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クリエイティブコーディングの祭典に行ってきました~PCD2020~

今日2020年2月1日、Yahoo! LODGEにて行われたProcessing Community Day Tokyo 2020に参加してきました。概要はこちらです。このイベントは今回が2回目ということで、なんと幸運な時期にエンジニアになったんだと感動しました。末永く続いていくことを願っております。

たった一日のイベントとは思えないほどの充実ぶりでした。Twitterで#PCD2020で検索していただくとその楽しさの片鱗を味わうことができるでしょう。参加した方は楽しかったと振り返れるよう、参加しなかった方には来年は行こうと思ってもらえるよう僕もレポートを書きましたのでお時間のある方はぜひお付き合いください。

※本文中で#PCD2020のついたツイートを引用させていただきました。ご容赦いただけますと幸いです。

キーノート

午前中はキーノートとして杉原 聡さんの「Processingによる建築設計 - コンピュテーショナルデザインの実践」松本 昭彦さんの「音楽とアルゴリズム ~歴史・テクノロジー・アート~」の二題目。

杉原さんのお話はProcessingで建造物をデザインしてCADに落とし込む話やその苦労、工夫などをテーマにしていました。

僕自身がCADを使ったことがないためわからないところもありましたが、Processingを用いたデザインの利点としてデザインパターンを短時間で大量に出力できることを挙げられていてうんうんとうなずいていました。建築業界では細胞分裂をモチーフにしていた時代もあったらしくジェネラティブなデザインも意外と身近に存在していることに感動を覚えました。生物畑出身なのでなおさらテンションが上がりました笑

松本さんのお話は自動作曲の功罪、みたいなお話でProcessingの話は一度も出てきません。ですが、もっと深いところ。そもそも芸術とは。コンピューターが作った作品は芸術か? という問いかけでした。

どれほど手をかけたかが芸術ではないはずなんですけどね……笑
日本の音楽シーンでもどんな曲かより誰が作ったかが重視されているような傾向を感じることもあります。それが正しいか間違っているかは僕にはわかりませんが。松本さん曰く大昔から芸術には付きまとう問題のようです。

おっと、油断すると哲学的な話ばかりになってしまいました。

自動作曲の方法論としてアルゴリズム作曲のお話もされてました。アルゴリズム作曲とは従来のように一音一音手作業で並べるのではなく、ショパンっぽくみたいな「様式」を定義してコンピューターに作曲させる方法です。

最後に今後の音楽シーンはどうなっていくか質問させていただいた際、「これからはコンピューターが大量に吐き出した曲の中から一番欲しいものを選ぶことが作曲者の仕事になるだろう」とおっしゃってました。音楽だけでなくあらゆる芸術がそのようなスタイルになるとき人間は、僕自身は、それを芸術と認めることができるのか。注意深く見守っていきたいと思います。


本イベントを通してですが人選が神がかってますよね……。Processingのイベントで建築のお話や芸術学のお話を聞けるとは思ってませんでした……! 運営の本気が伺えます。

ワークショップ

午後のワークショップは魅力的なものが多すぎて3日くらい迷ったんですが、一度も触ったことのないシェーダーに触るきっかけが欲しくてAtsushi Asakura / aadebdebさんの「Processingユーザーのためのシェーダーアート入門」に参加しました。もりっもりの内容で2時間が一瞬で終わってしまいました。

ご本人はこうおっしゃってましたが、むしろあの短時間でよくこんなに幅広く触れてくれたという感想と、帰ったらちゃんと復習しなきゃ! という気持ちになったので最適解だったんじゃないかと個人的に思います。

そして本日の資料がこちらなんですが、とにかくわかりやすい! シェーダーの得意なこと苦手なこと、難しすぎず魅力的なシェーダーアートの作例プラス大量の参考資料があってありがたみ秀吉です。この記事を書いたらさっそく作ってみます!

