【BookReview】LAをリアルに感じられる作品:"the Proposal"(洋書)

こんにちは。
今日のレビューは、昨年一番ハマった洋書です。
私が10年住んでいたロサンゼルスが舞台ということもありますが、この作品「The Proposal」にはロサンゼルスの街の雰囲気や文化が伝わってくる描写に溢れています。

話しはロサンゼルスのドジャーススタジアムから始まります。主人公はフリー・ジャーナリストのNik(ニック)と、小児科医のCalros(カルロス)。二人の偶然の出会いから、ソウルメイト=恋人になっていく過程が描かれている作品です。

まず登場する地域の描写が具体的なところでなんと言っても最大の魅力です。元アンジェリーナ(ロサンゼルス住民)の視点からいうと、店や家、街の雰囲気を伝える描写が細かくて本当に上手。懐かしさと同時に、人種のるつぼらしい地域柄に溢れているので、すごくリアルなのです。

特に、Nikたちが集まる「シルバーレイク」というエリアは、ロサンゼルスのダウンタウンの裏側に当たる「Eastside」と呼ばれるエリア。お洒落な店が点在する地区として、日本の雑誌などでもたびたび取り上げられています。

この作品は「山沿いのアーバンお洒落族(Eastside)」(→これはあくまでも私の個人的な印象ですが!)がテーマ。ちなみに、私は完全に「海沿いのビーチ系お洒落族(Westside)」な人間だったので、シルバーレイクや現在のダウンタウン・ロサンゼルスのお洒落な店には、イマイチ馴染みがありません(笑)その違いも、作品の中で次のように描写されています。

主人公のCarlosの妹Angela(アンジェラ)が

"Don't let my big brother over here act like he's got Eastside cred; he's been living on the Westside for years and just moved back, thank goodness." 
(お兄ちゃんに、自分がイーストサイドの人間だって(偉そうに)話させないでね。何年もウエストサイドに住んでいて、最近ようやくこっちに戻ってきたばかりなんだから。)

と言っています。これはある意味、ダウンタウンの東側で生まれ育ったアンジェラからすると、海側のウエストサイドはそのくらい文化も雰囲気も全く違うもので、それはある意味彼女にとっては馴染めない世界ということが伝わってきます。ちなみにウエストサイドには、ビバリーヒルズや、サンタモニカといったいわゆる日本人がイメージする「カリフォルニア」、「ロサンゼルス」なのですが、これは実際のロサンゼルスのほんの一部なのです。

この違い。日本から初めてロサンゼルスを訪れた人では感じきれないかもしれませんが、正直な話しイーストサイドはこのCarlos&Angela兄妹のようなヒスパニック系や、韓国や中国などのアジア系の移民がたくさん住んでいるエリアです。一方、ウエストサイドは白人のコミュニティー、どちらかというかお金持ちが住む地域という印象があります。

そしてこの作品のもう一つの魅力は登場する「食べもの」です。Nikの親友Courtney(コートニー)は、人気カップケーキショップ「Cupcake Park」のオーナーで、人気カップケーキが作品の中でも登場します。そして、主人公のCarlosは、 料理が得意な男性です。彼のシグネチャーは、こだわりソウルフード「Enchiladas(エンチラーダ)」です。

エンチラーダとは、こんな感じのものです。美味しいエンチラーダは本当にほっぺたが落ちる。チーズもたっぷりで、日本に帰国して以来、いつも美味しいメキシカンフードが恋しいです。

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©︎Ewen Roberts

本を読みながら、美味しそうな食べものを想像したり、懐かしい味を思い出したりできるのも、この本の魅力です。なお巻末には、筆者がオススメするCarnitas(カーニタス)のレシピも載っています。

そのほかに、ヒスパニック系の大家族の人間関係のごちゃごちゃが出てきたり、カップルの人種の問題や、ストレートやレズビアンのカップルの問題あれこれなど、、、時代を細かく描写した作品という点でも、読んでいて「超リアル」なのです。

というわけで、Jasmine Guilloryさんの作品はもっと読みたいなと思っている今日この頃です!

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