第0章

目の前に、降ってきた
センター街の光の海を一瞬遮ったそれは、初めて聞く音で目の前に落ちてきた。
周囲の視線が、一斉にその一点に集まる。ざわめき、足音、全てがわずか数秒で、私達の数メートル先の「それ」興味を寄せているのが分かった。

私はビクッと肩をすくませた、
私の腕を掴んだミカが金切り声で叫んでいた。
白い上着に黒いハイヒール、GUCCIの赤いバッグに綺麗なブロンド。白い上着が少しずつ赤色になってゆく。
3月の深夜2時、この鳥肌は寒さのせいだけじゃない。
私は、「それ」を知っていた。白い上着はあのロッカーで見慣れていたから
「あ、、、知って、る」
酒やけでほとんど出なかった私の声は自分で聞き取ってやっとその意味を理解した。


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