プレゼンテーション

前半のプレゼンテーションはワークショップに行っていたので不参加でしたが、#PCD2020 を見てると魅力的なプレゼンが多くて体が二つ欲しいと思いました……! 特にクリエイティブコーディングを仕事にする フリーランス編p5.jsでサウンドデザインツールのビジュアルを拡張するが面白そうでしたね……。

後半のトークセッションから拝見させていただきましたが、お三方ともすごく同意できる話と参考になる~! な話もりだくさんで充実の45分でした。

ファシリテーターの高尾さんが議事録をまとめてくださいました。

とくにnasanaさんのスキルに対する考え方はハッとさせられ、胸に刻みこみました。

- 新しいスキルを習得するために,作品を作る
- 同じスキルセットで,違った作品を作ってみる

タメになるお話ありがとうございました!

ニイノミさんのNEORTについての15分のお話では、NEORTという媒体を通して企業だけでなく個人の芸術に価値を与えたいというコンセプトが素敵かつチャレンジングだなと感心しました。おそらくそういうことって創作者自身が行っていかなければならないことではあると思うんですが、その時間を創作に使うためのプラットフォームを用意してくださる方々には頭が上がりません。

そのあとは激エモライブコーディングです。

HAUSさん / 田所 淳さん / Shihpin the Livecoderさん、お三方とも個性があってとても楽しかったです。こればっかりは現場で見ないとわからないと思うのでぜひ機会を見つけて聴いていただければと思います!

HAUSさんがやっていたように会場の人もライブコーディングに参加できるスタイルは斬新でしたね!

お悩み相談室

最後は会場のみんなで、Twitterに寄せられたクリエイティブコーディングに関する悩みを話し合おうZE☆というコーナーです。

4つの島に分かれて上の4つの議題について話し合ったわけですが、すべてに共通して出た意見は「コンスタントに作品を載せよう」ということです。

しょぼくてもしょぼい中に光るもの、個性は潜んでいて、数をこなすごとにその個性は光っていくものだと思います。……って偉そうに言ってる僕も実行できていないのであげていきたいと思います。

そうやってクリエイティブコーディングの認知度が上がれば何かに活かせそう! と考えてくれる人も出てきて、より作品が作りやすい世の中が出来上がっていくことになるのではないでしょうか。

またこういう機会をいただけたことで、みんな同じような悩みを抱えているんだなということもわかりました。作品を上げるお作法みたいなものって気になりますよね……。ちゃんとmp4で出力するかとかgifでいいのかとか画面キャプチャはまずいかなとか……。ただみんな各々「これでいいのかな……?」と思いながらあげてることがわかったので「これでいいのかな……まぁいっか!」の精神で続けていこうと思います笑

まとめ

冒頭でも述べましたがこんな素敵なイベントに参加できて幸せでした。来年には全身に自分の作品を貼り付けて参加できるくらいに作り続けたいという気持ちになりました!

「なんのためにそんなもの作るの?」という質問が創作者への質問としてよく挙がると思います。

僕の尊敬するアーティストは芸術至上主義、作品そのものが目的だと言いました。

芸術それ自身の価値は、「真の」芸術である限りにおいて、いかなる教訓的・道徳的・実用的な機能とも切り離されたものであることを表明している。そのような作品は時として「自己目的的」(autotélique <ギリシア語 'autoteles')、すなわち人間存在の「内向性」や「自発性」を取り入れるために拡張された概念であると評される。日本ではこれを主義として捉え芸術至上主義と呼ぶこともある。-wikipedia

クリエイティブコーディングをする方の中にはそのような人が多いのではないでしょうか? お金になるから、とか何かの役に立つから、じゃなくて楽しいから、気持ちいいから作る、そんな人が多い気がしています。そんな方々が、この界隈が僕は好きです。

そんな人々のために開催されたProcessing Community Dayは楽しいに決まってますよね! こんな素敵なイベントにしてくれた、運営の方をはじめ、登壇者、講師の方、ファシリテーターや様々な方に敬意を表しお礼を言いたいと思います。そして贅沢な願いですがまた来年もよろしくお願いします! ありがとうございました!

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