
こどもの時間を一緒にたのしむ。
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ベーゴマのおもちゃ
ベーゴマのおもちゃ、とわかっているのはボクだけ。息子はボクに「ぱぱ、これどうするん?」と聞いてきた。
「こうやるんよ、見てて。」と言って、コマを回すと「おー、ぱぱ、すごい」「じょうくん、やる」と言い、ボクが回した道具をボクから優しく奪う。
こんなとき、何も言わずに見ることにしている。ボクがやり方を手取り教えたら、きっとすぐにできると思うんだ。でも、それだと彼が試行錯誤をする豊かな時間を奪ってしまうことになる。
もうちょっとい言うと、彼は手伝って欲しくなったら「手伝って」と言ってくるので、それまでは、見ている。彼のペースに合わせる。
そして、この見ている時間はボクにとっても、とても豊かな時間となる。
こどもの、ゆったりとした、試行錯誤いっぱい、いったりきたりの時間を横で一緒に過ごせるのは、いいものだ。
しばらくすると、息子は「ぱぱ、やり方おしえて」と言ってきた。
こんなときは、ボクの出番だ。
「いいよ、こうするんよ」とゆっくりと息子に見せながらベーゴマを回す。「わかった」と、わかったかどうかわからない、でも自信満々に息子は再び、ベーゴマに挑戦する。
(あ!できたね(ボクの心の声))
まわったとき、息子はすぐには「できたっ」とは言わずに回るのを見ていた。そして時間差でボクのほうを見ながら「できたっ」と言ってくれた。ああ、すぐには言わないんだね、それが余計にかわいい。
うれしいね、息子。そして、ボクも息子が新しいことを、できた瞬間に一緒にいられたことが嬉しい。
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妻と1男2女と暮らしています。その傍ら「誰もがまるごと受け止められる社会」をつくりたくって「場」づくりをしています。1983年京都生。滋賀県在住。NPO法人わっか共同代表。編みものが好き。