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『小江戸ぶらり珍道中』 第二話 到着までの道中

《あらすじ》
 銀婚式を迎えた夫婦の金田勝治と信子は、結婚して既に独立した長女の美穂から、娘婿と一緒に住んでいる川越での食事の誘いを受けた。
 あまり乗り気でない勝治とは違い、信子は久しぶりのお出掛けに胸膨らませていたのだ。そして小江戸(川越)へと二人の珍道中が始まるのであった。
《目次》
第一話 一本の電話
第二話 到着までの道中
第三話 約束の場所
第四話 お店の中で
第五話 帰りがてら

第二話 到着までの道中

 一人娘の美穂(旧姓:金田美穂)と娘婿の長山正平から『銀婚式』のプレゼントをしたいと言われた金田勝治と信子。金田勝治と信子の二人で営む『八百屋』が休日の日曜日に娘婿夫婦の住む川越市に向かうこととなった。そして金田勝治と信子の二人は自分達が現在住む場所から電車を乗り継ぎ川越市に向かうことになったのだ。

 二人は当日の朝、家から最寄駅である『大塚駅』に向かう途中、勝治は信子にこう言った。
「おい信子! いやに今日は張り切って朝から早く起きてたよな?」
 こんな勝治の嫌味に対し、信子も勝治にこう言ったのだ。
「貴方だって、普段着って言っておきながら……エンジ色のジャケットを羽織ってくるなんて! それに……ちょっと派手すぎない?」

 この信子からの質問に対して、勝治はこう答えたのだった。
「今年開催の東京オリンピックのために、気分だけでも味わおうと思って買っておいたんだよ!」
 そう言うと信子は、また何時もの勝治の身勝手な行動に重箱の隅をつつくよう小言でこう言ったのだ。
「貴方はいっつも自分勝手なんですから・・・」

 こんな勝治と信子のやり取りが日曜の朝から繰り広げられ、『大塚駅』から『池袋駅』へと二人はまず向かった。そして『池袋駅』から川越市へと向かうのだが、その前に二人は『池袋駅』のデパ地下で、娘婿へ渡すお土産としてバームクーヘンを買ったのであった。この時、勝治は信子にこう聴いたのだ。
「信子! 俺は洋菓子は苦手なんだよ・・・。 和菓子の大福でもどうだろう?」
 勝治のこの言葉を聴いた信子は、勝治に対して叱るようにこう話した。
「貴方、このバームクーヘンは娘夫婦に渡すお土産なのよ! それに……孫の俊太は和菓子より洋菓子の方が好きなんですよ!」

 妻の信子の一喝に夫の勝治はたじろいだが、少し強がって虚勢を張った。しかし孫の俊太の話を出されては、勝治と言えど印籠を渡されたようなものだ。ここは素直に信子に従うとした。

 お土産も調達し、いよいよ川越市へと電車で向かう。『池袋駅』から川越市までは、東武線と西武線がある。勝治は東武線でも西武線でも同じ川越市に行くのだから、どちらでも問題ないと思っていた。だからこんな事を妻の信子に言ったのである。
「おい信子! 川越に行くには東武線と西武線があるよなぁ。東武線だと『川越市駅』まで片道約 35分 480円。 西武線だと『所沢駅』乗り換えで『本川越駅』まで片道約 1時間 480円となるが、料金は同じだがどっちの駅なんだ?」
 勝治のこの問いかけに妻の信子は、こんなふうに答えた。
「わたし達が行く小江戸(川越)は時は金なり、『時の鐘』ですよ・・・」

「チックショー! 上手いこと言いやがる。一本取られたわ……ってことはだな、東武線ってことだな」
 勝治は妻の信子にこう言い、二人は東武東上線の『池袋駅』から急行に揺られ『川越市駅』へと向かったのだった。途中、『成増駅』、『志木駅』、『ふじみ野駅』などに停車したが、車窓から見える風景が東京都から埼玉県の田舎に向かうに連れ、のどかな町並みや田園風景を望むことが出来たのだ。そしてあっと言う間に『川越市駅』に勝治と妻の信子は到着したのであった。

つづく・・・

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