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生命を宿す絵=「魂画(アニメーション)」の深淵

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動画すなわちアニメーション(animation)とは、ギリシャ語で「魂」を意味するアニマ(anima)に由来する言葉だ。日本を含む古代文明の多くが、森羅万象に魂が宿るとする信仰=… もっと読む
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#COMEMO

「出会う」ためにはまず「出る」ことが必要である

「出会う」ためにはまず「出る」ことが必要である

新海誠監督の「すずめの戸締り」が地上波で初公開されて、Xはその話題で持ち切りになっていた。たくさんのファンがいる中で、本作について私如きが考察をするのははばかられるのでやめておくが、この作品において私個人が感じた「とても大事なこと」について一点だけ書いておきたい。

それは、本作に何度も流れるひとつの言葉「いってらっしゃい」にもかかわるが、「出る」という行動についでである。

主人公岩戸鈴芽は自ら

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アニメとゲームの国、日本はビジネスとして優位性を保てるか?

アニメとゲームの国、日本はビジネスとして優位性を保てるか?

東京五輪の開会式でゲーム音楽が使われたり、アニメ・漫画がコンセプトの演出があったりして、「日本はアニメのゲームの国になったのだな」と感じた方も多いのではないだろうか。たしかに、日本のアニメ、ゲームといったサブカルチャーは世界中で大いに人気がある。反面、ビジネスとしてみたときに、そこまで楽観視できる状態にはない。

コンテンツとしてのゲームの弱さゲームの業界は、ビジネスとしては2つの領域に分かれてい

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マンガと異業種のコラボに需要はあるのか=ドイツから考える

マンガと異業種のコラボに需要はあるのか=ドイツから考える

ドイツ、フランクフルト近郊のリンゴ酒メーカーが先日、マンガ風のデザインを採用した新商品を発表しました。イラストを担当したのは日本の大学院でもマンガ制作を学んだドイツのプロ漫画家クリスティーナ・プラカさん。このシードルとレモネードをミックスしたアルコール飲料は、ドイツの大型スーパーチェーンでの販売を予定しているそうで、つまり全国規模での展開だと思われます。ドイツのクオリティペーパー『フランクフルター

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証券市場からアニメ製作費を調達するブシロードの異例

証券市場からアニメ製作費を調達するブシロードの異例

エンタテイメント分野で急成長するブシロードが、アニメ製作の資金調達で新しい動きをみせています。2020年8月17日付で額面50億円の第1回無担保新株予約権付社債を発行すると発表したのです。発行価格は額面と同じ、償還期限は3年間、利率は0%です。
調達した50億円のうち20億5000万円を「IP開発」としています。「IP開発」とはアニメ製作資金を指しています。

ブシロードは昨年7月の株式上場の時に

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「涼宮ハルヒ」は、なぜ”00年代“の特別なアニメなのか

「涼宮ハルヒ」は、なぜ”00年代“の特別なアニメなのか

■2020年、「涼宮ハルヒ」の復活出版大手KADOKAWAが、8月31日にライトノベルファンとアニメファンを驚かせる電撃発表をしました。2020年11月25日に谷川流による「涼宮ハルヒ」シリーズの最新作『涼宮ハルヒの直観』を角川スニーカー文庫より刊行するというものです。
「涼宮ハルヒ」シリーズは、2003年のスタート以来累計2000万部を超えるヒット作です。2006年のTVアニメ化以後、2010年

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「名探偵コナン」は一年延期、劇場アニメそれぞれの選択

「名探偵コナン」は一年延期、劇場アニメそれぞれの選択

■公開は一年後を決断「名探偵コナン」と「アンパンマン」
新型コロナ感染症に端を発した自粛要請は、多くのエンタテイメントに大きな影響を与えました。映画興行はそのひとつで、公開延期は主要作品はだけでも70本以上です。5月の映画配給主要12社の興行収入は前年同月比で99%減と厳しい結果でした。

6月にはいり自粛要請が解除されると、映画興行も新作公開に徐々に動き出しました。劇場アニメでも新たな公開時期が

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海外のアニメグッズ販売会社とコラボする意味=ドイツ・ベルリン編

海外のアニメグッズ販売会社とコラボする意味=ドイツ・ベルリン編

ドイツの首都ベルリンで今月、アニメのフィギュアやグッズを扱うショップ「Figuya」がオープンしました。

公式アカウントではオープニングセレモニーの様子などを撮影した動画が公開されています。

今回はアニメの関連商品の流通モデルについて、ドイツの事例から考えてみたいと思います。

このグッズ販売会社「Figuya」はアニメのフィギュアに特化しており、ドイツ各地のイベントやパリのジャパン・エキスポ

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映画館でアニメ体験:都市移動型アニメ映画祭という興行モデル=ドイツ

