですが、出せればいいなと思います。(ファイナルで)待ち構えているよりは、向かっていく方が個人的には良いかなと思っています。結構2連戦はしんどいので、自分たちでもしっかり盛り上げたいです。プレーもそうですが、あきらめずに最後にやるとか、球際を強くいくとか、そういう気持ちのところがアルコの良さでもありますし、そこを出せれば大丈夫かなと思います。

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