見出し画像

2021 CL GS バイエルン vs ベンフィカ

祝日の朝5時キックオフとかありがたすぎる。多くの社会人サッカーファンたちがゾンビのように寝床から這いずり出し画面に見入ったことであろう。
そんなハロウィン明けの一戦はCLのグループステージ第4節。アリアンツでのベンフィカ戦をリアタイ観戦。

ベンフィカは運動量が豊富で、球際の強度も高く、個のクオリティも粒揃いな良チーム。前節もスコアほど差を感じるものではなかったし、正直バルセロナよりも格段に脅威として感じられた。要するに、フツーに強い。
日本へのリスペクトをお辞儀の慣習として伝統に取り入れており、個人的になかなかに憎めないクラブだったりする。(是非ともググってみて下さい)

スタメンは以下の通り。

画像1

実際は左片上がりの3バックに近い布陣になっており、イメージとしてはこんな感じ。

画像2

何はともあれ、久しぶりにミュラーにベンチスタートという休暇が与えられたわけだが(なお、レヴィとキミッヒとノイアー)特記すべきはもちろんCBである。

そう、バイエルンの秘密兵器、タンギ・ニャンゾウ・クアシ(通称:ニャン蔵)がついにスタメン抜擢となったのだ! ずっと秘密にされ続けていたらどうしようかと思っていたぜ! 
これにはコンディションに少々の不安を抱えていたズーレとリュカが、大事をとってお休みとなった台所事情もある。しかしとにかくスタメンなのだ。
リーガではあまりインパクトを残せていないが(出オチ退場というインパクトは残せた)ポテンシャルは誰もが認めるところなので、国際舞台の経験を是非とも糧にしてもらいたいところである。
ちなみにベンチに本職CBは不在で、万一のことがあった場合はパヴァールを振って右SBにスタニシッチを充てる方針だったのではないかと思われる。

試合展開だが、とりあえず昨シーズンを思い出すかのようなスロースタート。義務失点の豊潤な香りが鼻腔をくすぐる。
とにかくベンフィカのプレスが機能しまくっており、攻撃のチャンスをこれでもかとばかりに与えてしまい、バタバタと落ち着かない時間が15分ほど続いた。
これについては大敗したメングラ戦をベンフィカがしっかりリサーチしてきた印象で、サイドに追い込んだ上で中央にてインテンシティ高めのプレスを断続的に進めていた。

まぁ、危ういシーンは散見されたがその後は落ち着きを取り戻し、個の打開力でサイドを切り裂きレヴィの先制点からは徐々にバイエルンのぺースに。
前半20分くらいからベンフィカのプレスが緩めに。理由としては、単純に飛ばし過ぎて運動量が保てなかった可能性もあるが、間延びしていた陣形を整えて2列目のメンバーたちが積極的に降りていき組み立てに参加するようになったからだと思われる。

結果的にはセットプレーおよびパスミスから失点を喫してしまったものの、自慢の決定力を見せつけての5-2の勝利。

以下、個人レビュー。

・サネ:イメージ的にはWGの選手である彼だが、今回は左IH的な立ち回りで躍動。中に絞ってプレーすることによってデイビスの攻撃参加がしやすくなっていた。時としてサネらしいスピードに乗った突破も披露し、相手DFとしては厄介だったと思われる。もっと積極的に打って良いシーンなどもあったが、結果的に美しいゴラッソで追加点をマーク。本当に10番らしくなってきた。

・コマン:「給料引き上げ要求? なら売却だ!」とフンスフンスさせていたバサポたちを「やっぱり延長交渉しよ?」と掌をクルクルさせるパフォーマンス。しっかり守備ブロック形成した相手に個で打開してチャンスメークを行う姿はまさにロベリーを彷彿とさせた。クロス精度、切り返しの鋭さも素晴らしく、サネに勝るとも劣らない進化を遂げている。もっと見たいぞ。

