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Clubhouse(クラブハウス)にみるボイステックの可能性と未来

マクロ的な現在の技術には6つの段階による流れ、潮流が存在します。

その6つとは、

①電気がコンピュータを生み、
②コンピュータがインターネットにより接続され、
③インターネットが社会の隅々にまで浸透し、今まで繋がることのなかった人と人、人とモノ、カネ、情報が繋がるようになり、
④それらの繋がりによって発生した膨大なデータはAIに集約され、
⑤自律的に判断するAIがデータを分析し判断を下すようになり、
⑥あらゆる物体が知性を獲得する

このようになっています。翻って申し上げるならば、これそのものが過去・現在・未来の時間軸でとらえたインターネット史になっているわけです。

そして現在、僕たちの実社会においては「③インターネットが社会の隅々にまで浸透し、今まで繋がることのなかった人と人、人とモノ、カネ、情報が繋がる」という段階にあるということが大きくいえると思います。

言うなれば今まで出会うことのなかった(人そのものも「情報」として考えると)情報と情報が『マッチング』されるようになったことが情報革命による大きな恩恵で、そのマッチングを推し進める役割を担ってきたのが、FacebookやTwitterに代表されるSNSだったわけです。


インターネット史の大きな流れの中で考えると、もうそろそろ情報同士の「マッチング」の時代は終焉を迎えそうだとも言えそうな情況から突如、現れた音声SNSのClubhouse(クラブハウス)を嚆矢として今後の技術トレンドを読み解いていきましょう。

クラブハウスについてご存知ない方のために、カンタンに概略だけ紹介しておきますね。

クラブハウスは「音声SNS」ということだけあって、音声をつかって人とつながることができます。クラブハウスでは特定のトピックについての「ルーム」をつくることができ、そのルームに入った人は「リスナー」としてスピーカー(話者)の話を聞けます。

それだけの話であればSpotifyやVoicyといった従来の音声メディアがすでに存在していたわけですが、クラブハウスが新しかったのは「スピーカーがリスナーを招待できる」機能があることでした。つまりリスナーとして聞いていたら、突然スピーカーとして招待されるということなんです。

そしてクラブハウスがネット界隈で大きな話題を呼んだ理由は、そもそもこのクラブハウスというメディアが招待制になっているからなんです。つまり、誰もがクラブハウスにアクセスできるわけではないのです。

クラブハウスの新規参加者には、3人まで友達を招待する権利が付与されます。しかしこの権利がクセモノで、招待したい人の「電話番号」を登録することでしか、招待することができないようになっています。

そういう意味では招待者と被招待者との間になんらかの人脈がないと招待することができないので、SNSが問題視されてきた匿名性や信頼性ということについては必要最小限、担保されていると言っていいと思います。


FacebookやTwitter、Instagramなどの巨大SNSは「情報はそれ単体ではいられない」という情報学的な性質を利用して、同種の情報を結びつけることでマッチングの機会を提供し、発展を遂げてきました。

それこそインターネット黎明期においては、ネットは「テキスト」情報を好むという傾向を利用して今では当たり前のようになった検索サイトなどの情報サービスが産声を上げることになりました。

そこから人間が体験や知識を共有しやすい視覚情報に着目し、画像や写真などの共有サイトが勃興し始めます。さらにはそうした視覚情報に音声を加えた「動画」に大きく注目が集まることとなり、YouTubeがその火付け役になったのが近年の電子メディアの潮流になっています。

人々のメディア選好の流れを簡略化すると、次のようになります。

テキスト

画像

動画

音声(!?)

こうした中で、なぜか取り残されていた「音声」情報こそが最後のフロンティアとされていたのですが、長らく音声をうまく活用した電子メディアは出てきていませんでした。

なぜかというと、すでに音声を活用したメディアとしてラジオがマス媒体に君臨しており、そうしたラジオ放送をネットで届けるものとして「ポッドキャスト」という手段がスマートフォン登場直後からすでに存在していたからです。

それらに加え、日本という地政学上の要因も音声メディアの隆盛に発破をかけていました。日本語では表意文字である漢字の情報量がきわめて多く、文字で読んだほうがたくさんの情報を一度に読めてしまうんです。

日本語は漢字の同音異義語が非常に多く、文字を読めばすぐに区別できる「ことば」でも、音声で聞くと異義語を区別しにくいという問題もあります。このように日本語は「音声」よりも「テキスト」のほうが情報を得るためにはずっと効率が良いのです。ここにラジオが新聞や雑誌、テレビなど他のマス媒体に駆逐されてしまった大きな要因があるのです。

ではクラブハウスなど音声SNSが今後、大きくフォーカスされることはないかというと、そうとも言い切れません。

情報量という点においては劣る音声であっても、音声でしか表現できないことがあります。それは何かというと話者特有の声であったりとか、話術による「キャラクター」性です。音声データというのは情報に加えて周波数による特定の波形が付加された、立体的なデータ形式になっています。

つまり何が言いたいのかというとテキストで表現できる単一のデータだけではなく、いわゆる情緒などエモーショナルに訴えかける要素が音声にはあるということなのです。

さらには視覚情報が一切ないがために、視聴者は想像力を駆使して音声を聴き取る。だからこそ視聴率こそテレビが大きく凌駕するものの、熱烈なラジオ愛好家といわれる人たちも存在する理由がここにあるのではないでしょうか。


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