愛しの家族とステーキを食べながら、世界平和を想う
食べることへの執着心が、私を形成していると言っても過言ではない。
私だけでなく、私の家族に脈々と流れる血の中に、「食欲」は何よりも濃く刻まれている。
しかし自分は、一回食べただけで、絶妙な味付けを再現できる、超絶技巧な料理の腕前は持っていない。
さらに、美味しいものを再現したいと思うより、美味しい料理を食べに行ける店に行くために、一生懸命働きたいと思う性分だ。
もちろん日本食は大好きだ。
でも、大人数でワイワイ食事をする時に食べたくなるのは、やっぱり王道の「アメリカンフード」。こんもり盛られたサラダや、ステーキやバーガーが愛おしい。
だから10年米国で生活する間に、すっかり慣れ親しんだリブアイのステーキやジューシーなバーガーと、マック&チーズやシーザーサラダを楽しめる店探しには余念がない。
そして閑静な住宅街に佇む「用賀倶楽部」は、私のお気に入りの店のひとつだ。
仕事で出会ったLAに住む編集者に紹介されたそのレストランは、子ども連れでも訪れやすい「カジュアルな雰囲気」にも関わらず、それなりの価格帯に見合った、「とっておきの味」が楽しめる。
スタッフのサービスは程よく行き届き、昼でも夜でも人が集まる店の、その賑やかさも心地いい。
今宵、義妹と一緒に、子どもたちや甥っ子、姪っ子を連れて、賑やかなディナーを楽しむ。
両家の長男たちは、一丁前にメニューを見ながら、食べたいものを選び出す。弟や妹たちも、これ飲みたい、これ食べたいと発言する。食に関する自己主張は、大人顔負けだ。
彼らの意見を取り入れつつ、私の独断でチョイスする。
「野菜、サイド、野菜、サイド、肉、飯」だ。
大人数なので、あれこれオーダーして、みんなで「シェア」して食べていく。
「シェア」は我が家のテッパンだ。
子どもたちみんな、好き嫌いをほとんどせずに少しずつお皿に乗ったものを味わっていく。野菜だってサラダも温野菜も大好きだ。
バーニャカウダのサラダは、全員が争うように食べていた。途中、人一倍食への関心が高い甥っ子が訊ねる。
「このバーニャカウダのソースは何でできているの?」、「アンチョビだよ」、「へぇそうなんだ」
この会話を他の子どもたちも聞いている。
ミックスカルチャーな世界が当たり前のファミリーにとって、「食」は大事なキーワード。
美味しいものは、文化の垣根をやすやすと越えていく。それにはまず「食欲」ありき。美味しいものへの探究心を、しっかりと持たないことには始まらない。
だから、プロが作る美味しい料理をレストランで味わうことは、「子どもたちの未来への投資」だと思う。私が家事を手抜きしたいからではない。
テーブルマナーを学び、美味しそうな盛り付けを愛でる。自分が好きな味を見つけ、心地よいと感じる文化を知る。
そして美味しいものを「食べること」が、笑顔をもたらすことを知っている彼らが、大人になって「自分の好き」を共有しながら、どんどん世界と繋がっていくことを想像する。
World Peace
世界平和を想う
大好きな義妹と尽きない子育て論を語りながら、絶品のステーキとピノ・ノワールを味わいつつ、大きくなった息子たちや甥っ子と姪っ子たちを眺めながら、ふとそんなことを思った。
いや、それはただ少し奮発したディナーへの正当な理由付けをしているだけなのかもしれない。
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