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私の夫は繊細さん

私の夫は自他ともに認める繊細さんだ。そして、夫はその性質を見事に自分の武器にしている。

私は夫が繊細さん(HSP : Highly Sensitive Person)だということに付き合っている時はもちろんのこと、結婚してしばらくしても気付いていなかった。
正確には認識をしていなかった。
認識したのは実はここ数年で、HSPという単語が世の中にわりと広く知られるようになってからだ。

どういう会話の流れだったのかは忘れたが、夫がおもむろに携帯を差し出してきた。
その画面には「HSPの診断テスト」が表示されている。 

「俺、これ結構当てはまるんよ。」と言う夫から携帯を受け取って画面をスクロールする。

確かに。
確かに夫は当てはまる項目がとても多いような気がした。
夫の診断結果は「あなたはHSP気質である可能性が非常に高いです」みたいな感じだった。
私もテストをやってみたのだが、その可能性は低いらしかった。


結婚生活を振り返ってみると私は夫にめちゃくちゃ腹を立てたことがあまりない(もちろん喧嘩はあるが数えるほどしかない)。
きっと夫は無意識のうちに、装備している高性能センサーで私の顔色を察知して波風の立たない言動をとってくれていたのだと思う。

私が日頃なんとなくぼんやりと夫の長所として受け止めていた部分が、HSPだからこそのものだったのか!とわかった瞬間だった。
そして自分が全く認識しないうちに夫が夫婦の平和を守っていてくれたことに気が付いたのだ。


話は戻るが夫が自分の性質を武器にしている(本人の自覚はないかもしれないが私がそう感じる)部分は大まかに2つあると思っている。
他にも細々と私には備わっていない才能だと感じる点はあるのだが、特に強みにしているなと思うのは次の2つだ。

①不安が強いがゆえに、準備が完璧

私の夫は、ものすごく準備をする人間だ。
先回りのそのまた先回りをして不安要素をはじき出し、あらゆる想定のもとに今できるすべての準備をする。
そして、目の前に出てきた問題は見て見ぬふりをすることなど到底できず、体当たりをするための鎧をせっせと毎晩徹夜で用意して少々鬱っぽくなるという感じだ。

夫からすると不謹慎だろうが、私は彼の性質をわけて欲しいと思うことがよくある。
私ももちろん準備はするし、人と比べると念入りな方だと思う。だが、夫ほどの緻密さや念入りさに欠ける。
私は夫よりも楽観細胞が多いのだと思う。

彼はいつも、「やりきった状態」で降って湧いている課題に向かっていく。「完璧な準備」という鎧を身に纏って。

夫は学生時代、夏休みの宿題が終わっていないなんて考えられなかったらしい。試験勉強なんて早く終わりすぎていて本番のときには忘れてしまっているぐらいだったらしい。


②人の変化にとても敏感

 夫は人の変化にとても敏感だ。
「〇〇さんが最近疲れた顔をしている」
「〇〇さんは、こんなことがあったからそろそろこんなふうになってくるかもしれない」
「〇〇さんと〇〇さんは、ちょっと相性が…」
「〇〇さんとこは、息子さんが受験で大変そうだから今は△△さんにこうしてもらって…」
といった感じだ。

夫は職場で人を統括してマネージメントをしなければならない場面が多々ある。
夫の職場は女性の占める割合の方が多いのだが、一般的には男性よりも女性の方が育児や介護、ペットの世話、家事などを担う割合が多いので、対人関係が複雑で働き方にも大いに影響する。そして、年を重ねると更年期症状が出てきたりとなかなか忙しいのだ。

私は不幸にも女性のそういう点にまで思いを馳せてくれる男性上司に縁がなく、腹立たしい思いをすることが多かった。

しかし夫は、そこに思いを馳せることができる。
そして、女の私から見てもそこまで分析できるのか!と思うことが多い。

ただ、どうやら彼はこの「気付く」作業を時に苦痛を伴いながらやっている。
あまりにも気付きすぎるので、どうやら気持ちが休まる時間がなく本人からするとトラブルの連続と感じるらしいのだ。

何か問題が起こればつぶさに調べ、考え抜き、対話の必要性があれば慎重にタイミングを見極めて面談を持ちかける。

七転八倒しながらも結局はクリアしているのだ。
ここで、重要なのは彼にとっての「問題」が、私からすると「問題」に見えないことがあることだ。
繊細さんでないと認識できない「問題」を芽のうちにすごい勢いで摘んでいるというとなのだと思う。

そして確実に彼はパワーアップしている。
それなりに経験を重ねて、「気付く」力は維持しつつ(本人は維持する努力はしていない。)、対処する方法は何通りも手に入れたようだ。


私には到底できないし、才能には敵わない。
夫には自然とできてしまうことでも、私はうんと努力をしないとできないのだ。


夫は時には自分のHSP気質を持て余してゲッソリしていることもあるのだが、隣の芝生が青く見える私は自分と足して2で割ることで、少しその性分を分けて欲しいなと思ったりもする。


むかつくこともあるし、もう少し整理整頓してくれたら楽なのに…などと思うこともあるけど、結局のところ私は夫を尊敬している。

お弁当のお礼を言ってくれないなんて小さなことなのだ。


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