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「安田龍彦は喪われた恋人の夢を見るか?」対談記事アウトテイク

 5月7日に、東京文学フリマにて頒布する #恋人を喪った安田短歌 の本「安田龍彦は喪われた恋人の夢を見るか?」の対談記事「安田短歌の作り方」に収録しきれなかったアウトテイクです。本の詳細はこちら

・映画『シン・ゴジラ』の特殊さ

Ryota 安田短歌をきっかけに、映画を元に短歌できるじゃん、と思って、ある作品を題材に作ってみたんですけど、やっぱり作品そのものに準拠しちゃうと全然作れなくて。この作品に合わせて作らなきゃってなるから。

まほぴ そういう意味では『シン・ゴジラ』って映画として特殊だと思ってて、あんまり出てくる人の感情を描いてない。誰が死んだとかそういう情報をなるべく排除して語ってるから、たぶん二次創作になって、誰かにフィーチャーした時に初めてキャラクターの感情を体験できるんですよね。「安田視点の『シン・ゴジラ』ってこういうことだったのか」ってことがそこで初めてわかる。だからけっこう相性が良かったのかなと思いますね。

Ryota  余白ばっかりですもんね。

まほぴ でも嘘は言っていなくて、「本当にそうかも」って思える要素だから相性が良かった。

Ryota きっと、ただの「安田龍彦短歌」だったらあんまりうまくいかなかったと思うんです。「恋人を喪った」という目線を獲得したのが大きかった。

まほぴ たぶんあの涙目が無かったらここまで来てないですね。確かユリイカか何かのインタビューで「まさか涙目が抜かれているとは思わなかった」って言ってました。

Ryota 高橋一生って、基本役作りをしないで、その場でやれることを全部提示して、そこから方向性を調整するってインタビューでよく言ってるんですけど、それが『シン・ゴジラ』では余白を埋める手がかりをいっぱい残すことになった。

まほぴ 「うわー!」っていうところとか「こんなんありかよ」って走り回るシーンとかがあるから愛されてると思うんです、安田って。他の人って茶目っ気爆発シーンとかあんまりないじゃないですか。みんな『シン・ゴジラ』のキャラクターの話するとき「~さん」ってのに、何故か安田だけ呼び捨てだったりするから、身近に感じてるのかなって。

Ryota 高橋一生の演技によって、安田だけ豊かなキャラクターになっちゃったんだ。

まほぴ でも「うわー!」っていうシーンとか、ご飯を食べる時に「いただきます」ってやってるのとかは庵野さんの指示らしいので、庵野さんがすごいのかな。高橋一生の良さを引き出しつつ、それを取り入れていくっていう。

Ryota まず高橋一生がすごくて、それをうまく生かした庵野さんがすごい。それに恋人を喪ったっていう設定を付けちゃったのがすごいと(笑)。

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