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134 キャンドルを育てる

空がすっと高くなったような気がします。
ゆるりと浮かんでいる雲。
窓を開ければひんやりした空気。
紅茶の色もきりっとあざやかになりました。

秋。
朝も夜もさわやかな雰囲気。
大好きな季節です。

休日の前夜、キャンドルをともすようになりました。
小さなティーキャンドルをいくつかつけたり、どんと大きなキャンドルをひとつつけたり。
気分によって明かりの大きさを調整します。

ゆらゆらと揺れるキャンドルの火を感じながら紅茶(ときどきお酒)を楽しむ夜は、平日がんばった私へのごほうびです。

時間が経つにつれて蝋が減っていく姿を見ると少しさみしくなります。
まわりを明るくするかわりに、自分を燃料にするキャンドル。
時間が経つごとにすり減って、いつしか火は消えてしまいます。

なんだか、人生みたいです。

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とある本で、キャンドルを使ったリラックスタイムの特集がありました。
おしゃれなキャンドル、おいしそうな夜食。素敵な音楽や食器が写真つきで紹介されています。

その中で、「キャンドルを育てる」ということばに出会いました。
キャンドルは火を灯せばどんどん小さくなっていくのに、「育てる」と表現されていることが新鮮に感じました。

「育てる」とは、火によって溶け出した蝋がキャンドルを伝ってかたまることで、本来の生成された形から大きく変わることのようです。

いくつもの蝋の筋ができてドレスのようになっているものや、ちいさなお花のようになっているもの。
キャンドルは自身を燃やしながら、形を変えていたのです。

きっと、火を灯したときの気温や湿度などによって、同じキャンドルでも蝋の溶けかたも変わるのだと思います。

なんて健気で、一生懸命で、美しいのでしょう。

私も、小さな火でいいので、燃焼しながら暮らしたい。
せっせと働いて、こつこつと絵や文章を描いて、たまにおいしいものを食べて。
そして、いつか消えてしまうその時までに、私だけの形ができたらいいな。

そんなことを思った、初秋のキャンドルナイトでした。


今回も最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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