10日目 吉野原の冷凍倉庫 スイーツに囲まれた楽園

10日目 吉野原の冷凍倉庫 スイーツに囲まれた楽園

サスペンダーズ 古川

皆さんこんにちは。前回は地獄の日勤を経て夜勤はやはり楽だったという記事を書きましたが、今回は再び日勤へ行く事になったのでその記事を書きます。

前回夜勤に行ったのが先々週木曜日の事でしたが、そこから金土日月と、諸々の予定が重なってしまい日雇いには入れませんでした。先週の火曜日は日中に予定が入っていて夜は空いていたので夜勤に入る事にしました。

火曜日の10:00に電話をかけて夜勤に入りたいという旨を伝えると、今日は夜勤の仕事は無いと言われてしまいました。しばらく日雇いに入っていなかった僕は金銭的事情からどうしても日雇いに入りたいと思っていました。

翌日の水曜日は丸一日空いていました。以前僕は日勤の応募は前日の13:30からだとこのnoteで書きましたが他の日雇いの人との会話からそれが勘違いだという事を知りました。前日の10:00からでも応募は出来るのです。

つまり、今翌日の日勤の空きがあるか聞いて、空いていれば日勤に入ることも出来るのです。僕は前回の日勤のトラウマから「日勤か...」とためらいましたが、背に腹は変えられないという思いから日勤に入る事に決めました。どうとでもなれという気持ちでした。翌日の日勤にはあっさり入る事が出来ました。

翌朝、僕は6:15に起きて身支度をして事務所に向かいました。憂鬱な気分でした。日勤に対するトラウマはどうしても拭えませんでした。前回と同じ平和島でももちろんきついのですが、もしかしたら40㎏のタコのあるジョウナンジマなる土地に運ばれる可能性もあるのです。

受付を済ませ、地下の待合室で待っていると名前を呼ばれました。僕ともう1人が呼ばれ、名前を呼んだレギュラーの人の後に付いて行きました。いつもなら駐車場にあるハイエースの1つを指定され乗り込むのですが、レギュラーの人は駐車場を通りすぎて駅の方へ歩き出しました。

あれ?と思っていると、レギュラーの人は僕達の方を向いて「今日の現場は大宮で、これから電車で向かいます。」と言って、僕達に交通費の入った袋を渡しました。

大宮...。初めての現場でした。今までの人生でも大宮に行ったことは無かったように思います。縁もゆかりも無い土地でどのような作業が待っているのかわかりませんでした。

レギュラーの人について電車に乗り、大宮へ向かいました。大宮からさらにモノレールのような乗り物に乗り換えました。大宮のさらに先に現場はあるようです。

都内を離れ見知らぬ土地に運ばれていくのは不安でしたが、同時にもしかしたら今日はハードではないかもしれないという希望も芽生えて来ました。

もう1人の日雇いは僕よりも若い見た目の180㎝程の太った青年でした。背丈こそ大きいものの、筋肉があるようでもなく、日雇いに慣れた人間の雰囲気は一切漂っていませんでした。

僕も毎日入っている熟練の人達ほど慣れている訳ではありません。いわば日雇い初心者の2人だけを連れていく現場ということは、それほどハードではないのではないかという推測です。しかしその推測もあわよくば楽な現場が良いという淡く儚い期待に基づいた都合の良い推測にすぎず、不安は完全には消えませんでした。

大宮からモノレールで何駅か先の吉野原という駅でレギュラーの人に促され降りました。都心から電車で1時間ほどかけて来たその土地はのどかな郊外の風景が広がっていました。

そこからさらに15分ほど歩きました。国道沿いに面しただだっ広い駐車場のある飲食店、都心では見られない鉄塔など、のどかな風景は僕の心を安らげました。

工場や倉庫のような建物もポツポツ見られ、ある種の物流地帯のようではありましたが、平和島の大きな倉庫が乱立してこちらを威圧してくるような雰囲気は吉野原にはありませんでした。建物1つ1つも平和島のそれに比べて小さかったです。

このようなのどかな土地の倉庫で行われる作業はハードでは無さそうだという希望も生まれ始めた頃、レギュラーの人が僕達に「2人はコンテナ作業はしたことある?」と聞いてきました。

僕は「はい、平和島で何度か。」と答えました。もう1人の太った青年はよく分からない感じで首を傾げていました。コンテナ作業という言葉の意味自体わからないようでした。

レギュラーの人は「今日は午前中一杯はコンテナ作業で、もしかしたら小休憩は無いかもしれません。午後はまあ、細々した作業と後は積み替えがちょっとあるぐらいで、もしかしたら早く終わるかも。」と言いました。

僕は心から安堵しました。僕の読み通りこの現場は前回一日中コンテナのあった平和島の現場より楽な当たりの現場のようでした。

そこからの足取りは軽くなりました。到着した倉庫は冷凍食品会社の倉庫で、大きさも平和島の倉庫より遥かに小さく、小さめの体育館ぐらいだったと思います。

ロッカールームで着替え、まず与えられたのは予告通りコンテナの手下ろし作業でした。手下ろし作業の図を貼っておきます。

積み荷は20㎏の中国の小豆でした。それらをレギュラーの人と僕達日雇いの3人で手下ろししていきました。

20㎏の小豆はもちろん重たかったですが、手下ろしは流しよりもスタミナを持っていかれませんし、レギュラーの人もゆっくりでいいと言ってくれたのできつくはありませんでした。これが終われば後は楽だというのも大きかったと思います。

