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創刊あいさつ/なぜ不登校の親には情報が必要なのか

 みなさま、はじめまして。『不登校新聞』代表の石井志昂です。『不登校新聞』note版をご覧いただき、ありがとうございます。

 自己紹介をしますと『不登校新聞』は、1998年に創刊した日本で唯一の不登校に関する専門紙です。いきなり、つらい話になるので恐縮ですが、『不登校新聞』が生まれたのは、夏休み明け直前に子どもの自殺が多いことがきっかけの一つでした。夏休み明けの自殺というのは「明日、学校へ行くぐらいなら死んでしまいたい」と思い、追い詰められての結果だと思っています。「学校か死か」という二択で子どもが追い詰められる状況を変えたいという思いで創刊しました。

 『不登校新聞』のおもな読者は、不登校の子どもを持つ親です。もちろん読者には子ども本人も、先生も、支援者も含まれていますが、最も多いのは親です。編集部も「親御さんに役立つ紙面づくりを」という意識を強く持ってます。

 というのも、不登校した本人はもちろんですが、親だってつらいのです。不登校の親も支えられるべきなのに、親を支える情報が少ないんです。

 親を支えるためには、1本か2本の記事だけでは足りません。不登校は長い期間、親の支えを必要とするものだからです。それは「不登校は治らない」という意味ではありませんが、「学校復帰すれば、二度と不登校にならない」というものでもないのです。

 学校を休んだり、行ったり、行こうとしてダメだったり、休んでるあいだも焦って苦しんでいたり、揺れ動きます。そのとき、子どもは親にとなりに居てほしいのです。

 親はよかれと思い、子どもを励ましたり、褒めたり、脅したり、叱ったりしても、うまくいかないことが多いはずです。どうしたらよいのか、それは当事者や親たちの体験談のなかに答えがあります。一番、参考になるのは「失敗談」、つまり「あれはまずかった」という話かもしれません。

 『不登校新聞』は、不登校当事者や親などの思いが詰まってできた新聞です。脚色なしで本音満載の体験談を載せています。また代表の私をはじめ、スタッフの半数以上が不登校経験者です。不登校についてだけなら、どのメディアよりも一番参考になるはずだ、と思って作っています。そして、これからもスタッフ一同、「学校で苦しんでいる子が安心して生きていける社会」を目指して、日々情報発信に努めていく所存です。

 ですので、ぜひ成果を焦らず、じっくり読みながら、子どもの本音や方向性を感じてください。「うちだけじゃなかったんだ」と親が思ってすこし安心していただくことも、子どもにとって、とてもよいことです。

 それでは、どうぞ、お付き合いをいただければ幸いです。

NPO法人全国不登校新聞社
代表 石井志昂

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