漫才「通販番組」

A「実は俺、やりたい通販番組のMCがあって」

B「ん?」

A「『仕事』をやってみたいんだよね」

B「逆ね、やりたい仕事が通販番組のMCなのね」

A「あれ好きでよく見てるのよ」

B「たしかに通販番組ってなんか見ちゃうよね」

A「そうそう、あの夜中とか深夜とか夜更けにやってるやつ」

B「似た意味の言葉並べないで」

A「でも原付の免許すら持ってない俺にちゃんと務まるか不安だから、1回ここで練習させて」

B「免許は関係ないと思うけどいいよ」

A「じゃあ俺が商品を紹介していくから、お前はアシスタントを紹介して」

B「いやアシスタントを紹介する役とか無いから、普通にアシスタントやるわ」

A「…さあ始まりました!買ってくれテレビショッピング!」

B「正直な番組名だ」

A「傍観者の皆さん、いかがお過ごしでしょうか?」

B「視聴者のこと傍観者って言うな」

A「毎日の家事や仕事や海物語で、疲れが溜まっていませんか?」

B「なんで最後パチンコ打ったんだ」

A「そこで今回ご紹介するのはこのマッサージチェア!」

B「おお、マッサージチェアですか」

A「しかも従来の商品には無かった新機能が搭載されているんです」

B「どんな機能か気になるな」

A「それを今回、アシスタントのダークドラゴンさんに体験して頂きます」

B「あー、恥ずかしい名前ですみません、失礼します(座る)」

A「まずはこちら(ボタンを押す)」

B「これは…?」

A「プロのマッサージ師に肩や背中を解されていく感覚が味わえます」

B「ああー気持ちがいいですねー」

A「肩こりや腰痛に効果があります」

B「それは助かる」

A「続いてこちら(ボタンを押す)」

B「これは…?」

A「プロのキックボクサーに回し蹴りされる感覚が味わえます」

B「痛いな!何なんだこの機能!(立つ)」

A「肩こりや腰痛どころではなくなります」

B「より強い痛みで紛らわせるなよ」

A「他には怒り狂ったバッファローに背中を突き刺される機能も…」

B「いや要らないです、そんな感覚味わいたくないです」

A「5万以上負けた日には自分への罰としても使えます」

B「パチンコもやらないって」

A「…しかし呑気になるのはお値段ですよね?」

B「気になるのがね、むしろ一番シビアな所だから」

A「本来であれば19万8千円のところをなんと、今回は特別に!」

B「いくらになるんですか?」

A「プッチモニのCD1枚と交換させて頂きます!」

B「ゲロ安いじゃないですか、あれ中古で数百円ですよ」

A「更に送料はこちらで全額負担します」

B「たぶんCDより送料の方が高いですよ」

A「ただし今回は都内のお客様限定の販売となってしまいます」

B「え?それ以外の場所からは受け付けてないんですか?」

A「はい、まあ時間もかかるしガソリン代とか大変なことになるので」

B「ガソリン代?」

A「実は商品を責任持って届けるために、私が直接車で運ぼうと思ってるんです」

B「いやお前免許持ってないだろ!」

A「ああそうだった」

B「もういいわ、お前向いてないよ」

A「やっぱり通販番組は免許が無いときついかー」

B「そういう問題じゃないわ、ずっとおかしかったから」

A「マジで?ちゃんとできてなかった?」

B「全然ダメよ」

A「そうかー、通販難しいなー」

B「やめておいた方がいいよ」

A「じゃあこれからは別の仕事目指そうかな」

B「別の仕事?」

A「パチンコ番組のMC」

B「ああ、そっちの方が向いてるわ」



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