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Sustainable Brands(SB) Japan 2019を振り返って

3月6と7日に東京・台場のヒルトン東京で開かれた「Sustaiable Brands Japan 2019(サステナブルブランドジャパン)」。日本で3回目の開催となった国際会議は、「サステナブル」をキーワードに、国際的な企業やNGO/NPOの動きから、国内の小さな動きまで、講演から実践的なワークショップといったさまざまな形で、社会の取り組みが紹介され、また人的交流が広がる場です。

“日本人でない参加者がさらに増えたように感じた”

私は、創刊号から寄港する「オルタナ」のライターとして、1回目からこの会議に足を運んでいますが、昨年の広がりに加え、今年は会議をさらり交流の場として利用する層が増えたように感じました。そしてそれは日本人間に限らず、英語を自由に話す、外国人が増えたように感じました。

以下、2日間ともに午前中に開催された「プレナリー」、および午後に開催された「ワークショップ」で全体として感じたことをまとめてみます。

キーワードは「Sense of Urgency」と「Visibility 」

サステナブルブランドは、サステナブル・ライフ・メディア社のコーアン・スカジニアさんという女性が立ち上げた、サステナビリティに関するコンサルティングファームであり、メディアであり、国際会議です。

社会が成熟する一方で、環境問題が深刻な状況を迎えている現代社会の中で、「ブランド」との価値やその影響力が、昔と比べて変わってきている。そしてその影響力を使って、社会を、地球を、よりよいものできるんじゃない、という考えでサステナブルブランドは世界規模で国際会議やメディアが広まりつつあります。(これオフィシャル見解ではないのですが私なりに感じている会議の意義です)

昨年の会議前後で、国連の採択する「SDGs」が世の中にもかなり浸透してきたなぁと感じたのですが、今回の会議では、企業によるSDGsを実現するために、実際企業が直面している「トランスフォーメーション」(転換)の様子が、色々紹介されていました。

例えば化粧品、ファイントイレタリー製品のメーカーである「P&G」は、スカジニアさんとともに、その転換の歴史を実際に利用した資料とともに公開し、過去、現在、そして未来におけるP&Gのスタンスや、ブランド価値(パーパス)について話してくれました。

でもいうのは簡単だけど、社外的にも、社内的にも変わるのって大変じゃない?

講演やワークショップに出る中で、私が一番疑問に感じたところはここです。実際P&Gの講演でその疑問を投げてみました。

その時に、スカジニアさんが伝えてくれたことが「Sense of Urgency(急がなくていけないという意識)」という言葉でした。私はこれを日本語にする時には、「危機感」と同様の意味と捉えています。

企業においてトップの人間には、そのネットワークと知識や経験から、マスやボトムにいるものには見えない世界が存在します。これは否めません。今変わらないと近い将来問題が起きる、利益が生まれない、リソースが確保できなくなるなど、毎日の生活からは想像できない負のスパイラルが潜んでいる危険性を、通常トップたちは感じているはずなのです。そのために、さまざまな企業や国のリーダーたちが、これまでは違う方向へ舵を切っています。

この危機感/急変化の必要性を、多くの人と明確に共有することが、トランスフォーメーションを行う上でとても重要なことだと言っていたのが印象的でした。

一方で、まだその危機感に駆られた行動を受け入れられないマスも、多く存在するするのです。そこで登場するキーワードが「Visibility(可視化)」という言葉でした。

見えることで、行動が変わる

日本でもレコーディングダイエットが流行ったように、真っ向から客観的にそこにあるものを見つめるという作業は、実は本当に変化の源なのだ、ということを、まざまざと感じています。

米ルビコン・グローバル社は、テクノロジーのスタートアップで、「ゴミ処理」という世界に挑んでいる企業。彼らのなんといっても強みは、最新のテクノロジーをつかうことで、ゴミにまつわるあらゆる情報をデータ化できることだといいます。

詳しくことは、インタビューした記事を近々書くのでそこに書きますが、ルビコン社のグローバルエクスパンションのヴィエル・カステルさんは、同社のテクノロジーを使うことで、ゴミにまつわるあらゆるフロー、例えばどの家にゴミがいつも量が多い、きちんと分別されていないといった情報にはじまり、企業向けのゴミであれば、ゴミの再利用方法の提案に始まり、あらゆるゴミ関連の手配を一括管理できるといいます。

これこそまさに「可視化」の賜物であり、これまで大きな工場や企業は、必要なゴミ処理別に個別の産廃業社を手配しなくてはならなかったことが、ルビコンのシステムを使うことで、一元管理ができるようになったというのです。さらに、ゴミのと思っていたものが、別の企業や事業主にとっては、利用したい価値あるものであることも、証明できるようになった。まさに可視化のパワーです。

またタバコの販売を将来的に止めると公言するフィリップ・モリス社は、この「可視化」作業を、自身の会社のトランスフォーメーションの過程で意識し、導入したと言います。もちろん先述のP&Gも然りです。

社内外に、自分たちの進む方向性を表明する際に、自分たちが今どこにいるのか、どうしたいのか、きっちりとゴールを設定する必要がある。そしてこのプロセスを踏めば、ちゃんと変わるのだ!ということを、改めて会議を通じて感じました。

実は企業/ブランドとは別にこの「可視化」に最もを発揮できるのは、私のようなジャーナリストやライターなのではないか、とも感じました。私たちが、こうしたブランドや企業のトランスフォーメーションの様子を伝え、必要性とそのポジティブな反応を紹介すると多くの人が肌で感じてくれるようになるのではないか。

トランスフォーメーションマップを、自分化してまず取り入れてみようと決意をした機会となりました。

https://go.sustainablebrands.com/resources-sb-brand-transformation-roadmap

#sustainablebrands #sbtokyo2019 #オルタナ #サステナブルブランド #SDGs #トランスフォーメーション #ルビコン

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