・ニャブリ:オフェンス面でのユーティリティを買われ、今回はトップ下に近い位置でプレー。サネが左IHならニャブリが右IHというような感じ。積極的に組み立てに参加することでスムーズな攻撃に移れていた。守備ブロックがしっかりしていたこともあり、ニャブリらしい裏抜けはあまり見られなかったが、それでもしっかりチャンスをものにするのがこの男。芸術的オサレヒールキックでしっかりゴールをマーク。レヴィが異次元過ぎるだけで、ニャブリの決定力の高さも実はやばい。あと、フィニッシュに行くべきか、回すべきかの選択をニャブリはほとんど間違えないのが、見ていて非常に頼もしい。

・キミッヒ:ベンフィカのハイプレス戦略がハマっていた最初は窮屈そうだったが、徐々にチームがリズムを取り戻すとその後はしっかり攻守にわたって走り抜けていた。ここのところずっと先発フル出場が続いていたこともあってか、後半の途中でザビツァーと交代になったが、傍目から見て非常に不服そうだった。いや、休むことを覚えような。

・ゴレツカ:メングラ戦の反省を活かしてか、厳しいプレス戦略に対しては中央のスペースを無駄に開けないように注意し、サネやニャブリが降りてきた際にはバランスを取ってポジションを上げ…と教科書にできそうな立ち回り。その甲斐もあってかスペースを有効活用しやすくなり、ゴールにこそならなかったがゴレツカらしいダイナミックな飛び込みやミドルシュートも見せてくれた。コンディションは回復してそうで何より。

・パヴァール:絶賛大スランプ中…ではあったかもしれないが、今回は彼がそこまで得意ではないポジションではなかったこともあり、なかなかのハイパフォーマンス。まぁ、例によって表記上は右SBだが、いつもの幅をガッツリ取るタイプのWBではなく、むしろ3CBの右に近い役割だったため、比較的のびのびとプレーできたのではなかろうか。A代表マッチやクラブワールドカップを彷彿させるボレーシュートで湧かせてくれたりもしたし、対人守備強度も高い。彼はできる男なのだ。

・ウパメカノ:空中戦を含めたハイボールの処理などは課題。前半の1失点は少し軽率だったようにも思えるが、そもそもバイエルンのセットプレー時の守備は有名な弱点であり、リーガでもよくヒンターエッガーにねじ込められる。チームの問題なので、DFリーダーとして整えていってほしい。

・デイビス:サネが中央に寄っていたこともあり、サイドを主戦場にするデイビスは今回もヒャッハーしていた。コマンにも言えることだが、個人で打開できる武器があるのは本当にでかい。そして、チャレンジに失敗しても足の速さでセルフリカバリーが効くのもずるい。21歳のバースデーでテンション上がっていたのか、果敢な弾丸ミドルなども放ちベンフィカ守備陣を焦らせていた。毎日誕生日で良いぞ。てかまだ21歳かよ。

・ニャン蔵:スタメンはいつ振りだろう…というより久しぶりに試合に出ている気がする。ミスしても良いから伸び伸びとプレーしてほしいと親心をもって見守ってしたバサポも多かったのではなかろうか。改めてプレーを見ると、守備が軽かったりポジショニングが怪しいときもあったが、かなり落ち着いてプレーできていた印象。
効果的にボールを散らしたり、縦パスの意識も高めでクサビを積極的に入れたりと、さすが元アンカーと思わせるシーンも印象的で大器の片鱗を感じさせた。展開力をより鍛えられればネクストアラバになれるぞ。
そしてまだ19歳。仮に右SBがスタニシッチだった場合、最終ラインの平均年齢は21.0歳という驚きの若さになる。

・ノイアー:失点シーンは正直あまり責はない。逆にそれ以外はあまり枠内にシュートは飛んでこなかったので、アウェー戦のように見せ場と言えるようなパラドンは無かった。
むしろ効果的な飛び出しや配球が光り、何とアシストをマーク。決め切ったレヴィが化け物すぎたとも言えるが、公的にアシストマークが付いてしまったので、今後の相手は嫌でもノイアーの配球にも意識を割かざるを得なくなり、神経を消耗することになりそう。
4戦17発の得点力はキーパーすらも含まれる!