映画館でアニメ体験:都市移動型アニメ映画祭という興行モデル=ドイツ

ドイツのハンブルクで1月26日、アニメ映画祭「AkibaPass Festival(アキバパス・フェスティバル)」がスタートしました。2月10日までドイツ、オーストリアの11都市を巡回します。この映画祭は、シネコンの複数のスクリーンを貸し切り状態にして一日中、最新のアニメ映画が楽しめるという単日開催の上映イベントです。

「アキバパス・フェスティバル」は年に一度、毎年この時期に開催されています。前

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ネット企業が老舗アニメ誌「アニメディア」買収 狙いと成功の可能性は?

ネット企業が老舗アニメ誌「アニメディア」買収 狙いと成功の可能性は?

■総合アニメ雑誌の一角がIT企業へ
 年の瀬となりましたが、アニメ業界では話題のニュースが相次いでいます。なかでもアニメ関係者を驚かせたのが、株式会社イードによる老舗アニメ誌「アニメディア」の買収です。学研プラスよりアニメ関連事業の譲渡を受け、「アニメディア」「声優アニメディア」「メガミマガジン」、そしてムック本の発行とウェブサイト「超!アニメディア」の運営も引き継ぎます。

 イードと言えば、僕

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ガンダムだけでない、バンダイナムコが創通を買う3つの理由

ガンダムだけでない、バンダイナムコが創通を買う3つの理由

■総額350億円の買収提案、破格の金額か?
バンダイナムコホールディングス(HD)が10月9日に電撃発表した創通の公開買付け(TOB)がアニメ業界を驚かせています。バンダイナムコHDは現在自社保有する以外の創通の全株式を取得して完全子会社化する方針です。この買付け総額が約350億円にもなります。
1965年設立の創通の社員数は、わずか35名。その会社の買収価格が350億円(会社全体の評価額465億

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第3次日本アニメブームはいつ終わるのか?

第3次日本アニメブームはいつ終わるのか?

「日本アニメが海外で大人気!」といったニュースは新聞やテレビでもよく取り上げられるので、いまではよく知られた話です。
一方で日本アニメが、これまで海外で常に人気だったわけでないことはあまり知られていません。輸出が始まった60年代から2020年まで約50年間、日本アニメの海外での人気はかなり波があります。

わかりやすく話すために、僕はこれを勝手に「第1次日本アニメブーム」、「第2次日本アニメブーム

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アニメファンに響くか、デジタル一点物のコレクション価値

アニメファンに響くか、デジタル一点物のコレクション価値

モノを集めたり、コレクションした経験は、誰でも多かれ少なかれあるのでないでしょうか。対象は人それぞれで、アクセサリーやアイドル写真、キン消し、あるいはスニーカー……といろんなジャンルに及びます。

なかでもアニメファンには、モノ集めが好きな人たちが多いようです。イベントのグッズ販売はいつも大盛況。大好きな作品やキャラクターのアイテムを手元に置きたい気持ちが強いのです。
さらに“限定”の言葉に弱いの

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小さなアニメイベントを日本人ゲストと盛り上げるためには=日独交流最前線

小さなアニメイベントを日本人ゲストと盛り上げるためには=日独交流最前線

南西ドイツのフライブルクという町でアニメファン向けイベント「アニメフェスティバル・フライブルク」(9月20~22日)が開催されました。昨年スタートしたこのイベントですが今年は1500人(三日間のべ)の来場者がイベントを楽しみました。

筆者は今回、招待ゲスト企画の一部をお手伝いしてきました。今回は現場で感じた難しさと展望について考えてみたいと思います。

ステージ企画を盛り上げた日本人ゲストの皆さ

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【アニメビジネス関連 代表連載シリーズ】 株式会社アニマ代表:笹原 晋也氏 (1)

【アニメビジネス関連 代表連載シリーズ】 株式会社アニマ代表:笹原 晋也氏 (1)

日本経済新聞社でCOMEMOスタッフとしてアニメビジネス企画を担当している井木康文と申します。

COMEMOのアニメビジネスTwitterアカウントにて、アニメビジネス関連業界において、ご紹介をさせて頂ける企業・ビジネスパーソンを募集させて頂いていたところ、株式会社アニマ様からご連絡を頂き、今回の紹介記事をさせて頂くことになりました。

下記は、株式会社アニマ代表の笹原 晋也氏のインタビュー内容

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