もう1人の日雇いの青年も、特にへばる事無く作業を続けて行きました。体が大きい人はそれだけで日雇いに向いた資質があるのかもしれません。

手下ろしはコンベアを使った流しよりも進みが遅いので、僕達は延々と20㎏の小豆を手下ろししていきました。コンテナよりは楽ですがさすがに腕が疲れて来ました。終わった頃には11:40になっていました。僕達は3時間以上小豆を手下ろししていたことになります。

外の駐車場脇のベンチで小休憩した後、1時間の昼休憩となりました。倉庫の2階にあるキッチンとテーブルが何個かある綺麗な場所に通されました。テレビもある、食事専用のスペースのようでした。

注文したお弁当を食べました。この現場ではロッカールーム以外への携帯電話の持ち出しを禁じられていたので写真は撮れませんでしたが、シュウマイ、揚げウインナー、卵焼き、キノコとキャベツの炒め物、切り干し大根など、いつもの日勤と同じくおかずの多いお弁当でした。

お弁当を食べ終えたら外の休憩スペースかロッカールームで休みます。カップコーヒーを買って休憩スペースのベンチに座って飲んでいると、後から太った青年が来てジュースを買ってベンチに座りました。青年は「いやあ、きついっすねえ!」と僕に話しかけて来ました。

聞くとその青年は前日に日雇いを始めたという全くの初心者でした。前日は川崎の現場で大きな冷凍牛肉の入った段ボールから冷凍牛肉を取り出してラックに入れて運ぶという作業をしたようです。僕の体験したことのない作業でした。

倉庫での肉体労働に辟易しているようだったので、平和島では午前中にやったコンテナを1日中やるからかなりハードだと教えました。顔をしかめてはいましたが、連勤で20㎏の段ボールをへばらずに手下ろししていたので元々タフなのかもしれません。

休憩が終わり、午後の作業に入りました。倉庫の2階の一角に連れていかれました。そこで行ったのはペットショップ店へ発送する犬猫用スイーツ商品を段ボールに詰める作業でした。

まず、宛先がペットショップになっている宅急便の伝票と、商品の名前とコードと個数の載った一覧表の2枚がクリップで留められたものを渡されます。その一覧表の内容が伝票の宛先のペットショップに発送する商品になるので、パレット何枚かの上に積まれた商品の山から商品をピックします。例えば、犬猫用ロールケーキ2個と犬猫用ヨーグルト4個などと書いてあるので、その商品をその数だけ商品の山からピックします。ピックした商品を組み立てた段ボールの中に入れ、緩衝材を詰め、一覧表を入れ、ガムテープで封をして伝票を貼ります。これでそのペットショップ用の発送分の荷物は完成です。完成品を置いていくパレットの上に載せます。

発送先は数十件あり、それが終わるまでその作業を繰り返します。朝レギュラーの方から言われたように、本当に細々とした、ほとんど肉体を酷使しない作業でした。僕は「ここは当たりだ...」と思いました。平和島であれば今頃午前中で既に疲れた体に鞭を打ってコンテナの荷下ろしをしているのです。

犬猫用スイーツはロールケーキやヨーグルト、タルトなど様々な種類がありましたが、落としたり間違えたりしないように注意さえすれば良いごくシンプルな作業でした。平和島のコンテナ地獄に比べたら、天国のような穏やかな時間でした。

犬や猫が食べるスイーツは人間の食べるスイーツと見た目はほとんど変わらず美味しそうでした。犬や猫を飼い、さらには時にはスイーツまで与える余裕のある人達がこの世には沢山いるのだと思いました。

家族を持ち、犬や猫を飼い、さらには「へー、こんなのあるんだ。」とペットショップで犬猫用のスイーツを手に取り、カゴに入れる人達。僕は現時点では犬猫用スイーツを箱に詰める側ですが、それらをカゴに入れる側になる未来がいつの日か来るのかもしれませんし、来ないのかもしれません。

発送用段ボール作りが終わって小休憩を挟みました。その段階で15:00過ぎでした。あと2時間半で終業です。このようにあっけなく日勤を終えられるとは思いませんでした。

最後に与えられた作業は犬猫用ヨーグルトの商品ケース作りです。犬猫用ヨーグルトは8個入りで1ケースなので、箱を組み立ててその中にひたすらヨーグルトを8個詰めてフタをしていきます。

先ほどの作業よりもさらにシンプルで楽な作業でした。終業までひたすらそれらを行いました。17:00にもう終わりでいいと言われて、片付けをして、ロッカールームに行きました。そこで給料を頂き、着替えて帰りました。

この日は本当に楽でした。午前中の手下ろしのみ肉体労働といえば肉体労働ですが、平和島の日勤を経てしまうとそれほどきつくもありませんでした。今後日勤はずっと大宮で良いと思いました。本日の教訓はこちらになります。

「のどかな土地の作業は楽」

お付き合いありがとうございました。次回も是非お楽しみ下さい。

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サスペンダーズ 古川
サスペンダーズの古川という芸人です! 倉庫での日雇いの肉体労働を始めたのでそこでの日々をnoteに書きます! よろしくお願いします!!