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雨が降ったら

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雨が降ったら

マガジン

  • 紫陽花

    創作

  • 金魚鉢

    初めて書きます、拙い文章になると思いますがご容赦ください。 少し過激な内容が含まれます。 自己責任にてご購読下さい

最近の記事

第2話 ゲハ

「お客さん、着きましたよ」 私達とは対照的に落ち着いた運転手は、早く降りろと言わんばかりに黙って置いたクレジットカードを素早く機械に差し込んだ。 窓の外を見ると見慣れた池田公園のイルミネーションがいつもより暗く見えた。 「ミカ、行くよ」 ミカは黙って下を向いたまま動かない、太ももに置かれた手はさっきの掴んでた力を失ってだらんとしていた。 「行こっか」 優しくミカの手をつないで無理やりタクシーからおろした、疲れてしまったんだろう。 さっきのアイナも、血も、頭から離れない。 私は

    • 本性

      父の精神病は治ったんだと思っていた 私がぶっ壊れて地元に帰ってきてからのこの3年は 母と3人で、初めて家族だと思えて平和で 前までの父は鬱の所為でおかしかっただけで もう正常だからやっと家族に成れたんだと思っていた あの日までは。 ゆく宛も無く物に当たり暴力を振るい 警察を呼んだら呼んだで、得意のサイコパスさを発揮してこっちを悪者に仕立てあげる 表面が良すぎて誰も気付いてくれない あの日も、信じられないくらい雨が強かった 余所者、他人の、そんな奴の、言う事を聞く娘が気に入ら

      • たまに、誰かの言葉が呪いみたいになって たった一文なのに その言葉のためだけに必死に生きて またその言葉の所為で潰れそうになって 噛み砕いた後にやっと呪いだったって気付くのが 呪いなんだよ

        • 君は朝5時の美しさを知っているか

        第2話 ゲハ

        • たまに、誰かの言葉が呪いみたいになって たった一文なのに その言葉のためだけに必死に生きて またその言葉の所為で潰れそうになって 噛み砕いた後にやっと呪いだったって気付くのが 呪いなんだよ

        • 君は朝5時の美しさを知っているか

        マガジン

        • 紫陽花
          1本
        • 金魚鉢
          3本

        記事

          春に君が捨ててくれたのは 1人で凍えないようにしてくれたのかもしれない、と人生で2度も同じことを思う日が来るとは思わなかった

          春に君が捨ててくれたのは 1人で凍えないようにしてくれたのかもしれない、と人生で2度も同じことを思う日が来るとは思わなかった

          いちご

          私はギターを手に取った 反対側に白いギターと細い指はもう見えないけど 親指だけ伸ばした爪で カノンロックをつたなく弾いた 19の4弦ではじまるその高い音は 懐かしくて、痛くて あの日の私の心の叫びによく似ていた いつか上手に弾けるようになったら 一緒に合わせようね と言った私は、その1か月後には その約束を破る事になっていた ホワイトデーあげたいから、時間ある? 2番目の女に、一体何をくれるんだろう ずっと1番だと勘違いしてた私が幸せそうで羨ましい 半年間疑問だった距離感

          別に君が死にたがってるようには 見えなかったんだけど 何故か放っておけなかったんだ 何かあったと描いてある瞳に 私は手を伸ばさずにはいられなかったんだ 全部、私の我儘だよ

          別に君が死にたがってるようには 見えなかったんだけど 何故か放っておけなかったんだ 何かあったと描いてある瞳に 私は手を伸ばさずにはいられなかったんだ 全部、私の我儘だよ

          第1話 ミカ

          第1話 Hz ミカの叫び声が止んだ。 落ちてきた「それ」はアイナだった 半年前まで系列店にいたアイナ、上から降ってきて落ちたのは同じ職場に居たホス狂だった。 左を向くとミカの普段キラキラしている目が見たことの無い位光を失って、めいっぱいに開かれていて怖かった 「友達、なの?」 ミカのビー玉みたいな声は叫んだせいかいつもより震えながら低かった 私の腕を掴む力が強まる、スカルプで長い爪が二の腕に突き刺さって痛い。 そう、友達 と言いたい所だった。 人通りの多い錦三丁目は、野次

