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2020年12月 月報

12月は週末の時間を使って、大学の先輩の仕事を手伝っていた。もう先輩とは知り合って10年くらいになる。たぶん知り合いの中で共通の話題が一番多い。大学時代の話とか、面白かった本の話とか、ちょっとした雑談から真剣味高めな話題まで、だいたい何でも話せる人だ。作業を粛々としながらも、あれこれ駄弁って楽しかった。年末ということもあり、先輩は20代の集大成としてこういう仕事をしたい、30代はこういうテーマでやっていきたい、という目標を話してくれたすごくいいなーと思う。僕は来年から家計簿をつけようと思います。

先輩の家でM-1も観た。と言っても先輩の部屋にはテレビがないので、番組公式が決勝ネタ動画をYoutubeに公開していくのを、追っかけて観たかたち。一発のパンチ力では東京ホテイソンが、ネタ全体ではオズワルドが好きだったな。決勝ネタ動画が公式サイトに上がるまでタイムラグがあり、その合間に去年のM-1動画を観ていた。ぺこぱもかまいたちもミルクボーイも面白い。

週末は手伝いにつきっきりだったかというとそうでもなく、ある土日には、池袋PARCOの屋上で開催されたライブイベントに参加。なんと無料で二日間の通しチケットが当選したのだ。久々に音楽ライブに行けたのが嬉しかった。音楽に合わせてみんなが体を揺らしたり、まったりしたりして過ごす空間の、あの良さ。個人的には環ROYがライブ中のMCで、フリースタイルをクライミングに例えていたのが印象的だった。韻や言葉の持つイメージを頼りに、リズムから落っこちないよう言葉をつなげていく感覚。僕も例えば西田さんと完全虚構だけでトークする遊びをやるときとか、割とそういう感覚な気がする。イメージを手掛かりにがしがし登るような。
ライブの出店でジンジャーキャロットスープが美味しかったので、機会があれば店舗にもいきたいなと思う。駒沢の方にあるお店らしい。

その他、もりたとボウリングに行ったり(6ゲームやった)、フォロワーのかりあしなさんと長々LINE通話したり、ツイキャスやったり人のツイキャス聞いたりかなり濃い月だった気がする。
2020年はコロナのせいもあってかバタバタした分、「何もできなかったな〜」と思いがちだが、こうやって記録していると、色んなことをやっていたことがわかる。先月なんて、ダチョウを見てダチョウを食ったんだぜ俺は、そんなの「何もできなかった」ではないだろう、と思う。来年は20代最後の年になってしまうし、今からすごいことを成し遂げる気とか全然しないけど、それでもなんだかんだ何かやってるうちに、少しずつ変わることもあるだろう。それを楽しみにしたい。

・読んだ本

大谷崇『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』
辻山良雄『本屋、はじめました 増補版 新刊書店Titleの冒険』
藤野可織『来世の記憶』
橋本亮二『うもれる日々』
松波太郎『本を気持ちよく読めるからだになるための本 ハリとお灸の「東洋医学」ショートショート』
餅井アンナ『へんしん不要』
橋本亮二『本を抱えて会いにいく』
宇佐見りん『推し、燃ゆ』
佐久間裕美子『Weの市民革命』
絲山秋子『妄想書評』

読書関連でいうと、12月は読んだ本を紹介するツイキャスを配信した。本当は年末に一年のまとめとして配信しようと思ってたんだけど、コロナの感染者が増えてこれは年末年始もかなり自粛ムードだなという感じだったので、12月半ばに開催。1時間ほど喋った。配信自体は知り合いが数人見てくれた程度だったのだが、紹介した書名をツイートしたところ、著者の方々から何人か反応があったのは嬉しかったな。また、半年ごとくらいにやれたらいいなと思う。

ツイキャスの中で話した1冊、餅井アンナさん『へんしん不要』。配信の中で「自分の感情やメンタルについて書きながら、こんなにストレスフリーで読みやすいなんて、文章上手すぎ……」という話をしたら、餅井さんが、読み手の負担にならない文章を心がけていたというレスポンスツイートをしてくれた。心が疲れている状態でも読めるバリアフリーさを目指す、という姿勢に、うわぁいいなぁとなってしまう。僕は割とだらだら書きがちなので……(これもそう。まぁ仕事の文章じゃないのでゆるして)。
で、ツイキャスの時点では本の半分くらいまでしか読んでいなかったのだが、巻末の書き下ろしである「追伸」を読んでたら、とあるシンプルな一文になんだかグッと来てしまって、通勤中の電車の中でちょっと泣きそうになった。そうだよねぇ、と強く頷く感じ。

『本屋、はじめました』は荻窪にある新刊書店Titleについての本。店主の辻山さんって元々リブロ池袋の方だったのだ、と知る。リブロ池袋は、1階に人文書のコーナーがあって、池袋に来るときはそこの本棚を見に寄っていた大学時代だった。Titleの存在もまた、柿内さんや友田さんの本から知り、今年初めて行った書店の一つ。こじんまりとした中にも選書のバラエティーが豊かで、ずーっと本を見てしまう。あー、それこそまさにリブロ池袋の棚を見てた感じだわ、と今気づいた。今年は荻窪や吉祥寺、下北沢など、今まであまり行ってなかったエリアへ、書店を目的に行くことが増えた年だった。本を介して知り合う人もじわじわと増えている。この感じは『うもれる日々』にも書いてあったことだな。

『来世の記憶』。今年は『ピエタとトランジ 完全版』という長編もあったけど、基本的に藤野さんはホラー・奇想的かつ突飛なアイデアに、淡々とした筆致でリアリティを纏わせ、抜群の切れ味で終わらせる短編で手腕を発揮してきた人だ。『ドレス』以降はジェンダー・フェミニズムの文脈も織り込んで、奇妙な物語なのに社会性もある、という作家性になってきていて、面白く読んでいる。『来世の記憶』はその延長線上にある、現状では最新の短編集。特に『鍵』という短編には打ちのめされてしまった。これもちょっと泣きそうになった。

『Weの市民革命』は、佐久間さんの出演するポッドキャスト「こんにちは未来」を聞いていたこともあり購入。人種差別・環境破壊という以前からあった問題に加え、コロナによって経済もピンチに陥った中で、アメリカの消費者や労働者が企業・行政に対しどのようなアクティビズムを行なってきたかをまとめた、コンパクトながら情報量が多い一冊。「投票行為としての消費」というのは最近ちらほらと聞く言葉でもあるし、この価値観は日本でも段々芽生えてきているような気がするなーと思う。もっと色々知りたいことがあるな、と思っているので、来年からは英語の勉強もし直したいんですよね、毎回挫折してるけど。

絲山秋子『妄想書評』は本屋でたまたま見つけたZINE。タイトルの通り架空の書籍について評した本。絲山さんの小説は何作か読んだことがあるけど、リアル寄りの物語を描く人のイメージだったので、こういうのも書くのかと新鮮。僕は架空の映画評とかやっていた人なので、こういう架空の評論好きなんですよね……。出てくる架空本の中では『カント式純粋夏休み読書感想文批判』『ほんとうに会える世界の村長』が読みたくなった。

・今月のBGM


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