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核融合ロケット研究(21)木星探査にも使おう & ChatGPT

(20)では、原子力ロケットが日本では追求されていないので寂しいとか書きましたが、もう日本は原子力ロケットに開発の努力・エネルギーを注ぎ込まないで、直接核融合ロケットに進もう。どうせこちらの方が性能が良いので。早く研究を始めた方が勝ち。(17)にも書きましたが、ゼウス(原子力電気推進)では、木星まで、金星の重力アシストを利用して(力がないので)、robotic missionで、(片道)50ヶ月(4.2y)かかるとのこと。pulsed fusion propulsion system(LFRが含まれる)では、重力アシストなしに、robotic missionで、(片道)14.4ヶ月(1.2y)でいけるとのこと。
Exploring of the Feasibility of  a Power-Generating Pulsed Nuclear Magnetic Nozzle
Nathan M. Schilling, et al, 73rd Int. Astronautical Congress(IAC), 2022
IAC-22-C4, 10-C3.5, 4, x73739
Conceptual Mission Design to Gas Giant Planets Using Nuclear Fusion Propulsion
S. Kumar & J.T. Cassibry, AIAA 2017-4846

 日経サイエンス2023年6月号にも特集記事がありますが、宇宙生命探査で木星の氷衛星(エウロパ、カリスト、ガニメデ)が今大変注目されているとのこと。(今の探査機は、化学ロケットなので、8年かけて木星まで行く。2031年7月到着予定)ここにも、将来的には核融合ロケットを送ってはどうだろうか。robotic missionでいいのでは。岐阜高専の枝本くんが、ロボット探査技術を研究中なので、その成果を期待しよう。核融合ロケットなら、始動用に補助電源として宇宙原子炉を持っているので、ロボットなどの電源としても使えるのでは。

木星の衛星

 肝心の核融合ロケットは、基本的には今までの設計から大きく変更するところはないと思われます。人が乗らないので、生体遮蔽の問題が緩和されると期待されます。とにかく、一度設計してみたらいいですね。 

 最近気になるのは、私たちの概念設計(プラズマ・核融合学会誌Vol.97, No.11, p.623~)では、レーザーシステムが436 ton, total inert mass(船体質量) 580 tonなので、436/580= 74% も占めます。(VISTAでは、150/1571= 9.5%でしかありません。彼らが楽観的なのか。)なので、レーザーの繰り返し率を今の10Hzから30Hzにして、3つのthrust chamber(こちらは、10Hz)を動かせば、レーザーが有効に活用できるはずです。もちろん推力も3倍になり性能が向上すると思われます。

 スピン偏極した(polarized)燃料を用いれば、a) ゲインが約40%増大する、あるいは同一ゲインでは、レーザーエネルギーが約30%少なくて済む、という利点があり、これは我々には、good newsです。また、b)核融合中性子は、非等方的に放出される特徴がありますので、これをうまく利用すれば、核融合中性子の遮蔽・核発熱の問題も軽減されることが期待できます。

核融合中性子の放出分布

 しかし、こう書きながら内心忸怩たる思いがあります。そりゃ、核融合ロケットが実用化されていれば、誰でも使いたいのは当たり前。しかし、実用化が2040~2050年代とかなので、待ちきれないのである。もっと実用化を加速する方法を、なんでもいいから、ベンチャー企業でもいいし、レーザー核融合以外のZ-pinch概念でもいいから、見出せないのであろうか。私たちも、核融合が成功した前提の磁気のズルから、少しでも加速化に貢献する炉心技術に乗り出す時期に来ているのか。そう簡単でないことも知っています。もちろん、今でも炉心研究者とは密に連絡を取り合っています。

ーーーと書いているところへ、Helion Energy(ベンチャー企業、FRC衝突核融合)が、2028年に核融合発電の実用化とのニュースが、素晴らしい、元気が出ますね。

それから以下は、ChatGPTとのやり取りです。Adamsさん(NASA)のPuFFについて質問しています。やはり、放射性物質の取り扱いが課題です。ここは、同感です。しかし、ロスコスモスでも開発中とは、初耳です。
レーザー核融合ロケットについても質問しましたが、研究者・研究論文については、意味のある答えを得られませんでした。もっと精度を上げてもらえることを期待します。(As of 9, May, 2023)
問:PuFF Pulsed Fission-Fusion rocketについて教えて下さい
答え:PuFF (Pulsed Fission-Fusion) rocketは、核分裂と核融合を組み合わせたロケットエンジンの一種です。このエンジンは、最初に核分裂反応によって発生する熱エネルギーを利用して、核融合反応を引き起こすための高温・高圧のプラズマを生成します。そして、このプラズマが推進剤として用いられ、推力を発生させます。
PuFFロケットは、長時間の運用に向かないが、高い推力を発生させることができ、宇宙船の高速移動や深宇宙探査に有用であるとされています。PuFFロケットの研究は、NASAやロスコスモスをはじめとする宇宙開発機関や民間企業で進められています。
PuFFロケットは、核分裂反応によって発生する放射性物質の扱いには、高度な安全性対策が必要であるため、技術的課題が多く、また、国際的にも厳しい規制があるため、実用化までには時間がかかるとされています。




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