漫才「やりたい番組」

A「俺等もいつか自分の番組とか持ってみたいよね」

B「そうだね」

A「俺はもうやってみたい番組のイメージもちゃんと出来上がってるから」

B「ほう、どんな番組？」

A「一番やりたいのは、週末の夕方とかにやってる街ブラ番組」

B「ああいいね、そういう緩い感じのやつ」

A「あれめちゃくちゃ楽しそうだよね」

B「うんうん」

A「街の人と触れ合ってさ」

B「はいはい」

A「仲良くなったりしてさ」

B「いいねー」

A「それで大喜利対決とかするんだよ」

B「え？」

A「あとは商店街に行ってさ」

B「うん」

A「美味しいコロッケとか食べてさ」

B「はいはい」

A「感想は必ず何かに例えるんだよ」

B「例える？」

A「それで良い例えが出なかったら罰ゲームでバンジーね」

B「いやゴリゴリのお笑い番組じゃねえか」

A「あと看板に一言足して面白くしたり」

B「また大喜利だよ」

A「公園で架空のオリジナル遊具を考えたり」

B「どこが緩いんだよ」

A「道行く人にあだ名を付けたりね」

B「もう街全体をお題として捉えてるじゃん」

A「それで一番成績が悪かった人は滝に打たれながら締めの一言ね」

B「頭も使って体も張って、何が週末の午後だよ」

A「いやー、やってみたいねー」

B「テレ東の深夜にやれ」

A「ああいう番組ってお爺さんになってもできるからねー」

B「死んでしまうぞ」

A「じゃあ逆にお前はどんな番組がやりたいの？」

B「俺はそれこそゴリゴリのお笑い番組よ」

A「ああそう」

B「まあビーチで寝転がったり」

A「え？」

B「アイスをゆっくり舐めたり」

A「いやいや」

B「水着で車洗ったりするんだよ」

A「グラビアアイドルのイメージビデオじゃねえか」

B「やっぱり芸人だから体張りたいよね」

A「張り方が違うのよ」

B「あとなんかマリファナが出てきたり」

A「え？」

B「札束をばら撒いたり」

A「いやいや」

B「タトゥー見せながら中指立てたりしたいね」

A「ラッパーのMVじゃねえか、どこがお笑いなんだよ」

B「え？あれ薬物大喜利じゃないの？」

A「何だ薬物大喜利って」

B「あとタトゥーってあれでしょ？墨で一言」

A「写真で一言みたいに言うな、あれおもしろで入れてるわけじゃないから」

B「薬物大喜利しながら墨で一言入れて水着でアイス舐めたい」

A「いや怖すぎるだろ、もうジャンルも分からないわ」

B「日曜の夕方に放送できない？」

A「できねえよ、全お年寄りが気絶しちゃうから」

B「そうかー、じゃあもう普通のバラエティー番組で我慢するわ」

A「普通のバラエティー番組？」

B「白い壁に向かって腹話術師が税金の話するやつ」

A「いや一回も見たことないわ、もういいよ」