マガジンのカバー画像

サイエンス×テクノロジー=エンジニアリング

558
科学とは「事物の本質を表す体系的な知」であり、技術とは「特定の場面で応用される実践的な知」である。すなわち工学および工業とは「人々にとって有用な構造物や発動機関の設計・組立・運用… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

病虫害が診断できなくなる日

病害虫のことを網羅的に知り尽くした農業研究者がいなくなりつつある。50代後半より上の世代は現場に入って様々な病虫害を観察し、膨大な経験を重ねている。見れば一発でどんな害虫か、あるいは病気か、見当をつけることができる。これ、50代前半より若い世代はできない。

バクテリア専門はバクテリアしかわからない。カビ屋はカビしかわからない。ウイルス屋はウイルスしかわからない。若い世代は、良くも悪くも専門バカに

もっとみる
理系・文系、左脳・右脳を超えた創造性〜STAD(サイエンス・テクノロジー・アート・デザイン)

理系・文系、左脳・右脳を超えた創造性〜STAD(サイエンス・テクノロジー・アート・デザイン)

「これから時代、◯◯◯が大事」というフレーズをよく耳にします。

◯◯◯がトレンドになると、多くのヒトが注目して、社会を動かす原動力になります。
しかし、トレンドが最高潮に達すると、「◯◯◯こそ全て」という勘違いによる過剰な期待となり、幻滅期がやってきます。

結局のところ、それぞれテーマの一側面に注目するだけでは、新しいモノ・コトを生み出すことは難しい。そんなことは冷静に考えれば当たり前なのに、

もっとみる
燃料不要の量子エンジン試運転に沖縄科学技術大学院大学が成功

燃料不要の量子エンジン試運転に沖縄科学技術大学院大学が成功

◉量子エンジン。なにやら、SFに出てきそうな名前ですね。量子コンピューターはかなり有名ですが、量子エンジンはあまり聞きませんね。もちろん自分が勉強不足なだけで、検索してみるとけっこう前から研究されていたようです。燃料がいらないとか言われると、「それって永久機関みたいな何かか?」などと思ってしまいますね。アントニオ猪木さんの命日も近いですし。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、「石垣島、玉

もっとみる
生命の起源におけるメカニズム進化

生命の起源におけるメカニズム進化

私はシステムエンジニアリングの観点から、生命の起源について個人研究をしています。無生物である化学物質が地球上で化学進化して細胞が出来上がるまでの過程について、考えてきました。

この記事では、これまでに考えてきた化学工場ネットワーク仮説、および、構造進化と化学進化の相補関係の話について簡単に紹介します。

その後、これまであまり検討が出来ていなかった、化学物質の製造のメカニズムの観点について考えて

もっとみる
ヤマサとキッコーマンの醤油商品の事例から、食品における容器・包材の重要さについて語ろう。

ヤマサとキッコーマンの醤油商品の事例から、食品における容器・包材の重要さについて語ろう。

 醤油のパラダイムシフトが起こったヤマサとキッコーマンの事例から、食品における容器・包材の重要さについて語ろう。

 2010年に、醤油にとって大きなパラダイムシフトが起こった。
 ヤマサが発売した「鮮度の一滴」という商品の全国発売である。発売自体はその前年からエリア限定で行っていたが、評判が良くて全国展開になった。

 評判が良いのも無理はない。実際に僕も初めて食べた時はそれはもう驚いたものだ

もっとみる
【素材Memo】重さ半分 超軽量ガラス瓶

【素材Memo】重さ半分 超軽量ガラス瓶

小5息子と遊びにいったサイエンスフェスタで展示されていたガラス瓶。
なんと重さが従来の半分!と
実際に「超軽量ガラス瓶」を触ったのははじめて。薄い!軽い!

重さ半分! ガラス瓶生産方法の改良によって厚みがうすくても強度がたもてるガラス瓶がつくれるようになったそうです。
価格は?と聞いてみたら、材料は半分ですが、技術や歩留まりのことなどもあり、従来の瓶と同じぐらいになるそうです! 
高くなると思っ

もっとみる
農地にぽつんと立つ謎の棒……。スマート農業で農家を救う【ELTRES IoTネットワークサービス】

農地にぽつんと立つ謎の棒……。スマート農業で農家を救う【ELTRES IoTネットワークサービス】

「目の前の田んぼにセンサーなんかいらない」

――導入前に聞かれたのは、そんな言葉でした。

「毎日見ている田んぼの水漏れに気づかないはずがない」

――それでも、気づかないことがあったのです。

田んぼに立つ謎の棒の正体は、「ELTRES™」(エルトレス)を活用した冠水センサー。出張中にアラームが鳴り、連絡を受けたメンバーが現地を見に行くと、死角になっていた道路の反対側から水漏れを起こしていたそ

