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094 ヘゼリフハイト

Gezelligheid ということばを知っていますか。
私は知りませんでした。オランダ語で、「ヘゼリフハイト」と読むそうです。抽象名詞。
オランダの人々が根底にもつ思想、感覚で、日本語ではこれ!と当てはまる単語はないそうです。

説明すると、さまざまな場所で感じる心休まる状態。なごやかさ。空気であり雰囲気であり感情でもあります。なんだか、今の季節に合うことばだなぁと思いました。

冬、確実にさむさがきびしくなっていく日々。
美しい季節なので、楽しみはたくさんあると思います。
外へお出かけして、この季節ならではの景色―たとえば茶色っぽい葉っぱがあちこちに落ちている公園、曇っておもたい空の下で流れる川、街中の心あたたまるイルミネーション-を見て感性を磨くのも素敵。
しっかりとあたためた部屋でゆるゆると-本や音楽や猫と一緒に-過ごすのも素敵。手帳を開いて、自分と向き合うのもいいかもしれません。日が短くなって、なんとなくさみしくなっても家にいたら大丈夫。窓の外がめまぐるしく夜に向かっても家にいれば心強いのです。

私の時間があるときの楽しみのひとつは、じっくりと料理をすることです。
普段は仕事に追われて、食事は簡単なものばかり。お惣菜にも頼ります。
しかし、やっぱり自分で作るごはんは特別なごちそう。
休日は音楽をかけて夕方のはやい時間から作りはじめます。

かぼちゃは最近のお気に入り野菜です。買っておいて「今日はやっぱり楽しよう」と料理をやめても日持ちするから大丈夫。ころんと丸いフォルムは、置いていてもかわいいのです。
ことこと煮込むことが多いので、休日ごはんにぴったり。スイーツにもできます。

かぼちゃを嫌いなひとっているのかしら。と思っていたら、いました。
私の兄はかぼちゃ嫌いのようです。
「もかもかして、飲み込むのにつっかえるんだ」
とのこと。
それでは、とかぼちゃプリンを作ってみました。つるりと冷たくて、素朴な甘さ。きれいな山吹色のプリンです。兄用に小さい容器で作りましたが、二つ食べてくれました。
工夫をすれば、苦手も少しは緩和されるのね、とうれしくなりました。

あまくて、ほくほくとやわらかくて、あたたかいキャンドルの灯のようなオレンジ色のかぼちゃ。かぼちゃと向かう時間は、どこかほっとして、せわしない日々でくたびれた心を癒してくれます。できあがったかぼちゃ料理は、家族に分けたり、食べきれなかったものは翌日のお弁当にします。兄がいたら、プリンを作ります。時間をかけて作ったものをほかの人や明日の私にお裾分けするのも、心あたたまる楽しみです。

せかせかと忙しくて、呼吸も浅くなって、暮らしがどこか窮屈に感じたときは、Gezelligheid ということばを思い出して深呼吸をするのもいいかもしれません。そして、これを乗り切れば、あたたかな時間が待っている、と思えばがんばれるかもしれません。

そんなおまじないのような、かぼちゃのようにやわらかなことばを教えてもらったので、ご紹介しました。

今回も最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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