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株主の役割は資金提供だけではない。株主の関わり方の多様化について考えたこと。

FUNDINNOで実施をしている独自アンケートの中で、このような質問をしました。

「ご投資した企業の中で、今まで事業活動に協力したことはありますか」

その回答結果がとても嬉しかったのです…

・商品開発にアドバイスをする
・雑誌で取り上げる
・自分の会社と提携を結ぶ

といった、出資先のベンチャー企業を応援する動きを取られている方がいらっしゃることがわかりました。

本日は、株主のベンチャー企業への関わり方の変化、さらにステークホルダーという捉え方の変化について、最近のトレンドを整理していきます。

会社は誰のために存在するのか?

いきなり大きな問いですが…
そもそも、株主はどんな存在なのかを「会社」視点で整理していきます。

有名な経営者である新 将命さんが王道経営という書籍で残している言葉です。

王道経営におけるステークホルダーの優先順位は、ジョンソン・エンド・ジョンソンのクレード「我が信条」が見事に示している。 すなわち、1番目は顧客や取引先、2番目は社員、3番目は社会、そして最後の4番目が株主である。 社員の幸福や顧客満足のほうが、株主よりも先行するのである。

王道経営より引用

下記の記事に詳しく書かれていますが、ステークホルダーにも優先劣後があると書かれています。

ステークホルダーは全員が横一線で同列かというとそうではない。そこには、わずかながら優先劣後の順位がある。

ダイヤモンド・オンライン(DOL)
 株主の優先順位は4番目 ステークホルダーには優先劣後の順位がある

新 将命さんの考え方ですと、株主は4番目(最後)です。


多様なステークホルダーが存在する中で、企業が優先すべきは誰なのか?

この問いは多くの場面で語られてきました。

上記に紹介した、新 将命さんの考え方を否定するつもりはありません。

また、企業によってステークホルダー毎の優先順位があることは当然だと思います。

しかし、冒頭でご紹介したアンケート結果からわかる通り、
「株主が商品アイデアを出したり、広報活動をしたり」
と関わり方が変わってきています。

FUNDINNOでは、ステークホルダーに優先順位をつける考え方が変わってきているのではと感じています。

優先順位をつける考え方ではなくなってきているのではないか?

株主の話からは一旦離れます。

面白いステークホルダーの関わり方の変化が生まれている事例を見つけたのでご紹介です。

例えば、北欧暮らしの道具店を運営するクラシコムは、顧客が社員になることが多いようです。

従業員の大半が元顧客
ブレないライフカルチャー(世界観)をつくり続けるためには、従業員自らがその文化圏の一員である組織づくりにこだわることが必要であると考えております。そのために、顧客を従業員として採用し、採用された従業員が良いものを生み出し、さらに顧客を増やす好循環が生まれ、ライフカルチャープラットフォームの世界観を従業員全員で支える組織づくりを実現しております。

有価証券報告書より引用

クラシコムのケースは、
・顧客としてサービスを利用していたところ、
・働き手としてブランドに関わりたい気持ちが高まり社員になる…!
という変化がおきています。

また、「取引先から社員に」という事例が紹介されている記事もありました。

・取引先として一緒に仕事をしていたところ、
・働き手としてブランドに関わりたい気持ちが高まり社員になる…!
という変化ですね。

働き方の多様化が進んでいると言われますが、「ステークホルダーの関わり方が多様化している→各ステークホルダーの役割が循環する流れに変わってきている」

このような変化が生まれているのではないでしょうか?

株主も社員や取引先のような役割を担う時代?

ステークホルダーの中でも株主の役割はどのように変わっていくのか。

FUNDINNOで資金調達した企業からも面白い動きが生まれてきています。

事例のご紹介です。

FUNDINNOで資金調達をしているソラシェアは、株主がその事業の代理店になれる株主優待制度をつくられています。

売ることができると言うと少し語弊があります。ソラシェアにおいて、弊社の代わりに「空の道」を作る代理店をスカイディベロッパーと呼んでいます。まず、このスカイディベロッパーになるための知識を体系的に学ぶことができる勉強会(SDMセミナー)を準備しました。

今回優待制度として、株主の方を購入数に応じてロイヤル・プレミアム・スタンダードという3つのレイヤーに分け、プレミアム以上の方にはそのSDMセミナーに参加できる権利を付与するという設計にしました。スタンダードは1口だけの方ですが、セミナーを傍聴して知識として勉強することは可能。ただし正規受講者としてプロジェクトには入れないので、スタンダードで勉強しているだけだとスカイディベロッパーにはなれません。

プレミアム以上の方たちに対しては「スカイディベロッパーに育て上げるため、我々ができうる限り最大の努力をします」というお約束をホームページ上で発信しました。
元々は1口だけの購入を検討していた方も、もう1口買えばその権利が得られると思えば追加購入を促せるのではないか、という仕掛けでした。この仮説の正しさを検証すべく、購入者の層別(1口〜5口)にどのレンジの層が厚いのか?等、ファンディーノさんに根掘り葉掘りヒアリングしました。

「株主=資金提供」する関係性ではなく、一緒にサービスを進化させたり、顧客を獲得させたりと、多様な関わり方を設計できると、事業成長の可能性も高めることができます。

ステークホルダーは循環するものと捉える

・株主が取引先に
・顧客が社員に
・取引先が株主に
このようにステークホルダーは、循環する考え方をもてると、ベンチャー企業に関わる面白さは高まるのではと考えています。

また、ベンチャー企業には、株主の多様な関わり方を設計することが求められてきそうです。

今後もFUNDINNOは、多様で面白いベンチャー企業との関わり方をつくっていきたいと思います!

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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