もっとみる
トヨタの底力を感じられる場所 ートヨタ産業技術記念館ー

トヨタの底力を感じられる場所 ートヨタ産業技術記念館ー

どうも、ウクモリ ヒロオです。

金、土曜日の2日間、名古屋に行ってきました。金曜日は、最近ご縁が深くなりつつある切削工具メーカー「イワタツール」の岩田社長と私が中心になり、ご縁がある方を集め、工場や施設の見学会と交流会を開催しました。名古屋の方々が、関東とは違ったカタチでモノづくりに対するこだわりを持っていることをヒシヒシと感じ、共存共栄のキッカケが作れればと考えています。

土曜日は朝から、名

もっとみる
昆虫が海に少ない理由

昆虫が海に少ない理由

◉これは、長年の謎ですね。昆虫ほど多様性を獲得し、地球で繁栄している生物群はいません。全動植物の種類が約160万種ある中で、昆虫は95万種が記録され、約60%を占めます。動物に限れば75%の種類を占めます。さらに毎年、新種が発見され続けています。もっとも早く空に進出し、陸上はもちろん地中でも、多くの種類が生活しています。ゲンゴロウやタガメ、ミズカマキリ、ミズグモなど、淡水中で生活する昆虫もいます。

もっとみる
人に寄り添う「温かいテクノロジー」 〜LOVOTにみるAIと人間との共生

人に寄り添う「温かいテクノロジー」 〜LOVOTにみるAIと人間との共生

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

生成AIが世の中を賑わせてる今日このごろ。あっという間に文章の要約をしてくれたり、アイデア出しのブレストに付き合ってくれる新テクノロジーは私たちの生産性をもう一段ひきあげてくれそうです。

これまでもAIと呼ばれるものが多々ありましたが、今回の生成AI系はあまりのも多くのことをこれまでにないレベルでこなすため、ついに「AGI(汎用人工知能)」の時代がくる

もっとみる
革新的なAI技術の発達の時代におけるエンジニアのあり方を考える

革新的なAI技術の発達の時代におけるエンジニアのあり方を考える

OpenAIが開発した大規模言語モデルの一つである「GPT-3.5」に基づくチャットボット「ChatGPT」が登場し、日々世間を賑わせていますね。

私も例外なく、早速様々なプロンプトを試して、楽しみつつも精度の高さに驚愕しています。

私の本業は ITエンジニアで、お客様と要件を詰めたり、実際の開発・テストを行ったりという業務が中心です。
しかし、この「ChatGPT」に近い将来、仕事を奪われる

もっとみる
3次元のフラクタル構造モデル

3次元のフラクタル構造モデル

シェルピンスキーの3角形の窓,4角形のカーペットの3次元版は,シェルピンスキーの森(ピラミッド),メンガーのスポンジと呼ばれる興味深い物体です.シェルピンスキーの森で日除けを作ると涼しいとか,メンガーのスポンジで電磁波の閉じ込めができるとか興味深い性質が期待できます.

しかしながら,これらがフラクタル構造になるためには,繰り込まれる構造が無限に繰り返される必要があり,現実には作れる物体ではありま

もっとみる
メンガーのスポンジについて

メンガーのスポンジについて

こんにちは。映像作家で小説家の榊正宗です。

やったー!noteのアクセス数が50万を突破しました!いつも💗を押してくださってありがとうございます!これからも、応援お願いします!

さて、今日のテーマは「メンガーのスポンジについて」です。知らない単語だったので調べてみました。

🔳メンガーのスポンジとはメンガーのスポンジとは立方体に穴を開け続けることで、フラクタル構造をもたせた作図です。フラク

もっとみる
スポンジ?こいつ動くぞ!

スポンジ?こいつ動くぞ!

みなさんは、ふだんスポンジを使っていますか?そのスポンジの原料は何かご存じでしょうか?私は、中学生のころに理科(生物)の先生から、スポンジは古代ギリシャからずっと使われてきた海綿動物だと聞かされて、驚いたことを覚えています。といっても、家庭にあるスポンジはウレタンで作られているウレタンスポンジだと思います。先日、少し面白い動画を見つけたので、紹介がてらスポンジについてお話しします。

和名:カイメ

もっとみる