闇の中で

私はヒーローに憧れていた。正義を貫き弱きを守る。そんな幻想に酔いしれていた。
私にできることはないか。
それから私は闇に落ちた者の求める助けに手を差し伸べ続けた。それが私のできること、私にしかできないことだと思いこんで。
気づけば私は闇に落ちていた。救いを求める手に引っ張られて。
私は気づいた。差し伸べる手があっても、救いを求める手は持っていなかったことに。

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