          第1話 ミカ

          第0章

          目の前に、降ってきた センター街の光の海を一瞬遮ったそれは、初めて聞く音で目の前に落ちてきた。 周囲の視線が、一斉にその一点に集まる。ざわめき、足音、全てがわずか数秒で、私達の数メートル先の「それ」興味を寄せているのが分かった。 私はビクッと肩をすくませた、 私の腕を掴んだミカが金切り声で叫んでいた。 白い上着に黒いハイヒール、GUCCIの赤いバッグに綺麗なブロンド。白い上着が少しずつ赤色になってゆく。 3月の深夜2時、この鳥肌は寒さのせいだけじゃない。 私は、「それ」を知

          死んだ細胞に高いリンスとヘアオイルを塗る 枯れた花に水をやるように。 こんなにもドライフラワーは綺麗なのに この意味の無いことを私たちが辞めることは無い 流行りだ文化だセンスだと言って繰り返されてきた たまに、地球が丸いことは皮肉だと思う マルコ・ポーロは大して遠くない島を3回だけ往復して王様に新大陸を発見したと言った モンゴル人はすぐに改宗するし、イタリア人は陽気なだけでなくヤリチンだ 日本人は謙虚だと言われる割に卑屈で人の悪口だけで夜を明かせる どこかに行きたくても 地

          分からない

          やばいよそれ やめた方がいいよ 優しすぎ 困ってしまう その言葉達が降ってくる度に 自覚していなかった感情が 私の中に生まれてくる そうか、やばいのか 私は優しすぎるのか 今傷つけられているのか 絶対幸せになって欲しいと ギャルの親友は言った 俺ってクズなのかな、と 最近よりを戻した元彼が言った 本当の私はどっちでもいい でも多分私ならこう言うだろうと 返事をする、 それはどれも曖昧で本当は嘘で。 それを見透かされているから いつまでも、私は独りなのかもしれない

          分からない

          懐かしかった あたたかかった 私の想いが一瞬で過去形になってゆく 眺めることしか出来ない 誰だったのかも分からくなったら 左様なら

          懐かしかった あたたかかった 私の想いが一瞬で過去形になってゆく 眺めることしか出来ない 誰だったのかも分からくなったら 左様なら

          b

          貴方に好きと言ってしまいたいけれど 言ったらなにか解決するのかは分からない この胸のざわめきが止むのかは分からない そもそも 好きなんて2文字で 片付けられるようなものでもなくて 暖かくて壊れそうで でも確かにここに居る 私はこの気持ちに なんて名付けよう この世のどの言葉でさえ この気持ちには追いつけない それでも私達は日々変わっていくから いつかこの思いが走馬灯になるまで 見守りたい 毎日こんなnoteに 思いを募らせて 私は本当に馬鹿なのかもしれない でも貴方に

          友という言葉は単数形だけど 世間で使われる時には友達という複数形になる 私達は、ある個人のことを一般論からカテゴライズされた枠にはめて呼ぶらしい。 気付かないうちに使っていた友達という言葉には どんな意味が含まれているのか考えてみた。 自分の周りにいる、不特定多数、恋人まではいかないが仲が良く、その人達を私達は恋愛感情が湧いていても友達と呼ばないといけない。恋人では無いが大切な人達 また、そこまで好きでは無いが関わらないといけない人の事をカモフラージュして友達と呼ぶことも

          敬語

          待ってます、いつでも誘ってください 君は私に会いたいとは言ってくれない 波ひとつ立たない水面に浮かんだ君の言葉達がいつも静かに私を見つめている それなのに私は、その滑らかな水面に 感情という波を探してしまう 暗いけど暖かい海の中を泳いでるうちに どうやら溺れてしまったみたいだ 溺れてしまったけれど、私は水中での息の仕方を身につけて、もう元の私への帰り方なんて忘れてしまっている それでも良いと水中を漂い続けて ただ君を待っている かと言って私はもどかしい わかりやすい波

          猫みたい

          猫みたい