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デザイン依頼の成功の秘訣(デザイナーの使い方・頼み方)

私は日々デザイナーとして仕事をさせていただいておりますが、仕事を引き受けたのはいいものの、やりとりがうまく行かずいいものができなかったり、最悪クビになったりした経験から(笑)、「グラフィックデザイナーやWebデザイナーはこう使って欲しい」と思ってることをつらつら書いてみます。ここではデザイナーに限って話をしますが、「何かのプロに仕事を頼む」こと全般に言えることかも知れませんので、多分知っておいて損はないのではないかと思います。

色や形を指示しない

・ここを赤くして欲しい
・この字を太くして大きくして欲しい
・この写真をこのサイズでここに配置して欲しい

一番やってはいけないパターンです。
毎回デザイナーとモメるという人は、
大体これをやってしまっています。
絶対にうまくいきません。

これは、プロに仕事のやり方を指示するのと同等の行為です。いえば、

・プロ野球のピッチャーに投球指示をする
・寿司屋で板前にシャリの握り方やネタの切り方を指示する

のと同じです。それでバッターを討ち取れるのか、うまい寿司ができるのか。あなたがその道のプロならできるでしょうが、おそらくそうではないから他人に頼んでいるのでしょう。

であれば、プロのデザイナーに色や形、レイアウトなどについて具体的な指示はしてはいけません。素人の指示は、出来上がりが想像できておらず、センスがないどころか物理的に実現不可能なレイアウトまで要求したりすることがあります(笑)。デザイナーは頭の中でどうなるか明確に想像できます。それができない人にデザインの指示はムリです。

人は万能ではありえません。デザイナーは営業や経理に関しては無能ですが、デザインに関しては他の誰よりも秀でています。あなたがデザイナーでないのであれば、あなたはデザインに関しては無能です。それをまず受け入れてください。そしてある分野で無能を自覚したのなら、それに関しては口を挟まない方が利口です。

これは実例ですが、「明るい臙脂色を使用してくれ」という指示をされたことがあります。我々デザイナーはこれを聞いた時点で「?」です。なぜなら臙脂色とは、

彩度が低く/暗めな/赤紫

をいうからです(参考:Color Sample)。

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「暗い」というのは必須条件です。なのでこれを明るくしてしまうと、もはや臙脂色とは呼べない、濃いめのピンク色になってしまいます(以下の色は明るさのみを変更したものです)。

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このように、色彩の知識のない素人ではなかなか仕上がりは想像できません。レイアウトなどに関しても同じです。

このような、専門家とそうでない人の意識の違いを端的に表した動画があります。よろしければご覧ください。

▲日本語字幕が表示できますのでご利用を

ではどう頼むか

このような意識のギャップを埋めるにはどうするかというと、

・このコピーを目立たせて欲しい
・高級感を出して欲しい
・もっと賑やかにして欲しい

というように、色や形ではなく機能面で要望を伝えてください。

どう目立たせるか。
どう高級感を出すか。
どう賑やかにするか。

それを考えるのがデザイナーの仕事です。彼らは考えた上で、色や形を決定し、最適にレイアウトしてくれます。彼らの仕事を奪わないように。あなたは絶対に彼らよりうまくできないのですから。プロでない人は、プロには決して届きません。

しかし、そのプロが作った結果に対して「希望と違う」「足りない」「良くない」というのは自由です。どうぞ存分に言ってやってください。そして、もっとディスカッションを行ってください。

家を設計する時も同じです。「部屋がいくつ」「○○部屋を設けて欲しい」などという事だけを伝えて下さい。建築家は敷地の形や面積、予算などを考えた上で良い形とサイズを割り出し、良いようにレイアウトしてくれます。決してどのサイズでどこに配置するかまでは指定しないで下さい。必ずバランスが崩れます。

デザインテイストは人それぞれ

デザイナーにもデザインの好みがあり、それは人それぞれです。料理人に和食、中華、フレンチなどがあるように、歌手にアイドル、ロック、演歌といるように、デザイナーもそれぞれが持つ「テイスト」というものがあります。

例えば女子向けカフェに似合うデザインが得意な人に、パチンコ屋のチラシはなかなか作れません。和風居酒屋に似合う筆文字が得意な人がいれば、高級フレンチに似合うような欧文が得意な人がいます。自分が頼みたいデザインテイストを持つデザイナーを探すことが肝要です。

デザイナーはどんなテイストだろうと要望に応えなければならない、という人がいますが、私は理想論だと思います。人は自分にないテイストは、どうしたって出てこないものです。

修正は無限にはしてくれない

延々と修正指示をしてくる人がいます。これはあらかじめ「修正は○回まで。以降は1回につき○円」という見積条件を出しておかないデザイナーも悪いのですが、デザイン料というのはアイディア料+この「作業時間」に対しての賃金となります。言葉は悪いですが、「ワガママを聞いてもらうための迷惑料」とお考え下さい。よって、納得行くまで何回でも追加・修正したければ、それ相応の賃金というものが発生します。

なので、イメージのすり合わせを優先して

以下のように頼んでくる人が時々います。

「取り敢えず作ってみて。見ないと分からないから」

サイアクな仕事の進め方です。
このような頼み方は、
絶対に後々モメて破綻します。

ではどのように進めるか。先にも挙げたように、色や形の事を言うのはご法度です。まず、一体何のためのデザインかという事をデザイナーと共有することが先決です。

・何のデザインか
・それはどういう会社/店/商品/サービスか
・誰に対してアピールしたいのか
・それを、他人からどういう風に見られたいのか

そういう話をしてください。そして最低でも以下のようなアンケートで、どっち寄りなのかぐらいまでの意識の共有を図ってください。

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とにかく、作る前の話し合いがとても重要です。お互いの意識の共有ができるまでは、デザインにはとりかからない方がいいでしょう。こうする事でお互いが思うデザインのズレがなくなり、手戻りも少なく、料金も安く抑えられることになります。

いつも思った通りのものができない、デザイナーとモメる、とお嘆きの方。何かの参考になれば幸いです。

追記:誰に向けてデザインするか

私はいつもクライアント(依頼者)に向けてデザインしていません。「いやおかしいだろ」と思うでしょうが、私はそうは思いません。私はいつも、「クライアントのクライアント」、つまり会社ならその会社の商品やサービスに興味がある人に、お店ならその店に来てくれる客に、Webデザインならそのサイトを見る人に向けてデザインしています。

ですので、時には私の好みはおろか、クライアントの(担当者の)好みにさえ合わないものを作ってしまうことがあります。ですがそれは、私が第三者のユーザーとしてその商品/サービス/Webを利用する場合、こうであって欲しいなという要望を取り入れた結果なので、クライアントのクライアントにはしっかり届くだろうという信念があります。

ただそれはいつも理解されるとは限りません。担当者は顧客のことを忘れ、自分の好みに合わせて変更を指示してくることもあります。一応説得は試みますが、それが叶わなかった場合は、もうオペレーターに徹して言うとおりにしてさっさと終わらせてしまいます。結果どうなろうと知ったこっちゃありません(笑)。

いいデザインは、デザイナーとクライアントがお互いに向き合うのではなく、同じ方向(クライアントのクライアントの方)を向いた時にしかできません。ぜひそのことを覚えておいて欲しいと思います。

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カフェラテおごってください。

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フリーランスのグラフィック・Webデザイナー、Webデベロッパー、カリグラファー。欧文フォント好き。趣味はアイリッシュフィドル、レザークラフト、靴磨き。沖縄在住。 https://feoh.design/

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