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【記録】Spotifyが変えつつある音楽体験

最近、音楽体験がストック型からフロー型へ移り変わっていると感じています。
そう感じるきっかけと、音楽体験の今後について考えたことを書いていきたいと思います。

きっかけ

以下のバックナンバーを最近読んだことが、最近の音楽体験について考えるきっかけとなりました。

ストリーミングで音楽を聴く人が年々増加している、という主旨の記事です。『ストリーミングが普及し始めた2015年』から毎年2倍成長を経て、『8割の人がストリーミングで音楽を聴く2019年』へ。

日常生活の中から普及する新しいサービスは、成長のスピードがめちゃくちゃ早いですね。

LINE musicでは、フリーミアムモデルを導入しましたね。無料!ただ毎月各曲の再生は1回ずつ!時流を捉えつつも実験的要素のある良いサービスだと思います。

音楽もサブスクリプションの形でデータとして消費することが一般的となりそうですね。

ただ、すぐに成功はしないだろうな、と考えています。なぜなら、音楽体験の主流がストック型からフロー型へ移り変わっていくまさに途中だと思うからです。

ストック型とフロー型

聴きたい曲を聴きたいタイミングで聴く。現在は主流となっているこの音楽の聴き方は、ストック型と言えます。自身の知っている曲や知っているアーティストをアプリへストックし、その時々の気分によってストックから引っ張り出してきた曲聴いている、ということですよね。

このストックを増やすために、友人と好きな音楽の話をしたり、タワーレコードでジャケ買いしてみたり、TSUTAYAのロックコーナーから順番にレンタルをしたりしていました。懐かしいです。

ストック型に対して、知らない曲に意図せず出会ってひとつずつ体験していくのがフロー型です。SpotifyやLINE music等、オンラインストリーミングでの音楽体験がこれにあたります。

最近僕もiTuneからSpotifyへ乗り換えてみました。特定の曲やアーティストを指定できず、曲のスキップも1日にできる回数が制限されていますが、SpotifyやLINE musicがオススメしてくれる曲を流し聴きしていくことにも慣れてきました。

セレンディピティ

フロー型の音楽体験においてキーワードとなるの『セレンディピティ』です。Spotifyでは、インストール時にいくつかのアーティストを選択させることで事前にアーティストや曲をストックしておきます。それらのストックをベースとして自動でレコメンドをかけてくれます。このレコメンドのお陰で、自身の趣向に合っているが未だ認知していない、ストックしていない音楽を聴くことができます。この点が、素敵なものに偶然出会ったり、予想外のものを発見することができる、つまり『セレンディピティ』があるということです。セレンディピティは音楽体験に発見欲求の充足や喜びを与えており、フロー型への移行を進める大きな要因だと考えています。もちろん、ストックを増やすための手間が省かれることも要因として挙げられますが、あくまで副次的なものだと思います。

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無料のプランではひとつの曲を指定して聞くことができず、且つ視聴中に常にスマホの画面を見ていることがあまりないため、大半の知らない曲はそのまま流し聴きされてしまいます。ただ、「お?」と気になる曲が流れた際は、スマホを取り出してアーティストや曲名を確認します。そのアーティストが出している他の曲を聴き、気に入った場合はフォローやお気に入りをすることでストックしていきます。

「フロー」→「セレンディピティ」→「ストック」という流れ。これまで主流であったストック型がフロー型に代替されより補完的な役割に移り変わりつつあることがわかると思います。

曲の作り方もこの音楽体験の移行に対応し始めているようです。最初の2、3秒でスキと思わせる等、アイキャッチと似た考え方が含まれていますね。

膨大なストックの中で埋もれていく

フロー型の音楽体験が主流になっていくことと同時に、ストックされるアーティストや曲も増えていき、膨大な数になっていきます。ただ、フロー型の方が体験比率としては大きいため、ストックの中で埋もれてしまうものも増えていくだろうと考えられます。アーティストの栄枯盛衰のサイクルも、これまでより早くなってくることが想定できます。

音楽を消費するサイクルが短くなっていくことで、何年もついて来てくれるようなコアなファンをつくることのハードルが、どんどん上がっていきます。曲ひとつひとつの質を高く維持することと、音楽を聴く人が自身の生き方や価値観に共感できるアーティストになること、両方がより求められるようになるのではないでしょうか。

社外全体の変化

ここまで書いてきた内容は、音楽体験に限ったことではないと思っています。社外全体の変化として捉えた方が正しいです。

例えば、企業やブランドと商品やサービスとの関係にも似たことが起きています。個人の生活上で取得する情報量が増えることで、それらを基にする選択肢も人間が処理できる量を超え、AIが個々人に最適化したレコメンドを行うようになってきています。企業やブランド、商品に対するこだわりや思い入れが薄くなってくるのではないかと考えています。


そのような時代には、レコメンドエンジンにピックアップしてもらい、ユーザーのストックリストに入るためには何が必要なのかが重要になる、より考えられるようになるのではと思います。このような変化をしっかりと捉えて最適化することが、変化が激しい次の社会では求められていると、僕は考えます。

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