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紙々の黄昏 ―出版の『未来』を変える斗い―

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神は死んだ。悪魔は去った。 だがこの世に紙と命のある限り、殉教者たちは今日も書物を紡ぐ。
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記事一覧

ウェブトゥーンの未来

ウェブトゥーンの未来

◉韓国の情報の深掘りでお馴染みの、楽韓Webさんによれば韓国のウェブトゥーンが中国市場から、完全撤退とのこと。まぁ、そりゃそうでしょうね。日本やアメリカの他の産業と同じで、中国市場に幻想を観て進出しても、ノウハウだけ吸い取られて終わり。製造業と違ってサービス業は、ノウハウを奪われやすいですし、そうでなくても課金文化の違いがありますしね。個人的には、ウェブトゥーンは3D映画と同じで、一定のポジション

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編集者に必要な法律の知識とは?

編集者に必要な法律の知識とは?

「編集者が身につけておきたい15のスキル」の記事にて、実用書の編集者に求められるスキルとして、調査力、文章力、語彙力、プロモーション力などを、それぞれ大まかにご紹介しました。

今回は、その中で「法律力」についてご紹介します。

では、詳しく見ていきましょう。

そもそも著作権とは?書籍の編集者は、本という著作物を扱う仕事ですから、著作権関連の法律について知っていなければなりません。それが編集者に

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1人の写真家が教えてくれた、出版社の存在理由

1人の写真家が教えてくれた、出版社の存在理由

世界中の民族を撮影するフォトグラファー、ヨシダナギさんが第2弾となる最新ベスト作品集 『HEROES 2.0(仮)』の製作を開始。自身初のクラウドファンディングを実施しています。この挑戦をライツ社が応援する理由とともに、担当編集者である大塚とヨシダナギさんのこれまでの経緯を記録します。みなさまの心に、彼女の想いが届くことを願って。

「だから、信頼できた」と彼女は言ったヨシダナギさんと、そのマネー

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新入社員の具体的な本づくりの話。

新入社員の具体的な本づくりの話。

はじめまして、今年の4月に編集未経験で入社した書籍1部のKです。
入社から半年経った中、編集者人生の中で2冊目となる担当書籍『イラストと図解で速攻理解!営業の超基本』が発売したので、今回はその書籍についてお話していければな、と思います。

これから編集者を目指す方になるべく本づくりの雰囲気を伝えられるように書きます。そして、もし編集経験者の方に読んでいただけるのなら、こんな頃もあったなと温かい目で

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note記事をわざわざKindleで本にする価値があるのか、再考してみた

note記事をわざわざKindleで本にする価値があるのか、再考してみた

【出版が近づいてきたから、改めて考えてみました】

こんにちは、くろめがです。

noteの記事とスマホを使って、Kindle出版してみるというチャレンジを進めています。

おかげさまで、作業もいよいよ大詰め。いよいよあと一週間ほどでおひろめできそうなところまでこぎつけました。

で、原稿を何度も読み直しながら、ふと思ったのです。

(これ、note記事読んでくれてる人にもちゃんと有益な本になって

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編集者は本のアンチレビューに傷ついている

編集者は本のアンチレビューに傷ついている

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。

本がある程度売れてくると、「アンチレビューが増える」のは仕方のないことなのかもしれません。気にするものではないとわかってはおりますが、作り手としてはやはりそういうのを見ると傷ついてしまいます。

批判的な感想であっても真っ当な意見なら「なるほど、次に活かそう」と、しっかり参考にさせていただいておりますし、むしろ感謝しております。

しかし! ただただマウ

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編集者が身につけておきたい15のスキル

編集者が身につけておきたい15のスキル

実用書の編集者にはいろいろなスキルが求められます。

今回、15個に分けて、その技をピックアップしてみました。

すべての力がすばらしいレベルにある人は、ほとんどいません。
その方は、特別な存在「スーパー編集者」だからです。

そうではない、普通の編集者でも、15のスキルそれぞれが、ある程度、備わっていることが必要でしょう。

一方、これらをある程度、身につけていれば、他の職業に就いても困らないと

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AI時代、出版の価値はむしろ増す? 編集・ライターのためのChatGPT論

