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【フリースペース企画書:企画の背景】なぜフリースペースなのか?

このマガジンは、教育に関する「FUNRISE」が現在立ち上げようとしている"子どものためのフリースペース"の企画書のnote版です。

なぜフリースペースなのか?〜学校教育の現状〜

企画書note挿絵 (5)

r1不登校児童生徒数

文部科学省「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導状の諸課題に関する調査」より

ご覧のように小学校・中学校ともにここ数年長期欠席(年間30日以上の連続、断続的な欠席。そのうち小学校では約6割中学校では約8割が不登校)の児童生徒の割合が増加傾向にあります。特に中学校は増加の傾きが大きくなっています。

令和元年度だと小学校では1000人当たりで約8人中学校だと約39人が長期欠席となっています。1000人というと小学校だと2校分くらい、中学校だと3校分くらいの人数でしょうか?

長期欠席の中でも「不登校」であった子どもの不登校の要因を見ていくとこのようになっています。割合が大きいほど面積が大きくなっています。

要因1

文部科学省「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導状の諸課題に関する調査」を改変

要因2

文部科学省「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導状の諸課題に関する調査」を改変

一番多いのは「無気力」「不安」です。そして「親子の関わり方」「生活リズムの乱れ〜」と続きます。このように子どもたちは様々な要因によって学校を休み続けているのです。

加えて、国の調査では示されない事柄も存在します。それは、「学校に行っているけど不安を抱えている子」、「学校に行きたくないけど嫌々通っている子」の存在です。

そういう子どもたちは、家族や教師がその様子に気づいて対応するか、体調崩したり、本当に苦しくなったりして学校を休むという行動をとらない限り、不安な学校に通い続けなければならないのでしょうか?

また、学校に欠席日数はその後の進路にも影響します。3か年皆勤であれば入試の得点がプラスされる学校もあります。今後の人生のために学校には無理して通わなくてはならないのでしょうか?

学校外機関

文部科学省「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導状の諸課題に関する調査」を改変

IT活用

文部科学省「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導状の諸課題に関する調査」を改変

上記のグラフは学校外の施設や自宅でITによる教育を受けて、学校から出席認定を受けた不登校児童生徒の人数のグラフです。年々その数は増えています。特に「IT等を活用した〜」では毎年、前年の倍ずつ増えています。このように学校外の活動でも学校の出席認定が得られる場合が増えてきています。学校外の活動で出席認定が得られれば進路への不安も少し抑えられるかもしれません。

「企画趣意」でも述べましたが、義務教育は子どもが学校に通う義務ではないと思っています。では、その代替となる機関はどこなのでしょうか?
家というのは選択肢の一つでしょう。自分にとって落ち着いた環境で穏やかに過ごすことができる場所かもしれません。

ただ、家庭の事情によっては共働きで家で子どもを見る時間が充分にとれない、家庭環境が良いとはいえないなど、子どもの活動場所として適切かどうか疑問であるといえるところもあります

そこでフリースクールやフリースペースといったサードプレイスが必要になってきます。教育・福祉に精通したスタッフが子どもの安心、そして成長のために考え、子どもたちや家庭を支えていく場です。そしてそこでは学習だけでなく、多様な活動を提供することができ、子どもの興味関心を高めることができます

上の資料は現在の教育の姿です。今後、学校外の教育にも足が向きやすくなるのではないでしょうか?そして、学校外の教育は更に広がると私たちは考えます。その一翼に私たちはなりたいのです。

フリースペースを開設しようする地域の地理的特徴【埼玉県久喜市】

企画書note挿絵 (7)

開設候補地は今後も増えていく可能性がありますが、ここでは無料塾などFUNRISEの活動とも馴染みが深い、埼玉県久喜市を取り上げます。

企画書挿絵案のコピー (1)

久喜市の不登校児童生徒の割合(%)は2016年度で小学校で0.25%、中学校で1.82%です。これは同時期の埼玉県の0.29%(小学校)、2.52%(中学校)を下回っていて、全国の平均と比べても大きく下回っています。

しかしながら、このデータは「久喜市内の学校は子どもにとって安心安全である」ということには繋がらないと私たちは考えます。それは繰り返しになりますが、「学校に行っているけど不安を抱えている子」「学校に行きたくないけど嫌々通っている子」の存在です。これらの調査にはそのような層は表れているのでしょうか?

不登校の児童生徒数が少ない自治体であっても私たちはフリースペースを設け、子どもたち、家庭を支援していく必要があると考えます。

久喜市は市内にJR線2駅、私鉄線(東武線)4駅があり、久喜駅、栗橋駅は両線の乗換駅として多くの人々が日々利用しています。また、久喜駅、南栗橋駅は東武線の始発、終着駅であり利便性が良いので、施設を開設した際には久喜市、さらには近隣地域から児童生徒が集まることを期待しています。

現在、FUNRISEが久喜市などで開催している無料塾「久喜つばめ学習会」でも久喜市に限らず、埼玉県の広い地域、更には千葉県、茨城県などからもボランティアサポーターが集まっています。

不登校児童生徒に限らず、子どもたちが日頃から社会において様々な体験することは重要なことであると考えます。その一つに鉄道を利用し、施設に通うという体験は社会状況、社会の流行を掴む重要な機会となることでしょう。

私たちは子どもたちの安全、心理的負担に十分配慮しつつ、子どもたちが自ら通い、自ら能力を高めることができるフリースペースの設立の場所を現在検討しています。その重要な候補の一つとして久喜市があると思っています。

今後、久喜市をはじめ埼玉県北東部においてフリースクール(フリースペース)といったオルタナティブ教育への理解、関心がどのくらいのものであるのかというのは、見ていく必要がありそうです。

(参考)

「第2期久喜市教育振興基本計画」(https://www.city.kuki.lg.jp/shisei/seisaku_keikaku/plan/kyoiku/kyoiku_keikaku/index.files/dai2kikeikakubunkatsu2.pdf)

「埼玉県における児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
(https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/13626/01kekka.pdf)


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