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天才のプロレス

私は、家でご飯を食べる時に必ずバラエティ番組を見る。
だが、たまに自分の琴線に触れない番組しか流れていない時があり、その時に良くHuluを見ていた。
その時に出逢ったのが「たりないふたり」という番組だった。
社交性が足りない2人が足りないところを補う処世術を披露しているのが、あまりにも滑稽だったが、どこか共感できるところも多かった。

リアルタイムで見ていなかったのが悔やまれるが、その後悔を埋めるように1日半かけて全シリーズ見たのを覚えている。

今回はそのテレビシリーズのライブ版で、会場での観覧は出来なかったが、ライブビューイングで観覧することが出来た。

見終わっだ後に浮かぶ感想は「もう終わってしまうのか」だけで、刹那的に3時間は過ぎてしまった。
きっと、何年か前に猪木vsハンセンを会場で見たファンと同じ感覚だと思う。

様々な攻撃のパターンに的確なカウンターを返すそのプロレスのようなものは、一瞬足りとも目が離せなくて、開演前に飲んだビールが尿意や睡魔を運ぶかもしれないという不安はいつの間にか消え去っていた。

山里さん本人が本編のVTRで若林さんのことを「相棒」みたいなものと言っていたが、その思いがひしひしと伝わるくらい楽しそうにのびのびとお笑いをしている山里さんがいた。
ギャグだったりモノマネだったり、振る人が上手くないと輝かないのがお笑いの武器で、山里さんの関節技もその1つ。
お笑いの世界で、数多くの芸人さんがいる中、一番上手く山里さんを倒して関節技を受けるのが若林さんなんだと再確認することが出来た。
また、それだけでなく、若林さんへの尊敬、信頼が見えたのが、若林さんが設定に入るだろうという時に山里さんはスムーズにその設定に入っていた時。
オードリーのANNにおける春日さんも同じだが、若林さんが描いているほんの少し先の未来を信じてスッと設定に入る、その行動の裏には尊敬があるんだということがわかる。

だからこそ、見ていて気持ちいい。
若林さんも、山里さんなら面白い返しをするだろう、面白い展開になるだろうという期待と自信が見えているからフっている。
風俗の卒業式のくだりの上の句なんてまさにそうで、絶対に面白くするだろうという上の句を提供して、山里さんが見事に決める。
こんなに心地いいお笑いがあるのかと感動すら覚える。
2本目の山里さんのパンチラインの後に完璧な伏線の回収、同じ景色を見れたことで喜びながら、かつ「この人についてきて良かった」と副音声で聞こえるようなオチのツッコミをする山里さんの笑顔が全てを物語っていた。

信頼し合っているからこそ即興であんな高度な掛け合いが出来ていて、そして全国で観覧しているお客さんも絶対に面白くなる、という信頼があるからこそ、たとえライブビューイングだとしても足を運んでいる。

信頼に信頼で応えてくれた3時間はあまりにもあっという間だったし、やっぱり、まだまだ僕等には彼等が足りない。

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