・レヴィ:PKを珍しく外してしまったが、ハットトリックを達成。ちょっと何を言ってるか分からない。
改めて見るとめちゃくちゃ足元のテクニックあるし、実は普通に足が速いし、トラップは吸い付くようだし、184cmなのに競り合いに負けないし、何なんだマジで。
ファーストタッチからシュートコースまで完璧だった2点目も勿論脱帽なんだが、個人的にはノイアーがアシストとなった3点目が鳥肌もの。シュート自体は普通に綺麗なフィニッシュなのだが、キーパーまでボールが戻っても虎視眈々と裏抜けの機会を伺っていた。その精神および実現してしまうパワーが、まさに世界最高峰のプロとは何たるかを知らしめた印象だ。
もちろん個人的にも文句なしのMOMだし、むしろバロンドールをあげたい。

・オマリチャ:デイビスに代わって出場。ラーム時代のラフィーニャのごとく、質の良いバックアップで攻守に渡って貢献してくれた。
2失点目は戻りが遅かったこともあり決められてしまった印象で、デイビスなら爆速スプリントでヌニェスの邪魔をしてくれていただろうことを思うと、そこは意識を更に研磨してもらいたいと思う。しっかり次に活かしてほしい。

・ムシアラ:コマンに代わり出場。そのままのポジションに入るのではなく、ニャブリが右に流れムシアラはトップ下に近い位置で入った。
中央の守備ブロックが組織的で厚かったためかムシアラらしい突破は鳴りを潜めていたが、無謀なチャレンジで不用意なボールロストに繋がらないよう効率的にプレーしていたと言える。
むしろ光ったのは守備面で、うまく空いたスペースに潜り込むようにポジションニングを意識していたのか、中盤でのボール回収やカウンターを潰しにいく有能ムーブ。ありがたや。

・ザビッツァー:キミッヒに代わって出場。あまり効果的なプレーは印象付けられなかったし、むしろパスミスを起点にカウンターされてしまい、結局2失点目に繋がってしまった。
正直バイエルンでは元気が無いように見える。実力には何の疑問もないため、何らかのブレイクスルーが欲しいところ。

・ミュラー:サネに代わり出場。トップ下に入ることで今度はムシアラが左に流れる形となった。
面白いのが、2列目の選手が交代で次々に初期配置が入れ替わること。対峙するタイプが異なる選手を次々に相手にしなくちゃならないので、対戦チームは選手相性で守備陣の選定をするのは困難になっている。
今回は休養目的のベンチスタートだったが、多少はリフレッシュできただろうか。しっかり整えてもらいたいところ。

・サール:ニャブリに代わって出場。つまりはオフェンスの選手としての登用なので、陣営は右SBではなくWGのバックアッパーとして考えている印象だ。それで良いと思う。
少ない出場時間だったが、ゴールに迫るシーンも見せてくれたし、ピンチに絡むこともなかった。
左サイドが片上がり布陣になるのであれば、右SBにはオフェンス性能よりもバランサーを配置したいところ。
そう考えると、今後サールはWGのバックアッパーとしての登用となりそう。誰だ出場した瞬間「舐めプ」とか言ったやつ。

・ナーゲルスマン:やっぱり監督がベンチに居ると修正がスムーズだ。開始15分は心配になったが、その後は安定感を取り戻した。
セットプレーの守備も鍛えてください。

・トリッソとキュイザンス:サールと共にベンチにいるだけで「5人の交代枠、キーパー除くと誰かはピッチに入って来るんだよな…」と思わせてしまうくらいに存在感が半端ない。

・乱入者:アリアンツでは珍しく登場。TwitterのTLでも「珍しい」との意見が散見された。
誰だ「TLで言われていた乱入者、サールのことかと思った」って言ったやつ。


総括1:監督がいると修正が早くて助かる。
今ならきっとメングラとも勝負にはなる…! と思う…!

総括2:セットプレーの守備はどうにかならんか?

総括3:レヴィ…お前がNo.1だ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?