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イラスト通信

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#食欲の秋

139 次につながる種

11月最初の朝。からりと冷たい空気が窓ガラスから伝わってきます。 きっとさむいよねと思い、カーディガンを羽織って、からからからと音を立てながら窓を開けたら新しい空気が入ってきました。 すっきりとしていて、透明で、やっぱり冷たくて。お水のような空気でした。 ほんの少しの間目を閉じて、飲みもののような空気を全身に行き渡らせます。体がしゃきっと目覚める、ささやかな魔法。 しばらく窓を開けたまま、朝食の支度をします。 お湯をわかして、昨日作ったスープを温めて。 そうそう、ぶどうが

087 メロウな時間

「秋はメロウな時間」と言ったのは、アイルランドの詩人William Allinghamだったと思います。朝起きたときのやわらかな光、空は澄んでいながらどこかかすんだような風景。音楽は元気なものよりも、ゆったりとしたメロディを聴きたくなります。 すいすいとさむくなってきて、もう季節はすっかり冬。窓の外は、きっと冷たい風が闊歩していることでしょう。でも、このあたたかな日差しを感じるうちは、もう少しだけ秋だと思っていたい。そんなことを朝のベッドの中で思っていました。 あ、今日も

069 いもいもさつまいも

秋になると、食べたいものがたくさんあって、口と胃袋がいそがしくなります。 noteも食べものネタが多くなりそうです。 みなさんは秋になると食べたくなるものはありますか。 私はたくさんあります。 お米にさんま、きのこの炊き込みごはん。 無花果にぶどう、アップルパイ、みたらしだんご…。 それから…さつまいも! 私はさつまいもが大好きなんです。 ふかしたり焼いたり、煮物にしたり。シチューに入れても素敵です。 薄い皮の赤紫色と中のあたたかな山吹色が秋にぴったり。 さつまいもと

056 秋ごはんのにおい

ゆるゆると歩く帰り道。 夕焼けでオレンジ色の光がなんだかあたたかです。 風はないけれど、近くの家からおいしいにおいがしました。 焼き魚のこうばしい匂いです。 朝ごはんのにおいはあまりしないのに、夜ごはんがしっかりと道いっぱいににおうのはなんとも不思議でうれしいものです。 どの家からかはわからないけれど、いいにおい。 きっと今、誰かのために誰かが台所に立って料理をされているんでしょうね。 おいしく焼けますように、とか、昨日はお肉だったからきょうはお魚で、とか考えているのかな

044 おだんごだんご

小腹が空いて冷蔵庫を開けたら、お茶と水と調味料しかありませんでした。 そんなばかな、トマトくらいあるでしょ、と思い一度冷蔵庫を閉めて再び開けたら、やっぱり麦茶と水とマヨネーズ一族(私が持っている調味料たちの総称)しかありませんでした。 とぼとぼと粉物を閉まっているボックスを開けてみると、なんと白玉粉がありました。満場一致で白玉だんごを作ることにしました。 さらさらで繊細な粉に少しずつ水を入れてこねていきます。 最初はぽろぽろだった生地たちも、まとまるともちもちに。これは良