AI時代、出版の価値はむしろ増す? 編集・ライターのためのChatGPT論

認識すべきChatGPTの脅威と驚異

──この夏異常な暑さが続く中、対話型 AI「チャットGPT(Generative Pretrained Transformer)」が話題を呼びました。生成AI (人工知能)は、それまでと違って読みたい側の指示にふさわしい単語が次々に出てきます。シュッパン界を劇的に変えてしまうかもしれない技術革新がもたらす文章への影響についてどう考えていますか。

 なんか

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アメコミと専門書店、漫画との比較

アメコミと専門書店、漫画との比較


この記事はTwitterで、アメコミと書店、専門店の関係について書いたところ、予想外に多くの反応をいただいた。
色々な人と、お話して補足説明する内に、最初からまとめて書いておけばわかりやすかったのになと思う点があったので、ここにまとめることにする。

前半は、アメコミと専門店の関係について。最後は、アメコミと漫画の売り上げ比較である。
アメコミって売れてるの?というのが疑問の方は、最後だけ見ても

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「 箔押し11回押しでつくる 『 本好きの下剋上 』 聖典ノート 」

「 箔押し11回押しでつくる 『 本好きの下剋上 』 聖典ノート 」

こんにちは、コスモテック現場の前田です。

香月美夜先生による小説、シリーズ累計900万部突破( 電子書籍含む )の 『 本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜 』( 以下、『 本好きの下剋上 』 )の特別仕様のノート製作に、コスモテックと 鈴木製本有限会社 の鈴木さまと共に挑ませていただきました。

製作のご依頼は 『 本好きの下剋上 』 の出版社 TOブックス さまよりお

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その記事、やっぱりバズらなきゃダメですか?

その記事、やっぱりバズらなきゃダメですか?

売れない本は本当にダメな本なのか?
バズらない記事は本当にダメな記事なのか?

新卒で編集者になり、「売れる本」を作るために毎日必死になって働いていたわたし。

時は流れ、フリーで色んな方の作品を編集する機会をいただくようになった今でも、冒頭の疑問についてずーっと考えています。

どこまでうまく言語化できるかわかりませんが、この投稿でちょっと吐きだしてみたいと思います。

便宜上「本」が多く出てき

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マンガをシェアできる「切り抜きジャンプ+」は、日本の著作権の常識に革命を起こすか

マンガをシェアできる「切り抜きジャンプ+」は、日本の著作権の常識に革命を起こすか

集英社が提供する漫画アプリ「少年ジャンプ+」が新たに「切り抜きジャンプ+」という機能を提供開始し、話題になっています。

これは、「少年ジャンプ+」のマンガの中で好きなシーンを切り取って、そのマンガのコマの画像とともに漫画のリンク付きでSNSに投稿することができる機能です。

単純にカットするだけでなく、編集機能もあるため、自分の感想をコマの上に書いたり、ちょっとしたデザインを追加することも可能に

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【祝】5冊目のKindle出版「AIが選ぶ社会人の神必読書70選」2023.9.8

【祝】5冊目のKindle出版「AIが選ぶ社会人の神必読書70選」2023.9.8

Kindle出版を始めて、もうすぐ2ヶ月が経つ。文章の書き方、書くスピードなど、最初はおぼつかなかったけど慣れてきた。今作は今まで自作していた表紙をココナラで依頼してみた。値段は4000円で、月の売り上げよりも多くなってしまった。表紙を外注したことで、クオリティはかなり上がった。売り上げも増えることを願う。

「AIが選ぶ社会人の神必読書70選」は、勉強したくなったけど何から読めばいいかわからない

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今、ひとりの書店主として、伝えたいこと  7月、8月と、これまで以上に廃業に追い込まれる書店が増えていった。

今、ひとりの書店主として、伝えたいこと  7月、8月と、これまで以上に廃業に追い込まれる書店が増えていった。

社長さんがいつも気にかけて下さっていたので好意を寄せていたダイハン書房の廃業のニュースは、特に堪えた。恐ろしくなった。今でもその時の衝撃を思い出すと背筋が寒くなる。

9月14日、また理不尽に思うことが、あった。
京極夏彦の新刊の発売日だった。

毎日、数百点も発刊される本を、事前に、アンテナを張って入手することは、小さな書店にとっては、生命線ともいえる。配本自体が、書店の規模で、ランク付けされて

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